大人への階段

BERUNです。

歯が生えた。自転車に乗れるようになった。ビールを飲めるようになった。
大人になっていくと実感する階段は人生には何段もあります。
わたしはその一つに、ステンカラーコートが似合うようになった、というのもあると思っています。

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シルエットで格好良さを表現しない服

これは5年前に作ったW Bill社のツイード生地を使って自分用に仕立てたグレーヘリンボーンのステンカラーコート。
その前の年にツイードのチェスターフィールドコートを仕立てまして、それが大好評であったため、その流れでステンカラーコートも作ろうと思い立ったのです。
今となってはツイードのコートは珍しくもなくなりましたが、当時はあまり見かけないアイテムでした。その頃は表がナイロン素材で、裏地を取り外しできるようなハーフコートが蔓延していて、未来の日本を不安視するような服装レベルだったことを覚えています。

ツイードのチェスターコートはなにも問題なく着こなせていたのですが、ステンカラーコートとなると、途端に難しさが出てきました。
身体のラインをスタイリッシュに出すことができるチェスターコートに対し、肩はラグランで丸みを帯びていて、ウエストはシェイプがないボックスシルエットのステンカラーコートはなかなか着こなすのは容易ではありません。
まさに大人のコート。
このように、昔は全く似合わなかったものが、あるときから自然に見えるというのが色々あると思います。

往年のハリウッドスターたちはこの難しさのあるコートを巧みに着こなしていました。

「ティファニーで朝食を」のジョージ・ペパード。
「シャレード」のケーリー・グラント。
「ブリット」のスティーブ・マックイーン。

彼らはそれぞれ独自の着こなし方をして、そのスタイルは今も世のファッションシーンで参考にされています。

洋服を自分の物にするためには

ところで話は少しそれますが、彼らのように格好よく着こなすために、わたしたちが持っておきたい考え方があります。
お客様には話していますが、大切な洋服ほど、大切にしすぎない方がいいのです。
愛がある前提で、あえて少しラフに扱う。
フレッド・アステアはおろしたてのスーツや洋服は、壁に数十回投げつけてから着始めたという話は有名です。
はたから見たら奇行以外の何者でもありませんが。

かわいい子には旅をさせよ。
大切な洋服だからこそ、あえて着倒すこと、それが何よりの愛情なのです。
その洋服と自分とのいいバランスのパートナーシップを築けたときに、本当に自分のものになったと実感するでしょう。

わたしも2012年に作ったツイードのチェスターコートは、冬の旅行のときには必ず着ていきます。寒い時は膝掛けにもして、汚れがついてもまったく気にせず、6年間着続けてきました。
今はコートの着数も増え、着る機会は減りましたが、いい味わいが出てきたと実感しています。

もったいぶってなかなか着る機会がないのは一番もったいないです。
英国服は軍服から着ているものがほとんどなので、基本はタフです。着れば着るほど馴染んでいきます。
いずれ熟年夫婦のような最愛のパートナーとなる日を楽しみに、洋服とともに生きていきましょう。
ツイードのステンカラーコートも、着続けていくことで、何年後かには自分のものになっているでしょう。

 


Atelier BERUN

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