BERUNです。
スーツがいらない世の中になってきました。
今このご時世に、スーツを着るという事自体が、必要のないことになりつつあります。
お客様からも、
「会社がスマートビズなんて打ち出してまして、ジャケットとネクタイを禁じられたんです」
という話も聞きます。
まぁいいでしょう。世の中の流れは確実にそっちにいっているのは理解できます。
(スマートビズ?ジャケット着ている方がスマートじゃないのかい?まぁ、心の中に留めておこう)
日に日に楽に、便利になる世界。
コスパ、タイパなんていう言葉が使われる時代です。
それは効率的なのか、それはお得なのか?
という判断のみで物事が選ばれる今ですが、では果たして今この便利になった時代に、心から充実した人生を過ごせている人はどの位いるでしょうか。
時代が便利になり、進めば進むほど、心が満たされなくなっている人が増えているように感じます。
私は人生というのは、非効率の中に楽しみがあると思っています。
そもそも動物界で人間は唯一、非効率を楽しめる生き物なのではないかと思うのです。
ライオンが獲物を捕らえるときに、
「ちょっと今日は、頭の上の葉っぱを落とさないように走ってみよっかなぁ」
とか考えないように。笑
生きるかしぬかの世界でない今の世の中は、どれだけ目的、目標と呼ばれるものの道中を楽しめるかが、人生の深みを出していってくれると思います。
効率化の先にあるのは、経済至上主義の世界では喜ばしいことなのかもしれませんが、ではその1番の目的であった経済的自立を手に入れた時、その人には何が残っているでしょうか。
FIREしたぜ!仕事やめたぜ!!ふぅ。暇だぜ。
本来の人間の楽しみ、豊かさというのは、コスパ、タイパとは対極の物事に詰まっていると思います。
昔、お笑い芸人のケンドーコバヤシさんが、ツーリングをしている動画を見ていたのですが、彼が、
「若い芸人で悩んでる奴がいたら、とりあえずバイク乗れって言いたいですよね」
と言っていました。
私はこれは人間の感覚として非常に真理をついている意見だなと思いました。
今となっては、バイクという乗り物はアナログな乗り物で、都心をチョコチョコ動き回る小型二輪を除けば、不便な乗り物です。
人は一人しか運べないし、荷物は積めないし、夏は暑いし冬は寒い。
ですが、そんな不便な乗り物だけど、風を感じる。鼓動を感じる。生きている感覚を強く思える。
乗っているという時間が、人間として生きる喜びを感じることができるのではないかと思うのです。
今や服装が自由になったビジネスウェアですが、そんな中、あえてスーツを着る。しかもお気に入りのスーツ。
スニーカーにリュックでいいのに、わざわざ硬く思い革靴を履き、同じく重い革製のカバンを手に持つ。
その所有しているものに愛着やこだわりがなければ、それは苦痛でしかありませんが、もしそれが好きなものであるならば、私はその非効率を楽しんでいる時間に、人生の豊かさが詰まっていると思います。
まっこの話は伝わらない人には伝わらないんだろうなぁ。笑
物好きの特権だと思います。
自ら不便を買いに行く。不便を楽しむ。燃費がわるくて結構。
そこに生きる喜びがあるのです。
新作ニットポロ
昨年の夏にお作りしたニットポロ。
5色増えて11色になってしまいました。
これはもう経営者という人であれば失格ですね。笑
お客様に思考のエネルギーを大いに使わせてしまっていますから。
ですが、わたしは自分のことは経営者だと思ってませんので(おい笑)、我慢をせずに素敵な色を作りたかったのです。
強撚糸で仕上げた綿100%のニットポロ。
この触り心地とこの雰囲気はどこを探してもないと思います。
ニットポロの欠点である、繊細さ、ヘタリやすさ、ベタつき。すべて解消した素材感です。
着やすく、丈夫なのに、エレガントさがある。
私自身、ツイードのチェスターフィールドコートであったり、見た目は革靴だけど履き心地がいい靴など。
美しさと使いやすさの中間、この塩梅でいいものが思いつくのは、得意分野なのです。
日本にはオンオフという文化が根付いているため、この中間は大きなビジネスにはなりづらいのです。
そのため、どうしても市場に出回る数は少なくなってしまいます。
ですが、わたしのような弱小店であれば、売れる売れないではなく、作りたいものを作ることができます。
その代わり、良いものを作れないと売れませんので、そこはシンプルに、ただ良いものを作るという意識に全集中します。
今回お作りした新色はこちら。
Ecru
Royal Blue
Brick red
Gray Brown
smoke Blue
仕事でも使えるし、休日でも使える。
そんなアイテムです。
ぜひ、ご検討いただけたら幸いです!
https://atelierberun.stores.jp
日々是アップデート
5月に入り、少しずつ仕事が落ち着いてきましたので、洋服のさらなるアップデートのために色々と仕込んでおります。
特にモノづくりの内側の部分に関しましては、これはお客様には気づかれないだろう。と思うところですが、そういうところをこだわっていかなくては、お互いに育っていけないと思うのです。
昔、貴族階級がまだあった頃は、お客が店主を育てるという文化がありました。
お金も時間もある貴族は、色々と知見があります。
それを贔屓にしている店に教えて、さらに良いモノづくりをしてもらうのです。
ですが、今は情報の取り方がネットになり、正しい知識を得る機会が少なくなりました。
正しい知識を知らないお客様に対して、我々はサボることもできます。
ですが、それをやり始めたら終わりです。
お客様を育て、新しい価値観を持ってもらう。
店に行くというのは、ただモノを買うのではなく、体験、学びの場でもあります。
それを含めて、”お買い物”なのです。
店側は、常により良いモノを作り続けるというモチベーションが大切。
1着毎に学びがありますので、それを活かしていけば現状のモノづくりに満足できなくなるのは必然です。
お客様はもちろん、常に自分が納得のいくものを作り続けることが、良い方向に向かっていくと思っております。
あっ!久しぶりに完成品をご紹介していない!
まだまだ上げきれていない素敵なお洋服があるのですが、順繰り書いていきたいと思います。
いつもありがとうございます。
最後に、
7月中旬から8月のお盆にかけて、BERUNの営業は週1,2日になります。
秋物本格スタートはお盆明けからですが、すでに最高の生地が続々と届いておりますので、フライングも大歓迎です。笑
何卒、よろしくお願いいたします。
-Atelier BERUN-
東京表参道の仕立て屋 / 洋装士
Haruto Takeuchi / 竹内大途