服育という考え方

ベルンです。

昨日はバレンタインデー。

大のチョコ好きと公言し続けて十数年。

ここ数年もらっていなかったチョコをいただきました。(←義理チョコ笑)

生きててよかった。

母親から高校生のときにもらった以来くらいではないでしょうか笑

そんな夜、浮かれて外でご飯を食べていたら帰り道が大変なことに。

これは

「北国出身者にとってはへっちゃらさ」

なんて言えないレベル。

なかなか記録的な積雪でしょう。

タクシーもつかまらず、横殴りの雪にほほを打たれ、ノックダウン寸前の中奇跡的に一台の空車タクシーを見つけ帰ることができました。

信号が替わるたびに腰を振り踊りだす車たち。

どきどき具合はチキチキマシン猛レースのようでした。

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さて、

わたしの仕事は、服を通して人を教育していくことであり、軽率なファッションやおしゃれという概念を度外視した思いを持って仕事をしています。

昔からわたしは世に言う「ファッショニスタ」と呼ばれる、ファッション大好きで、毎年毎年新しい洋服を新調しては捨てていく、新陳代謝の早いファッション業界を愛する人間とはあまり交流を求める気はありませんでした。

好きな服はオーセンティックでタイムレスな物ばかりで、いかに長く着ることができるか、というところが優先順位のため、そういった人たちとは洋服に対する概念が合わないのです。

そして、本質的な洋服を好む人となれば、世に言うファッショニスタではなく、反対にファッションに関して今まであまり関心を抱いてこなかった人たちがほとんどです。

本当にその物が好きだと、世間にあふれる2流のものを一切好きになれない。

そういう人たちは、今まで本当の洋服のすばらしさに出会うきっかけがなかっただけなのです。

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そして今日は、改めてわたしの仕事を振り返る出来事がありました。

それはわたしが仕事を始めたときからのお付き合いをさせていただいているお客様からのお言葉でした。

その方は昨年の夏に、ロールアップしてカジュアルにはけるコットンパンツがほしいという要望がありました。

いつもはノークッションより短い丈のトラウザーズを作ることはないのですが、

真夏という季節もあり、リネンシャツに短丈のコットンパンツをはき、足元はサンダル。

というイメージが希望だったので、くるぶしが見えるくらいの短めのカジュアルパンツを作ることにしました。

このくらいの丈感です。

イメージ通りだったようで、夏にお作りしたときは大満足でした。

また、真夏でもはけるようにかなり薄手のコットン地を使ったので、真夏は大活躍するだろうとふんでいました。

しかしその方から昨日、

「最近周りからパンツの丈が短いといわれる」

と連絡をいただきました。

真夏にお作りしたコットンパンツを、この真冬にもはいていらしたのです。

わたしはすかさず、

「夏用としてお作りしている物なので、冬にはくものではない」

とお伝えしたのですが、なかなかわたしの言いたいことはあまり伝わっていなかったようでした。

女子校生が真冬にもスカートで歩くことができるように、足という部分は上体に比べ、そこまで寒さの体感はしずらい部分。
いわば、我慢できてしまうのです。

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日本という四季がきれいに分かれている国では、季節ごとに自分の気分はまったく変わってしまうものです。

夏には開放的になりたくなり、より軽く、色味も明るいものを身に着けたいようになりますが、

秋が近づき冬になると、色目を抑え、なるべく肌を出さないように洋服を選ぶ思考になるものです。

前述した、真冬に薄手の短丈のコットンパンツをはくことは、真冬にリネンシャツを着ることと同様に、季節感を無視したことになってしまう。

ということは、洋服好きには当たり前にようにわかっている話です。

しかしこういった理屈を、しっかりと理解して服を選んでいる人は洋服が本当に大好きな人のみで、おそらく世の中の割合的に0,0数%くらいでしょう。

ほとんどの会社員が、夏にも着られる背抜きのスーツを冬にも着ている現状なのです。

寒ければ上に着ればいい。
と考えているのです。

残念ながらそのマインドは、学生時代の制服の考え方から進歩がありません。

世間一般の人たちは、服は着れればいい。それでいてダサくはなく、ちょっとオシャレな感じが少しでもあればそれで十分。

くらいでしか考えていないのです。

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今までファッションに純粋に向き合ってきていない人たちにとっては、わたしが言っていることは理解し難いのでしょう。

もちろん、真夏にツイードジャケットは暑いので着ることはありませんが、

冬に夏物のスーツを着ることに対しての抵抗は限りなく少ないのです。

そういったことを防ぐためにも、わたしはみなさんに、

できるならばクローゼットを2つ分けて持ってほしい。

と願っています。

それはもちろん、春夏/秋冬用として分けるものとしての2つです。

2つクローゼットなんて土台無理な話だ、とも言われかねないので、

見えない境界線を1つのクローゼットの中で作ってほしいのです。

オールシーズン着られる洋服なんて、本当につまらないものしかありません。

日本のような四季折々とした国では、毎シーズンどういうものを着たいかなんて気分で変わります。

素材はもちろん、シルエットや色合いなど、

冬にはまったく着る気のなかったものが、春には着たくなってきます。

夏に着ていたものは夏のクローゼットに仕舞い、冬は冬のクローゼットを開けましょう。

コットンパンツはコットンパンツでも、今の季節であれば「モールスキン」や「コーデュロイ」のように、暖かい生地を選ぶことで、季節感を楽しむことができるのです。

パンツのシルエットや上着のボリュームに合わせ、季節によってはく靴も変わってきます。

夏場ではあまり出番の少なかったボリュームのあるブローグシューズも、冬場はたくさん活躍します。

<セミブローグ>

反対にボリュームが増える冬の場面では、コンパクトに収まりすぎてしまうローファーの出番はあまり少なくなってしまいます。

こういったことを念頭にいれ、年間のコーディネートの中で足りないものを書き出していくことも大切なことかもしれません。

玉数がない最初のときでも、無理やり戦場に送りだすようなことはしてほしくないのです。

準備不足のまま第一線に出ても、すぐにやられてしまいます。

そして、こういったことをしっかりと伝え続けていくことが、わたしのような仕事をしている人の使命なのでしょう。

最後に、ファッション性の薄い、飾り気のない理想的なジャケパンのパンツ丈はこのくらいでしょうか。

もし少しファッショナブルに短めで、かつ冬場もはきたいというわがままな要望の場合はこのくらいがギリギリです。

※わたしは徹底的に「アソブ」ファッションを苦手視するので、わたしが率先してすすめることはありません。

長くなってしまいましたが、こういったテーマはとても大切なことなのだと思いました。

相手がどんなに立派な方であろうと、しり込みせず、自分の伝えたいことを100%伝えること。

これがなによりも大切なんだと。

そう感じました。

いつもありがとうございます。

ベルンでした!

Atelier BERUN

東京都新宿区神楽坂6-8-23

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