GW

BERUNです。

GWが始まりました。
神楽坂は初日から大勢の方がいらしています。
ここ数日は過ごしやすい天気が多く、この時期は会う人との会話で、この気候が1年続けばいいのにねぇ。なんていう叶うことのない会話をしています。

春の装いが意外と困る方が多くいらっしゃると思います。
時期の短い春と秋に重きを置く人は、本当に洋服が好きな方くらいでしょう。
男性はジャケットを着てしまえばそれなりになりますが、女性の洋服選びはより大変だと思います。

BERUNでは最近、初めてBespokeをされる方には、これから夏が始まる時期だとしても、あまり夏向けの生地を勧めないようにしています。
初めて作る1着は、その方のベースとなるスーツになるため、あまり季節感を出しすぎないようにした方がいいと思うからです。
フレスコやモヘア混の生地は夏には最高に気持ちがいいですが、もしその1着しか勝負服がなく、着る時期が冬だったとしたら、周りの方に季節感のない人だという印象を与えてしまいかねません。初めてのスーツには、ウェイトがある程度しっかりとした生地を勧めます。

冬の終わりから春頃までは、「Harrisons」の”REGENCY”をよく使います。
しなやかさと上品さを持ちながら、英国的なしっかりとした肉感もある、”着映え”のする生地です。
初めてお作りするものは、ある程度生地に”雰囲気”があった方がいいと思っています。

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こちらが先日REGENCYでお作りした1着。
今回が初オーダーのH氏。今までは百貨店でパターンオーダーをされていたそうですが、イタリア系がほとんどで、英国の洋装文化に触れたことはなかったそうです。

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そのままお勧めを受けいれてしまうと、ピタピタくるぶしスラックスに、お尻丸出しジャケットを着ることになる現在のファッションシーン。
そのため初めて作られたときは、本来のbespokeのゆったりとしたサイズ感に、ほとんどの方が戸惑います。
スーツが立派すぎて顔が若く見える。など、色々な体験を経ていきます。
近い将来、それを気軽に着られるようになるために切磋琢磨する。スーツが人の成長を後押ししてくれます。

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こちらは春夏のジャケット&スラックスコーディネイト。
当日はスーツで来られたため、靴は黒のキャップトゥですが、茶のブローグやダブルモンクの2択は定番で間違いないでしょう。
上は「Harrisons」の”MIRAGE”、下は「W Bill」のコットンです。
前のブログでも書きましたが、コットンやリネンなどの植物系素材は、これからの季節、空気中の湿気を含むだけで縮んでいってしまいます。
そのため、麻のシャツなどには”湯通し”を製品にする前に行い、できる限り縮みを抑えることにしています。しかし、湯を通してしまうと生地の風合いが変わってしまうものもあるため、そういった生地には湯通しを行うことはあまりお勧めできません。
こちらのスラックスは通常の丈よりも1~1.5cmほど長く仕立てています。コットンはウールのような動物系素材と異なり、生地の表面が固いため、丈が多少長くとも、下にたまらず、不格好な様にはなりません。しかも着用していると膝の裏や前の部分にも自然とシワができるため、長さも気にならなくなります。

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オフホワイト系のスラックス生地は、ポケットの中に物を入れることはできる限り避けましょう。その部分が擦れて黒ずんできてしまうからです。

 


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これから暑くなるというのに、かなり好みなタッターソールの生地を見つけてしまいましたので、大量に仕入れました。
タッターソールとなると、お客様の顔を思い浮かべる間もなく、柄との出逢いで選んでしまいます。
日本では本格的なタッターソールはあまり見かけません。英国ではトラッドショップには必ずと言っていいほど置いてあるものなのですが、日本ではコーディネイトが難しいと感じてしまうのでしょうか。
こんなにも男性的で、格好良く、コーディネイトを引き上げてくれるシャツはないと思います。

本国のカントリースタイルではタッターソールシャツに、朱色やチェックのウェストコート、タイも柄入りのもの、上着もチェックのツイードと柄on柄のオンパレードという着こなしをします。
しかしそれらを難なく着こなすのが彼らです。類まれなる大きな身体と、土地のモノを着る空気感が、センスの良し悪しを超越するのだと思います。

それをそのまま真似てしまうのは野暮かもしれません。決してわるいわけではありませんが、日本では”コスプレ”、または、”そういうのが好きな人”と、別世界の人扱いされてしまいます。
現実社会に適応し、かつこれらをうまく活用するためには、日本人らしい着こなしを考えなくてはいけません。

日本人らしさ、それが侘び寂びなのだと思います。

 

 


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