武相荘にて

ベルンです。

本日、晴れた休日を使ってずっと行きたかったある場所へと行ってきました。

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その名も武相荘(ぶあいそう)。

知ってる人は知っている、白洲次郎氏が戦前から人生の最期まで住んでいたお家です。
氏は日本がアメリカに戦争を仕掛けたと知ったときから日本は負けると見据えており、それまでの都内での仕事に見切りをつけ、東京の外れへと疎開したそうです。
そこで移り住んだ家がこの「武相荘」。
ちなみにこの変わった名の由来は、旧鶴川村(現町田市)が東京”武蔵”と”相模原”の間に位置することから名付けられたと言われています。
氏の人間性も伺える、非常に素敵なネーミングです。

実はこちら、昨年の12月に一度伺ったのですが、閉館を10分過ぎてしまい、中に入ることができなかったのです。
昨年の雪辱を晴らすべく、今回は昼過ぎに出発しました。

もちろん足は彼と。

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ところで、彼は”ポール”と名付けました。
街で見かけたら「ポール!」と呼んでください笑

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武相荘への道のりは、門から2~3分ほど歩きます。
その間は竹林に囲まれた石畳を歩くため、非常に気持ちがよかったです。
この道のりも、決して焦らずゆっくり歩くべしという氏の教えのように感じました。

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建物自体は、戦前からあった古い家屋を白州夫婦が少しずつ手を加えて直していったそうです。
和が基調なのですが、海外の友人からいただいたものや、自らの目で集めてきたものが調度品として並んであり、和洋折衷が見事に織り混ざっていました。

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入り口に入る前にこの車が出迎えてくれます。
こちらは、2008~9年に放送されたNHKスペシャル「白州次郎」撮影のために、英国の名門クラブ”ヴィンテージ・スポーツカー・クラブ”の協力を得て輸入した、1916年型ペイジ Six-38という車。
当時氏が実際に乗っていたものとは年式が異なるそうですが、こんな車を100年前に日本人が英国の田舎で乗り回していたことをイメージすると、型破りな人間であるということは容易に想像できますね。

2枚上の後ろにある彼の写真は有名な一枚で、白い無地のTシャツにジーンズというシンプルな格好。
日本で最初にジーンズを履いた男と称される男です。
端正な顔立ちと、当時の日本人ではかなり大柄な180cmを超える、見た目も美しいナイスガイです。

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車の展示を通り過ぎ玄関の前に立つと、完全に時代の止まった”古き良き昭和”がここにはありました。

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こちらは次郎氏が使っていた農作業用の器具。
武相荘に疎開し、今まで日本の第一線で戦っていた氏は、東京を遠くから見守る位置に落ち着き、百姓となりました。

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こちらが居間のある茅葺きの建物。
残念ながら、室内は撮影ができないそうです。

この縁側で、

「ツイードは軒先に2,3年干してから着るもんだ」

という会話が行われていたのかと、想像を膨らませて楽しんでむのも悪くないですね。

室内は互いにこだわりのある氏と正子夫人のセンスがうまく共存していました。
しかし話を聞くと、氏が生きている間は折れていた夫人も、死後は彼女好みにレイアウトした部屋もあるのだとか。
2人の付かず離れずの空気感は、夫婦の在り方とはどうあるべきかを考えさせてくれます。

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窓は全て吹きガラスになっていました。
ゆらゆらとゆがんで見える吹きガラスは人間のぬくもりを感じさせてくれます。

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カフェも併設してあります。

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最後に、武相荘では年に3度、骨董市を開いているそうです。
美しいものを見尽した氏と夫人が生涯好きだったのが骨董探しと言われています。

夫人は生前にNHKのとある番組で、

「どんなに高いものより、誰かが大切に使ってきた古くて素敵なものを見つけたときの方が喜びが大きい」

というようなことを仰っていました。
あらゆる贅を尽くした2人が行き着いた先は、人間らしい地に足の着いた人生の楽しみ方だったのです。

日本人は骨董・アンティークと言うとどうも生活と直結しづらいですが、英国の場合は夫婦で蚤の市に出かけ、家具を買って部屋でそのまま使うという生活が日常的に行われています。
日本人も金を使う遊びだけではなく、人間味のある楽しみ方をもっと覚えることが、国の教養に繋がっていくのではと考えさせられました。

まぁわたしが色々と言うよりも、氏と夫人はたくさんの書籍を出しています。
それをぜひ見てみていただきたいです。
今の日本人が忘れてしまった強く美しいものを、もう一度現代に呼び戻してくれる。
そんなパワーを持っています。

行ってよかったと心から思えました。

ベルンでした!

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