BERUNです。
生地棚が揃ってきました。
こちらの棚は全てオーダーでサイズを合わせて作ってもらったもので、なかなか圧巻です。
最後の一番左の棚は、前回のブログでお書きした通り入らなかったため、職人さんに謝り、返送して、今カットしてもらっています。
往復の送料、手間賃、、高くつきました。笑
10月頭には、全て揃うと思います。
ご覧の通り、天井まで届く生地ストックです。
どれも相当スペシャルな生地ばかりなので、きっと楽しんでいただけるかと思います。
物作りの限界
最近写真を撮ることをすっかり忘れてしまうことがあり、ブログを書けておりません。。
そんなことなので、今回は私の洋服を含めた考え方について少し書いていきたいなと思っております。
少し暑苦しいかと思いますので、クーラーを効かせてかき氷を片手にお読みください。
たまにお客様に、このようなことを聞かれます。
「これだけ洋服を持っていて、まだ作りたいものがあるんですか?(飽きないんですか?)苦笑」
これに関して私はいつもこう答えています。
「全く飽きないです。まだまだ作りたいものがたくさんあります」
新しいものを作る、買うことに飽きたら、私のような仕事はもう終わりなのではないかと思っています。
これは私の中で明確に言えるのは、自分の欲望や欲求を満たすというわけではなく、興味関心の底を決めてはいけないということです。
私の中で洋服を作るということは、表面的に言えば、洋服を作るということでしかありませんが、今、私の中にある美意識がどのレベルまで達しているかという測りにもなります。
この”美”という曖昧なものには終わりがなく、おそらく死ぬまで追求する課題だと思います。
日々美しい洋服を作るという最大のアウトプットのために、あらゆるものからインスピレーションを得てインプットします。
インプットは洋服だけではありません。
絵画やアート、自然、旅先での見る風景。ありとあらゆるものを含めて、私の中では全てがインプットです。
感動のレベルを上げる
最近、某ファストファッションのブランドで、「感動〇〇」という洋服がとても売れているという話を聞いたため、見てきました。
分かってはいましたが、これに感動という名前をつけていいのか??と思うものでした。
お茶を濁さずに書きますと、これに感動する人はといえば、私が汲み取るに、「私はこのレベルの洋服(含めあらゆる物)で感動する人間です」
と自らを表現しているように思えてなりません。(なんとも面倒な男ですね笑)
インプットし続ける、ということは、自らの感動のレベルを上げていくことにつながります。
山登りで言いますと、山を1度も登ったことない人であれば、高尾山の頂上の景色は素晴らしいでしょう。
ですが、アルピニストからしてみれば、見慣れた光景で、当たり前の景色です。
このように山登りを続けていくことによって、より高い感動(山)を目指すことができるようになり、そこを毎回越えていくたびに、自己成長があり、大きな感動がやってきます。
インプットをし続けて、感動のレベルを上げる。
そしてその自分自身のあり方を世の中に表現(アウトプット)していく。
そのようにすることで、自分という人間は、自然的に磨かれていくと思います。
洋服に育ててもらう
先日、沖縄のお客様からマンゴーを送っていただきました。
その方は、BERUNが作ったスーツを着始めたおかげで、仕事がとてもうまく回るようになったとご連絡をくださり、マンゴーを送っていただいたのです。
東北生まれのため、南国のフルーツにはあまり縁がないので、とても嬉しいです。
追熟して大変美味しくいただきました。
私の仕事のスタンスですが、洋服を売ることだけが仕事ではないと思っています。
洋服を作っていただいた方が、その洋服を着ることで意識が変わり、人生で大きな飛躍をして、仕事やそれ以外の人生が大きく変化していく。
その役目をBERUNが一片担う。
そのくらいの想いや覚悟がなければ、私は洋服を売る資格がないと思っています。
スーツはマイナスを埋めるためのものでもありますが、プラスの部分をさらにプラスにすることもできるものです。
それは洋服の力ももちろんありますが、その人自身のマインドの変化がとても大きいです。
なので私の仕事としては、
①かっこいい洋服を作る
②お店に来ていただいたことで、大きく魅力的な人になって帰っていただきたい
この2つが洋服屋の仕事だと思っております。
洋服にプラスで、マインド、精神が入ることで、より着こなしに深みが出てきます。
胸を張って送り出しますが、世の中はみな同じような価値観の人ばかりではありません。
むしろ、我々のような考え方を持っている人は限りなく少数です。
世間一般、大多数の人からすると、もはや「必要のないもの」を着ているわけです。
夏はTシャツ、春秋はマウンテンパーカ、冬はダウン。これだけでいい時代に、わざわざ季節を意識して、同じような形をしたジャケットやシャツを揃えていく。
そこに喜びを感じることができる方はとても少ないでしょう。
その逆流、しかもその流れが弱まることはない、今後もずっと流れは強くなり続ける。
そのような状況下で、大きな岩のように、自分を持ち続けること。
簡単なことではありません。
なので私はいつも、世の中のカジュアル化の流れにどうにも我慢できないと辟易してきたら、いつでもピットインしにきてください。と言っています。笑
洋服を買うだけなら、情報を上手に活用できる人は安く買うことができる時代です。
だからこそ、物だけではない価値を提供できなくては意味がないと思っております。
まぁ、こんなことを書きまして、物を買う、作ることの大義名分にしているわけです。笑
買い物上手は言い訳のプロフェッショナルですから。笑
でも、自分がいい!!と心の底から思ったものを手にできる人生というのは、なかなか面白いと私は思います。
-Atelier BERUN-
東京表参道のオーダースーツ / 洋装士
Haruto Takeuchi / 竹内大途