秋冬の装いを愉しむ

BERUNです。

9月も中頃まで真夏のような暑さが続きましたが、下旬に差しかかると一気に冷え込んできました。
もはや軽めなフランネルなら着られるのでは?と思うような気候です。
すでに先日、ツイードのトラウザーズを履いて来られた方もいらっしゃいました。笑

そんなミックスがあるのも、季節の変わり目の良さです。

一生物のツイードと言えば?

ツイード=一生もの

と認識されている方がいらっしゃるかもしれませんが、そうとは限らないのです。

ツイードの中に、一生ものと呼べるクオリティの生地がある。

が正解です。

今日はそんな一生もののツイードをご紹介します。

名はKeepers Tweedと言います。
キーパーズとは、狩猟をするときの見張り番をゲームキーパーと呼んでおり、彼らが着ていたことからその名が付けられました。
狩猟では森、茂みの中を歩くため、その中を歩いても耐えうる堅牢な生地が求められました。

なんと重さは900g。
ジャケットを仕立てると、2kg超えです。

昔はこのような900gを超えるような生地はたくさんあったそうですが、時代とともに消えていき、今はツイードで言えば、このキーパーズツイードだけになってしまいました。

今やキーパーズツイードは、ツイード界のライバルのいないヘビー級王者です。

ハリスツイードの標準のウェイトが480gですので、いかに規格外かお分かりいただけると思います。

今回3着分仕入れることができまして、そんな話をいつも来てくださるY様とお話ししていたところ、それは作らないといけないよね。となりました。笑

Y様はリアルマッコイなどのリアルヴィンテージアーカイブものを好んで着られており、重いわ硬いは洋服だけで立つわといった曲者慣れしている方でした。
つまり、すでにキーパーズの予防接種済みということです。笑

お作りしたものがこちら。

このハリ!わかりますか?笑


この生地は曲がるということを生まれてこのかた知らなかった人生です。
ようやく、肘という部分で稼動することを知った!
そんなレベルです。

メンズテーラードの世界で、もっともコストパフォーマンスがいい洋服ではないでしょうか。笑
そんなコスパなんていう言葉が不釣り合いな生地ですが、一生ものという名にふさわしい洋服が欲しい方にはぜひおすすめいたします。

ジャケットでもよし。コートでもよいです。

Y様、50年くらい着てください!

ツイードアルスターコート

9月からはありがたいことに、コートのご依頼が大変増えてきました。
今月中頃までは、なんとか年内にお渡しできるかと思います。
まぁ、タイムレスなものですので、何月にオーダーをしてもいいのです。
来年以降着ればいいのです。

今このタイミングでコートをお渡ししている方は、7月頃にコートをご注文いただいていた方。
まだまだ暑くて着れませんが、完成したばかりのコートを部屋に掛け、眺めながら涼しくなるのを待つというのもなかなかよい時間ですヨ。

いつもお越しいただいておりますO様。
今回はブラウンのツイード生地を使ったアルスターコートをお仕立ていたしました。

こちらはハリスツイードのものなのですが、別注品で、重さが600gくらいあるかなり肉厚でヘビーな生地です。

ブラウン一色で織り柄もなく、シンプルな生地。こういうものが探すと意外とないのです。

常に色々な生地が入っては来ていますが、当たり前ですがなくなってしまうものもあります。
すべて一期一会。
それも縁です。

アルスターはダブルですが、開けて着ても格好いいです。

タートルネックを中に合わせて、前を開けて下にはコーデュロイパンツ。靴はフルブローグ。

なんて格好いいんでしょう。

スーツの上に着てもよし。ジャケットスタイルでもよし。カジュアルコーデでもよし。

非常に万能なコートです。

O様、いつもありがとうございます!

コットンサファリジャケット

ジャケットよりもカジュアルなスタイルで、日常着として使いやすいサファリジャケット。
今回はコットン素材でお作りいたしました。

BERUNでは珍しいZegna製。
コットン・カシミヤ・ポリウレタンというバランスの生地で、コットン生地なのにほんの少し起毛がかっていて、カシミヤの上品さを感じさせながら、ウレタンの伸縮性もあるというバランスのいい生地です。

お色味もブラウンベースですが、光の当たり方により、色々な表情が出ます。


こちらの生地は昔一着分見つけたとき、しばらく寝かせて、一枚袖のラグランコートを作成いたしました。

そのときの記事がこちら


雰囲気がよく、また欲しいなぁと思っていたのですが、なかなか同じ生地が見つかりませんでした。
しかし今年の初めにたまたま同じものが見つかりまして、ヨカッタヨカッタと買い付けたものです。
カジュアルにブルゾンにしてもいい。スラックスでもいい。スーツにしてもいい。
なんにでも合う魅力的な生地です。

肩パッドも抜き、カジュアルな仕立てにしております。

下には合わせてお作りしたデニムトラウザーズ。
この上下のコーディネートがあれば、どこにでも行けますね。

S様、いつもありがとうございます!

人を見る

初めてお越しいただいたW様。
来年還暦で、これまで服装にはこだわってこなかったけれど、新たなスタートということで、一式お作りいたしました。

生地はMarling & Evans社のグレーに青の千鳥格子が入った生地。
質感はツイードとスーツ地のちょうど間のような、程よいカジュアルさのある生地。

こういう色味と生地感のものは、ジャケットでもいいのですが、スーツにした方が活きます。

趣味のレベルではない自転車好きのW様。自転車は前屈みになるため、長年乗り続けていると、自然と前肩が強くなります。
そういうのもその人の個性ですので、雰囲気に加味してフィッティングを決めます。

都市部に住んでいない方でしたら、格好良すぎるというのも考えものです。

これいつ着るんだ?というのでは意味がないです。
せっかくですから、日頃から着ていただきたいですし、お隣さんと会ったときにも、
「あら、素敵ですね」
くらいのライトな褒められ具合が理想だとわたしは思っています。

その人の人柄、年齢、立場、そして周りの空気感、それらを考慮してモノづくりは進みます。

それらを無視して選ぶ洋服は、またわたしが考える洋服の楽しみ方とは別の捉え方です。
まぁ、人それぞれ、好きなようにすればいいのです。その何が好きかが、その方のセンスの表れるところです。

来年還暦になられるW様には、ベストは襟付きでお仕立てしました。
生地に少し余裕があったことと、生地の雰囲気がよかったので、ベストの背中は表生地にしております。
そうすることで、上着を脱いで出歩いても、「上着置いてきたんですか?」とならずにすみます。

靴は黒のフルブローグ。

ネクタイは弊社のオリジナルで、ロロピアーナのドリームツイードを使い作成したブルーのヘリンボーンタイ。

スーツと同色で合わせました。

スーツ全体のシルエットも、絞りすぎず、カッコつけすぎず、だけど雰囲気にうまく合っている、というニュアンスでお作りいたしました。

W様、この度はありがとうございました!

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-Atelier BERUN-
東京表参道の仕立て屋 / 洋装士

Haruto Takeuchi / 竹内大途

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