日本を代表する戦士として

BERUNです。

先日、とても嬉しい出来事がありました。

小学校の頃の大親友から久しぶりにメールが。

どうやら結婚をすることになったそうで、折りいってお願いしたいことがあるという。

大親友からのお願い。

 「スピーチをお願いなんて言われたら、困ってしまうなあ」

と思いながら、しかし頼まれるであろう任務を全うしようと決意をし、本人に直接会い話を聞くと、

「タキシードを作ってほしい」

と頼まれたのです。

まるでコントみたいに思わずズッコケそうになりましたが、安堵してもちろんすぐに快諾しました。

旧友の晴れ舞台に、そして一生涯の記念になる新郎の装いを手がけられることはとても嬉しいかぎりです。

今回お願いされたのはディナージャケット(Dinner Jacket)一式。

(英国を尊重する場合は、タキシードというアメリカ呼びではなくディナージャケットと呼びたいものです)

ディナージャケット(米:タキシード)
ウイングカラーシャツ
ブレイシーズ(米:サスペンダー)
キャップトゥシューズ(ストレートチップ)
ボウタイ
カマーバンド
ポケットチーフ(ホワイトリネン)
ロングホーズ(ひざ下までの靴下)

国内のウェディング業界における「装い」の立場はもはや末期ガン状態で、悪しき習慣が蔓延しているように感じられます。

リカちゃん人形の彼氏のような、真っ白のテロテロした丈の長い”ステージ衣装”は、西洋では存在しません。

ウェディング業界を変えたい!
なんて大それたことを言うことはありませんが、せめてわたしの身近にいる方には、一生の記念の場で、こういった‘間違った‘恰好をしてもらいたくないのです。

聞いてびっくりしたのが、式場が用意している服を着るだけで8万円割引になるという話です。

持ち込み料がかかることはわかっていましたが、まさかそんな仕組みにまでなっていたとは。。。

もはやこの業界は、取れる金をできるだけ搾り取る残酷な世界になっているようです。

しかしそんな話を振り切って、世界基準のフォーマルで装いたい!
と言ってくれた友人には感謝をします。

表地で使用したのは「Lavat(ラバット)社」のウール/モヘアのバラシャ。

写真で見ていただいてもお分かりいただけるように独特の光沢感のあるバラシャは、細番手の梳毛(そもう)生地を使用し、縮絨起毛して仕上げられています。

一昔前に流行った生地ではありましたが、おっさん臭いというイメージから人気が沈下していました。

しかし最近オールシーズン着ることができ、美しい光沢とハリ感のある魅力的な生地感がまた見直され、礼服用の生地として注目されてきているようです。

ピークドラペルの一つボタン。
座ったときにも窮屈な思いをせずにボタンをしめられるよう、前ボタンはキッスボタンにしてあります。

拝絹と側章、腰ポケットはもちろんシルク地を使用。

裾はシングルのモーニングカット(かかと部分の方が1~2cmほど長いフォーマルな裾)。
後ろから見て、足が長く見える仕様です。

こういう場合、靴はパテントレザー(エナメル)にすることが多いのですが、今後も使うことを考えカーフレザーのシンプルなストレートチップを作りました。

ヒダ(プリーツ)付きのタイプのシャツもありますが、本人のイメージを考慮し、あえてシンプルなデザインに仕上げました。

ウイングカラーで比翼タイプ。

よりクラシックに傾倒したければヒダ付きにスタッズボタンもありですが、このくらいで十分でしょう。

こちらはラルフローレンのブレイシーズ。
本番用は真っ白のタイプのものですが、こちらも大変雰囲気がいいですね。

もっと男性の方々にはブレイシーズを着けていただきたいものです。

後ろ姿が本当にセクシーです。

ジャケットはノーベントのため、ビスポケット(パンツポケット)は必要ありません。

無駄なものをとことん排除したところに男の装いの美学があります。

ディナージャケットを作ったものの、お色直しをどうしようかと考えることがありますが、せっかく作った上モノが使えないのではもったいないと思います。

そこで、小さな部分を変えるだけで、十分お色直しの装いもつくることができるサンプルコーディネート。

そもそも結婚式という式典自体、男性が主役ではありません。
時代が変わろうといつの時代も男性は女性を立てるための存在であり、そのためにブラックフォーマルがあるのです。

ウェディング業界が礼節を知らずに勝手に作った白いスーツは、
「花嫁が派手だから男性も派手にしないとね」
というセンスの感じられないアイデアから発展していったものです。

新婦さんのウェディングドレスがオレンジだということで、スカーフとポケットチーフで色を合わせ、ボウタイも黒から白に変えました。

Vゾーンを変えるだけで、全く違うコーディネートにすることができます。

男性のお色直しはこのくらいで十二分ではないでしょうか。

ここまでしっかりと全身コーディネートをすると、作り手・着る側双方の満足度がとても高いですね。

想像以上の出来栄えに本人もとても喜んでいただけました。

彼の晴れ舞台を見られることが楽しみで仕方ありません。

参列する側としても年に数回しかないイベントだからこそ、少ない機会でもしっかりと着こなすことができる男が増えれば嬉しいかぎりです。

ベルンでした!

Atelier BERUN

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