反逆のミッドナイトブルー

ベルンです。

11月末に、BERUN創業当時から5年来のお付き合いであるお客様が結婚式を挙げられるため、ディナージャケットをお作りさせていただきました。

そのお客様の要望はやはり、007のイメージ。
現代的なタキシードスタイルを提唱しているダニエルクレイグ期のタキシード。

黒地ではなく、ミッドナイトブルーと呼ばれるダークネイビーの服地を使っています。
最近の洒落心の高い人が着るタキシードはこの色味を使っている傾向がありますね。

こんなタイトなシルエットのジャケットの中にピストルを仕舞うなんて。
まったく007、クールすぎです。

しかしこのイメージをこのまま作ってしまうと、どうしてもコスプレ臭が出過ぎてしまいリアルクローズではありません。
映画やTVに使われる衣装は、視聴者の目を引かせるためどれも過剰なものばかりです。
それらに憧れを強く持ちすぎてしまうと、タウンユースできるスタイルのものではなくなってしまい、どうも”やりすぎ”てしまうのです。
スクリーンで生きる彼らと街で生きる自分。それをしっかりと分け隔てることからリアルクローズの解釈は始まります。

映画のイメージを現代に持ち出すことはせず、ニオイを感じさせるくらいのリスペクトを込めて製作しました。

生地はEDWIN WOODHOUSE(エドウィンウッドハウス)のウール98%/カシミア2%のドレッシーなダークネイビー。

細めのショールカラー。
ヘチマ襟にはシャツはウイングカラーで合わせます。
シャツはスタッズ仕様にはせず、比翼でヒダもなしのシンプルなスタイル。

ボウタイはまだ購入されていなかったので、わたしが持ち合わせていたHUGO BOSSのボウタイを合わせました。
本番はもう少しこじんまりしたボウタイを選ぶ予定です。

ジェームズ・ボンドのタキシードは運動量が多いためベントが切られていることが多いですが、男のフォーマルウェアはノーベントでいきます。
後ろのシルエットが本当にセクシーです。

足元は勝手に合わせたわたしの私物、エナメルのオペラパンプス。
Most Formalで正攻法の靴はこちらです。
ただエナメルは保管も大変で履く機会も少ないので、黒のストレートチップで合わせてもいいでしょう。

現代の若者だと細身細身といきたいところだと思いますが、男の正式な衣服であるタキシードにはそういった”こびた”発想はいりません。
パンツのシルエットはやはりこのくらいゆったりと作った方が、男性的でエレガントに見えます。
とことんシンプルで、シルエットと素材の良さで男を引き出す。
それが作り手の仕事だと思います。

当日わたしは「ディレクターズ・スーツ」で出席させていただきます。
最近完成したディレクターズ・スーツについてはまた次回ご紹介いたします。

さぁ、明日は待ちに待ったTweed Run(ツイードラン)!
楽しんで参ります。

ベルンでした!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です