共創時代

ベルンです。

我々の業界では最も盛んな月であり、最も楽しみな季節でもある11月が終わりました。
12月は今のところ、落ち着いた時間を過ごしております。

ツイードにフランネル、そしてコートなど、バラエティ豊かな季節のはじまりとなれば、洒落者が黙っているわけがありません。

 

やはり、ツイードを身にまといチェスターフィールドコートを着ると、ぐっと男が上がります。
急に気温が下がった昨日、コートの襟を自然に立てて落葉を踏みしめながら歩くのが粋な季節がやってきました。

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外苑前の銀杏並木もいい雰囲気です。

たまたま昨日はPORTER & HARDINGのHARTWISTで仕立てたウインドーペインのスリーピーススーツで出かけていましたが、銀杏並木との色が打ち合わせをしていたかのようにマッチし、街の景色に嫌味なく溶け込んでくれました。

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さて、
先日、久しぶりに同業の方と会食をして参りました。
あまり同業との繋がりを果敢に作ろうとはしていなかったわたしですが、最近はそうも言っていられなくなってきたと感じています。

きっかけの1つですが、2年ほど前、とある駅からほどほど歩く裏路地に、いい感じの英国服を扱っているお店を見つけ、オーナーとお話をしていました。
本場サヴィルロー仕立ての(この業界ではよく言いますが)スリーピーススーツに、ターンブル&アッサーのシャツにタイを合わせる正統派ブリティッシュスタイル。
他にも面白いセレクトがあり、楽しく見させていただきました。
そこでふと、HPはあるかと聞いたのですが、以前はあったそうなのですが、今は作っていないというのです。

なぜかと言うと、HPでアップする作品や生地など、スタイルをすぐに同業に真似されてしまうため、アップする意味がないという見解に至ったとのことでした。

それを聞いたとき、わたしは少し残念な気持ちになり、また異なる考え方を持って仕事をしているのだと感じました。

せっかく素晴らしいセンスと技術をもっていても、それを使わない限り本物は日の目を見ることはできません。
わたしは最近、完成したものをFBページに細目にアップするようにしていますが、これはもちろんお客様に見ていただく意味も踏まえてますが、それは、業界の方も含めあらゆる方々に見ていただきたいと思ってのことでもあります。

近頃、生半可な気持ちで開業する人が多く、安価なイタリア生地を使って営業をしている人が増えています。
決してこういった仕事が悪いわけではありませんが、プロとして1着を仕立て、それを世に生み落とすことがどれだけ責任のあることかわかっていない人が多いような気がします。
知識を持たずにフィッティングをし、ディテールをむやみやたらに決めてしまうことがどれだけ罪深いことか。

店頭に立つ店員のレベルの低さにも愕然としてしまいます。
お客様は本来、店員に教えてもらいにいくはずですが、その本来先生となるはずの店員が、大学を出て、会社にセールストークをいくつか教えられた程度の人たちばかりです。

そういう人たちが乱立してしまうことで、正しいスーツの着方、細かく言えばスリーピーススーツの着方や歴史、必要性などをしっかりと伝えていくことができません。
ベストの1番下のボタンを平気で閉じ、スリーピース着用時にはベルトは付けないという初歩的なルールすら理解していない人がプロとして立っているのです。

そのような気持ちで洋服を販売している人たちに、少しでもアイデアやデザインソースになればいいという思いもあり、アップしています。

プロと呼ばれる人は、生半可な気持ちで物を売ってはいけません。
本気で人と向き合わなければいけないのです。
21世紀になり、流行が凄まじいスピードでファッションを破壊していく現代。
もはや自分だけがよければそれでいいという発想では、この業界はどんどんダメになっていってしまいます。
業界の中で意識を高くもっている人たちが、ため込むのではなく世にみせていくことが何よりも大切なのでしょう。
本来お店という場所は、ただ物を買いにいくだけではなく、その時間、空間、すべてを楽しんでもらうためにどうするべきかと考えることが、何よりも大切なのだと思います。
それができないお店は、ネットショップに脅かされ、価格競争の渦に巻き込まれてしまうでしょう。
本気で仕事をしないと生きていけない時代にきています。
頑固オヤジに怒られにいく。
間違った着方を正されにいく。

そんな社会勉強のできるお店を、わたしは遺していきたいと思っております。

ベルンでした!

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