BERUNです。
これから暖かくなるのですが、すでにフランネルやコートのご注文もいただいております。
じっくり時間をかけて考えることができますので、私としましても、嬉しい限りです。
年始に大量に生地が届いた日のこと。
たまたま居合わせたお客様と、一緒に開封の儀を行いました。
開けるたびに
「うぉぉー!!」
「ウォォー!!!」
と雄叫びを上げる竹内。
それを横目にニヤニヤするお客様。
ロールで買っているものもあれば、1着分しかない生地もあります。
その中で、T様が目をつけた生地が、Holland & Sherry社のホームスパン柄のネイビーブルーのツイード生地。
何色もの色が入っていて、なんともスペイシーな色柄で、ヴィンテージながら未来を感じる。そんな生地です。
ヴィンテージのジャケットは古着屋に行けば安く買えますが、ヴィンテージの生地で、当時の高級生地を今新たに自分の身体に合わせて作るというのは、なんとも贅沢な話ではないでしょうか。
ネイビーブルーのツイードというシンプルなものですが、様々な色が入っているため、華やかさがあります。
ツイードはピタッと着るのではなく、中にニットを入れることも踏まえてゆとりを持たせてお作りしてます。
T様、ぜひこの子と長い付き合いをしてくださいね!!
グレーフランネルスーツを着た男
私服でスーツを着るというS様。
昨年、最初にお作りしたのはダークネイビーのフランネルスーツ。
構築的な硬い生地でお作りいたしましたが、2着目の今回は、もう少しソフトな生地で上品なスーツにしましょうとなり、イタリアのフランネル生地にいたしました。
ウール90/ カシミヤ10という贅沢なフランネル生地。
ですが、打ち込みは意外としっかりしてあるので、スーツとして問題なく使うことができます。
私服もオシャレなS様。
スリーピースでタイドアップして着るもよし。
ジャケットのみで、下を別のものを合わせてもよし。
トラウザーズのみで、上をニットで合わせてもよし。
生地に表情があれば、色々な使い方ができます。
スリーピースで作るけれど、それぞれ別で使えるものと、使えないものの違いはなにか?と気になる方もいらっしゃるかと思います。
言葉だけで説明するのが難しいのですが、
スーツのためだけに作られた生地ではなく、かつ、ジャケット用の生地というわけでもない。
その間の生地感で、かつ表情があり、立体感のあるもの。
といった具合です。
う〜ん。非常にわかりやすいですねぇ〜(棒読み)
スーツ向けの生地であれば、セパレート使いできるほど華がない。
ジャケット向けの生地であれば、トラウザーズに使えるほどの打ち込みの強さがない。
これに尽きます。
この塩梅で、その方に見合ったものを提案できるかどうかが、こちら側(プロ)の仕事です。
S様、ぜひ素敵に着こなしてください!!
体格の良さを活かして
お客様のご紹介でお越しいただきましたY様。
普段は百貨店で派手派手なイタリアファッションを楽しまれているというお方。
ついた呼び名はマフ⚪︎アだそうです。笑
そんなマ◯ィアさんに、カチッと英国式のスーツはいかがでしょう。というのが今回のお話です。
Y様はとても恰幅のいいお方。
選んだ生地は、ブラウンのプリンスオブウェールズ。
赤オレンジの格子が入った珍しい色柄です。
今回、シャツも合わせてお作りいたしましたが、Y様のような体格の方ですと、首は太いが長さはない。という方が多いです。
そのような方が、ただ単に首の太さだけでシャツを選んでしまいますと、前襟が高く出過ぎてしまい、首が詰まって見えてしまいます。
わたしはそのような場合は、まず襟台を短くいたします。
そして、前襟の落ちるポイントをぐっと下に落とす。
そうしますと、首や顎に不自然に当たらず、ちょうどいい収まり具合になります。
こういうことも文章だけで伝えるのが難しいのですが、このような細かな調整をしているシャツか、していないかで着心地がかなり変わってきます。
身体に一番近いアイテムだからこそ、着心地のわるさはストレスに直結します。
ブレイシーズは共生地でお作りいたしました。
このような体格のお方でしたら、ブレイシーズ以外の選択肢はございません。
ベルトなんてしてもすぐに落ちてしまいますし、ベルトの重みでウエストラインは重力と仲良し確定です。
ブレイシーズを着けることで、ヘソの位置でトラウザーズを履くことができます。
そしてベストの丈をウエストラインが隠れるちょうどのところに持ってきますと、とてもシルエットが綺麗に見えます。
裏地はボルドー。
ダブルはあまり着たことがないということでしたが、絶対お似合いになるので、
「ダブルにしましょう!」
とダブルに相成りました。
その方の持っているお身体を最大限活かすことが、わたしの仕事です。
Y様、この度はありがとうございました。
China calling
海外へ赴任が決まり、そのために洋服を新調したいとお越しいただきました、S様。
ベージュのフレスコトラウザーズに、合わせたブレイシーズはウールリネンのヘリンボーン。
先ほどのY様同様、ウエストラインを上に持ってくることで、シルエットがとても綺麗に見えます。
オッドベストもお作りいたしました。
サンドベージュの襟付きベスト。
オッドベストはご自身でコーディネートをしようとするとかなり難しいので、自信がない方はプロにお願いした方がいいでしょう。(お店に立っている方でも、オッドベストというスタイルに慣れていない方の方が多いので、プロの見極めも必要です)
ジャケットはウールモヘアのネイビージャケット。
何にでも合わせられる、マスターピースです。
もう1セットお作りいたしましたが、写真を撮り忘れてしまいました。
S様、中国の接待でお作りした洋服が着られなくならないように、お気をつけて!笑
-Atelier BERUN-
東京表参道の仕立て屋 / 洋装士
Haruto Takeuchi / 竹内大途