服装のモラル

BERUNです。

先日、とても興味深いブログを見ました。
テーマは、「ビジネスクラスやファーストクラスにドレスコードはあるのか」。
とてもわかりやすく、かつ力強く自身の意見をいわれていて、とても身のある内容でした。
(個人のブログであり許可を取っていないため、URLのシェアは差し控えさせていただきます)

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要約しますと、
あなたがどんなに稼いでいて年収1億あろうと、アストンマーチンに乗っていようと、そういった年収や肩書を顔に貼ることはできない。
そのときにあなたを判断することができるのは身なりだけである。
10万円を超えるような高級ジャージーやスウェットを着ていたとしても、それは所詮ジャージーやスウェットでしかなく、極論をいえば1000円のジャケットを着ている方がはるかに立派に見える。

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と、大まかにこのようなことを書かれていました。
服装が年々カジュアル化していく昨今、とてもいいテーマだと思いました。
この話は、飛行機の事例だけではなく、世の中全体で言えることではないでしょうか。

記憶に新しい出来事で言いますと、ITバブルが起きた2000年前後から、社長の在り方、そして人としての身なりというのが変わってきたように思います。
ITが発達したことにより、階級関係なく一生涯で稼ぐような金額を数日で作ることができるようになりました。
そういった成金社長は、重要な会議にも、一着10数万する”ジャージー”を着て参加するようになってしまったのです。
それが彼らにとっての”格好良さ”だったのです。
この時代を皮切りに、服装に頼らずとも、大金を稼いで名声を得ることはできる。と思い始めた人が増えていったのではないかと思います。

 

わたしは昨日、初めて目の前で職務質問を受けている男性とすれ違いました。
その方は職務質問のお願いをかたくなに断り続け、警察に罵声を浴びせ続けていました。市ヶ谷のビジネス街に不穏な空気が流れていました。
年齢は40代ほど、髪は金髪、花柄の短パンにビーチサンダル、色あせたTシャツを着て、何かが入っているコンビニの袋をぶら下げた格好。市ヶ谷には似つかわしくない格好ですね。
誰も職務質問をされたい人はいないはずです。その方も最低限、街に違和感を漂わせる身なりさえしていなければ、警察が話しかけることはなかったでしょう。

なに!わたしも休日、同じような格好をしています!という方もいらっしゃるかと思います。
いえ、なにも休日であればいいのです。ただし、”家からワンマイル以内”であれば。
わたしも家から最寄り駅まで位しか行かない休日には、丸首のTシャツを着ることもあります。
いわゆる”ワンマイルウェア”と呼ばれる衣服を、何マイルも先の銀座や表参道のような街にも着ていくことに抵抗がなくなったのはいつからでしょうか。

※ワンマイルウェア=家から1マイル(約1.6km)以内の範囲で着る、ホームウェアとタウンウェアの間のカジュアルな服装。

何のためにおしゃれをするのか、ということが疑問視されているように感じます。
数年前からの、”がんばっておしゃれをするのがダサい”という風潮が年々強くなっています。
アメリカから来た某サーフ系ブランドなどが流行り、”頑張らないおしゃれ”が広がってきています。

物が増えすぎたからでしょう。選択肢が増えすぎてしまい、”選ぶ”ことをやめてしまった消費者たちが溢れかえり、自分らしく生きる=格好をつけない。という選択に陥ってしまったのだと思います。

何も、日常からジャケットを着て、スラックスを履くべきだ、といいたいわけではありません。
ただ、Tシャツではなく、せめてポロシャツのような襟付きの服を着るようにする。オックスフォードシャツを着るなど、日常のおしゃれの底上げをしていくのが、何よりも自分のためになると思います。

 

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最後に、わたしの好きな映画、フレッド・アステア主演の「有頂天時代(Swing Time)」という作品のなかで、このようなシーンがあります。

ひょんなことから、着替えを持ちそびれて田舎町からNYに行くことになったアステアともう1人の友人。アステアは最上級の装いである、燕尾服にトップハットという出で立ちでした。
道でたまたま通りかかった女性(ジンジャー・ロジャース)に声をかけ、助けてもらったのですが、すきを見て、友人が彼女の財布からお金を”後ろでこっそりと”盗み取ってしまったのです。
それにすぐさま気づいたジンジャーはすぐにアステアに問い詰める。しかし事情を知らないアステアはわけも分からずたじろぐ。
そこにたまたま警察が通りかかり、ジンジャーが呼び止め事情を説明をします。
しかし警察は、燕尾服にトップハットという完璧な着こなしの紳士のアステアを見て、
「この方が盗みをするとはとても思えない」
と言い、逆に彼女を追い返してしまうのだ。

これは1930年代という今とはまったく文化の違う時代背景と(当時は今よりもっと女性が軽視されていたのでしょう)、日本とアメリカの違いというのももちろんあります。

ヨーロッパの格式のあるホテルでも絶対的なドレスコードというのは”ほぼ”なくなりつつありますが、それでも装いはまず第一に見られ、判断されます。
これからどんなに時代が進もうと、人はまず、服装で判断されます。服装のモラルがなくなった日本の常識のまま世界に行ってしまうと、どこに行っても冷遇されてしまうでしょう。

余談ですが、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのダンスは素晴らしいの一言です。
これを幼少期に見ていたら、わたしはきっとダンサーを目指していたでしょう。。
マイケルジャクソンに憧れられた男、世界の老若男女から愛されたアステアからは、装いやダンスのほかにも、学ぶところがたくさんありそうです。

 


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