BERUNです。
約5年ぶりのロンドン。
昨日、キングスクロス駅に降りるや否や、駅周辺の栄えぶりに驚きました。
キングスクロス駅周辺は安宿街。
そのため決して治安のいいエリアではありませんが、わたしも初めてイギリスに来たときは、このエリアに大変お世話になりました。
シティであるロンドン、5年も経つと変わっていないはずもありません。
大量に増えた荷物をひとまず預けるため、ホテルのある”サウスケンジントン”まで向かい、翌日からのロンドン散策に備えました。
そして今日、早めの朝食をとり、本物の紳士服が揃う”ジャーミンストリート”に向かうため、最寄りの”グリーンパーク”駅へ降ります。
今までの田舎町とは違い、ロンドンはエスカレーターも人の歩くスピードも約1.8倍。
通勤に追われるシティガイをよそ目に、ひたすらショッピングしていました。
それにしても、サヴィルローの変貌ぶりには驚愕です。
数年前、サヴィルローの入り口の角にアバクロができ、テーラーたちは愕然としました。
しかしなんと現在、サヴィルローの真ん中にアバクロのキッズ専門店が新しくできていたのです。
しかもその場所はビートルズが最後のライブ”Rooftop concert”をやった場所。
つまりアップルレコードの事務所の跡地です。
そこは長らくテナントが入っておらず、入り口のドアの前には世界中から来るビートルズファンの愛のメッセージ(つまり落書きですね)で埋め尽くされていました。
しかし今はもうその面影を全く感じないほどに、綺麗なショップへと様変わりしていました。
ビートルズの1つのメッカが無くなったのも残念ですし、しかも変わったお店はアバクロです。。
その隣には”アレキサンダーマックイーン”のビスポークサロンがあり、反対側の隣には近々カジュアルウェアブランド”JOSEPH(ジョセフ)”ができる予定。
わたしが在住時には”EVISU”があったので、決して変わりきってしまったというわけではありませんが、確実に変わっていくサヴィルロー、この光景をよく思う人はいったいいるのでしょうか。。
馬具、上質な鞄の専門店”スウェイン・アドニー ブリッグ”は以前、ジャーミンストリートの終わりに大きなショップを構えていましたが、今はそこは金(?)のお店に変わっており、店の規模を大幅に縮小して近くのアーケード街の中に移っていました。
グローブトロッターは小さなショップから大通りの大きな店へと栄転。
それぞれのブランドの移り変わりも面白かったです。
わたしのような、どこの国から来たか分からない若いアジア人が1人でトラッドショップに入っても、まったく相手にされないどころか、少し煙たがられるお店が多かったです。
彼らには彼らなりの聖域があるのでしょう。
決まったお客様がおり、そことのリレーションシップを保ち続けるだけで歴史は守られる。
改めて、歴史の壁の厚さを感じました。
そして、気高い誇りも感じました。
日本ではどんなに頑張っても、続けていくことは不可能だろうというレベルのトラディショナルなショップが、悠然と立ち並んでいます。
観光目的で来たような人を、1人1人相手にしている暇はないのでしょう。
ジャーミンストリート界隈を歩き回り、お昼を過ぎる頃には爆買い中国人に匹敵するレベルの荷物になっていました。
何せ5年ぶりのロンドン。
見るものも買うものも、感じることも変わっています。
ロンドンという街は面白く、中心地には若者が集う観光スポット”ピカデリーサーカス”があり、その裏には歌舞伎町のような繁華街”ソーホー地区”があります。しかしそのすぐ反対側には”ジャーミンストリート”や”サヴィルロー”などの紳士が行き交うエリアがあるのです。
すべて徒歩で5分圏内で歩ける範囲にこれだけ色の違う場所がある、とても混沌とした町。
もちろんその地区毎に、行き交う人の特徴も全く違います。
ジャーミンストリートには、ソーホー地区をうろちょろしているような遊び盛りの少年は立ち入りません。
まるで1人1人が、それぞれの聖域を保っているように。
ランチはジャーミンストリート内にある”francos”というレストランにて。
このお店は少々高かったですが、食事をしている人の身なりがとても清潔で、気持ちよく食事ができました。
ロンドンに久しぶりに来て感じたことですが、階級が上がれば上がるほど、オシャレを楽しむのではなく、いかにリアルクローズであるかということに重きを置いている人が多いのです。
彼らはオシャレだと思われたいがために洋服を選んでいるのではなく、純粋に”良いもの”を着ることを意識しています。
これが中価格帯以下のブランドになりますと、途端にディテールが目立った洋服が増えはじめます。
デザインやスタイルで見せるブランドは、”オシャレを楽しみたい人のための服”なのです。
アッパークラスの人たちは徹底的にコンサバティブで、アンダーステートメントであることにエレガンスを感じます。
確かに、晩餐会などの夜会ではディナージャケット(米:タキシード)の着用がマストですが、彼らはそのスタイルを外すようなことはしません。
その中で、たとえば、
「デニム素材のディナージャケットを作って目立ってやろう!」
なんていう発想をする人は、まずその中には入れないと思います。
彼らは王道が美だということを知っているからです。
アッパークラスの人たちは、他人よりどうなりたい。目立ちたい。こう思われたい。
という”too much”な思考は好まないのでしょう。
わたしが泊まったエリア、”サウスケンジントン”はいわゆる高級住宅街にあたります。
そのエリアは、徹底的に均一された街並みで、余計なものが一切ありません。
飲食店やスーパーも駅前にしかなく、道を一本入ると一気に静寂に包まれます。
そこにひっそりと佇んでいるレストランでは、みな最低限のドレスコードを守り、楽しそうに食事を楽しんでいます。
美を追求した先に、それらの結果があるのでしょう。
日本にはそこまで目立たない階級が、こちらでは色濃く感じます。
さて、明日はいよいよ最終日です。
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