コンプレックスを魅力に変える

BERUNです。

連日うだるような暑さが続きますが、お盆明けには本格的に秋冬物が始まります。

今月もこの炎天下のなかすでに秋物を作りに来てくださる猛者が多く、とても嬉しい限りです。

オンシーズンになりますと、ベーシックなものは在庫切れになってしまうこともありますので、お互い損になってしまいます。

わたし自身もゆっくりとものづくりを考えられるので、季節より少し早いオーダーが一番嬉しいのです。

さて、話は本題にいきますが、ビスポークの魅力にハマる人ってどんな人でしょう。

一つは純粋にビスポークという哲学にほれ込んだ人。

そしてわたしはもう一つ持論があるのですが、「自らの体型にコンプレックスを持っている方」というのがあると思います。

そしてほとんどの人は、自分の体型のどこかにコンプレックスがあるのではないでしょうか。

日本人で多いのは、
・下半身が太い
(特にスポーツをやっていた方は、ウエストの細さに対してヒップとふくらはぎが太い人は多い)

・肩幅に合わせるとジャケットのウエストがユルユルになってしまう
(細身の方に多い傾向があります)

・首に合わせるとシャツの裄丈が短い
(首が細いが腕が長い。よくいらっしゃいます)

などなど。

これらのどれか一つには、当てはまる人は多いと思います。

わたしも、自らの体型にはコンプレックスをたくさん感じています。

そのため、既製服しか知らなかったときは自分の体型をもっとよく見せようなんてことは諦めていました。

スラックスは可もなく不可もないユニクロで十分。
シャツは鎌倉で十分。
ジャケットはそれなりにサイズが合うから、量販店の細身のもので事足りる。

そんな発想を、20歳のときまではしていました。

いわゆる満足という名の妥協ですね。

しかしはじめて本格的なビスポークを師匠に仕立てていただいたとき、自分の体型で知らなかった部分をたくさん気付かせてもらいました。
(その前にも百貨店でパターンオーダーをしたことはありましたが、そのときは特に大きな感動はなかったです,,)

わたしの体型の特徴は、

肩幅が狭いが顔が大きい
→そのまま身体に合わせてしまうと、より顔の大きさが露呈されてしまう。
(これは肩幅とラペル幅を通常より広めにとることで、見え方が大きく改善されます)

ウエストに対しヒップとふくらはぎが太い
→パターンオーダーではベースサイズを決めるため、46だとウエストはちょうどいいが、ふくらはぎがピタピタになる。反対に48にするとウエストが余ってしまう。

大きな問題はこの2点でした。

ここまでの話を聞き、”本当のビスポークとは、ただ身体に合わせて作るということではない”ということを教えてもらったのです。

そもそもここ数年ずっとトレンドである、ぴたぴたタイトパンツにくるぶしの見える短い丈。
そして、肩幅の狭く着丈の短い上着を着るスタイル。
このスタイルを、本当にカッコよく着こなせる日本人は一体どのくらいいるのでしょうか。

雑誌でよく見かける人でも、フラットな視点でよく見てみると、似合っていると言える人は少ないのでは?と思ってしまいます。

ここ数十年で日本人の体型はより西洋の人に近づいたと言われていますが、やはり未だに国の差はとても大きく、超えられることのないものがあります。
(戦前までは6頭身の東洋人、8頭身の西洋人なんて言われていたのに、たった数十年でその差は埋まるはずはありません)

それなのに現代は、着るものはほぼ同じ衣服を着ています。
(もっと言えば、日本人の方がイタリア的ファッションを着ている人が多いでしょう)

一度冷静になり、周りがはやし立てて着ている現実を忘れ、全身鏡で自分の身体を見てみましょう。

日本人には日本人らしいスタイルがあります。

それは雑誌や百貨店がビジネスとして日本に持ち込んできた衣服でしょうか。

流行りの服を着て、街1番のファッションピープルのつもりでいた人が、ビスポークをしてみて、今までの装いは何だったのかと思い直す機会には何度も出会ってきています。

フランスに行くと、同じ人間なのかと目を疑いたくなるようなスレンダーな青い目の人たちが、颯爽とスキニーパンツを履いています。

彼らを見ると、東洋人が履くスキニーパンツはリアルではないと思えます。

自らの体型と向き合い、それを最善の方法でよりよく見せる服を考える。

腰の曲がった80歳を過ぎた老人が、ビシッとスーツを着ると何とも言い表せないオーラが出るのが、ビスポークの力です。

オシャレとはそういうことなのだと思います。

コンプレックスが解消されそれが長所へと変わったとき、人は見違えるほど自信がつき、別人のように変わります。

ファストファッションのブームが去ろうとしている昨今、そろそろ自分に本当に見合った洋服を探してみてもよろしいのではないでしょうか。

 


Atelier BERUN

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