James Dunsfordが来た日

BERUNです。

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前回のブログにも書きましたが、先週の火曜日、Harrisonsの社長James氏がBERUNにお越しくださいました。
氏と接触する機会が表れたのは、Facebook上ででした。
わたしが日々アップしているBERUNのFBページを彼が見つけ、事あるごとに「Like!」をしてくれていたのです。
(他の生地メーカーのスーツのときはLikeをしません笑。 分かりやすくて気持ちがいいです)
以前の来日の際、来ていただけるとのことでしたが、予定が合わず、また次回にとなりました。

彼はロンドンではなくエクセターという地方都市に暮らしています。「ロンドンはビジネスをする場所だ。」という確固たる姿勢を崩しません。
初めて彼に会いましたが、まさに彼こそが生粋の英国人だと思いました。(英国人というのも変な言葉ですが笑)
元々は裏地メーカーであったLear Brown & Dunsford。その小さな会社が、Harrisons of Edinburgh、H Lesser & Sons.、W Bill、Smith Woolensという名だたる英国生地メーカーを獲得していくサクセスストーリーを描いてきました。

彼の洋服を見ても、紺の無地のスーツに、紫のニットタイ、靴は黒のサイドエラスティックというシンプルな姿。そして脇に抱えたクラッチバッグはボロボロで油も抜けきっていました。
豪華な家や車、必要以上にいい仕立ての洋服は求めず、質素倹約で、派手な生活を望まない、真のブリティッシュマン。

彼はわたしが英国が大好きなこともしっかりと理解してくれました。

いくつか抱えているブランドのそれぞれの方向性も聞くことができ、とても楽しい時間を過ごすことができました。

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もしSavile Rowでスーツを仕立てるとしたら、どこをおススメするか?
という質問をしてみました。それに対し彼は、
「相当なお金がかかるが、あなたはそんなに裕福なのか?」
と答えました。
1着£4,000~。ポンドが落ち着いたとはいえ、約50~60万円する世界です。
この裕福というのは、単にお金があるかというわけではなく、それを着るに値する人物なのか、ということです。

そもそもビスポークの世界とは、あちこち色んなところで作ってみよう、という日本人的スタンプラリー感覚ではなく、一生の付き合いを互いに創作していくものです。
記念にSavile Rowで1着作ってみようというのは、決してわるいわけではありませんが、それでは本当の意味でBespokeを理解したとは言えないでしょう。
初めの1着で互いに理想のものができあがることはまず不可能です。それが2着3着と数を増やしていき、微調整を繰り返していくことで100%に近い状態へと近づいていきます。
彼が相当なお金がかかる、と言ったのは、そういった意味合いがあるのかもしれません。

例で、対極的な2人を挙げてみました。ふと考えてみていただけたら面白いかと思います。
1人は、昨年は”HUNTS MAN”で作ったから、今年は”HENRY POOLE”で作ろう。来年は”GIEVES & HAWKES”かな。という考えを持った方。
もう1人は、父親もずっと”Anderson & Sheppard”で作っていたから、わたしもそこで作っています。という方。

前者の方は、あちこち動き回っていて一見楽しそうですが、なんだかせわしなく、互いの関係の構築もできていません。
「モノを作る」というミクロな世界に居続けてしまうと、このような行動になりがちです。
対して後者の方は、「関係を作る」ことに重きを置いています。Bespokeで何より大切であり愉しいのは、ここだとわたしは思います。

ハイクラス向けのBespokeか、一般階級向けのReady made(既製服)しかほぼない英国に比べ、日本は様々な価格帯のスーツがあります。
階級がそこまで色濃くない国だからこそ、自らがどういう人間になりたいのかを明確にし、その未来像に見合うスーツを贖うことができます。

ホンモノというものが埋もれて探すのが大変になってきている現代だからこそ、しっかりと見極める経験とセンスがますます必要になってきていると感じます。

 

最後に。ジェームズと撮った写真は、わたしがうれしくて笑顔になりすぎてしまい、あまりにも笑顔すぎて少し気持ちわるかったので、アップを控えさせていただきます笑

~今週の定休日~

25日土曜日

 


Atelier BERUN

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