そろそろ秋物の話をしましょう

BERUNです。

今朝は雨が降り、涼しさすら感じる気候でした。早朝都内に出たとき、通勤ラッシュの人たちの姿を見てみると、未だにほとんどの人が半袖シャツを着用しています。おそらく朝で25,6度といったところでしょう。上を着たほうが快適なはずなのに、と思える気温です。おそらく最後の最後までクールビズを楽しみたいのでしょう。
ルールや月日だけに縛られず、気候や風で自分自身の装いを着分けることができるようになれば、もっと自由さが出て、楽しくなるはずです。

今年のトレンドで感じたこと

先日、秋物が立ち上がったのでいくつかの百貨店やセレクトショップを周ってみて、今年の流れ、トレンドが見えてきました。
昨年と同様、イタリアのブランドが英国のトラディショナルな雰囲気を、柔らかくラグジュアリーに仕上げるスタイルが、今年もメンズテーラードの世界では台頭するでしょう。その流れは今年、より濃くなりそうです。
伝統的なプリンス・オブ・ウェールズ(グレンチェック)や、ハウンドトゥース(千鳥格子)といった、堅苦しいイギリスの伝統的な柄が多く見られ、それらをイタリアらしく現代風に昇華しています。
イタリアのブランドがクリケットや馬術をしているブリティッシュグリーンのスカーフを使うなど、今まで以上に英国に寄せているものが多かったです。

ローゲージニットも硬いインバーアランのような仕上がりではなく、柔らかくカシミヤなどを用いた上質なローゲージニットが出てきています。
現代のファッショニスタにはこういった”着やすい”服が受けるのでしょう。英国的だけれども硬すぎない、”程よい構築感”。

おそらくバイヤーもお客様も、ここ何年も続いていた「THE イタリアクラシコ」というようなスタイルには飽きてきたのだと思います。
5年前にニットのダッフルコートを着ていた人は、今は肩や芯材の入っていない膝上丈のチェスターフィールドコートを着ているはずです。(ですが本格的なチェスターフィールドコートまではなかなかたどり着かないのです)
トレンドや自分の気分が変わっても、着続けられるオーソドックスなものを揃えることが、益々強みになると感じています。

秋冬生地が揃いました

さて、年始から買い付けていた生地が入ってきました!

私自身も一つ一つ見直してみて、本当に良いセレクトをしたと自負します。
ですが、調子に乗って仕入れすぎてしまいました。もはや個人店の買い付けの量ではありません。しばらくBERUNは生地で埋まっていると思います。
先日ご紹介したヴィンテージ生地も含め、他には主にフォックスブラザーズのフランネルやウーステッド生地をじっくりと選定して仕入れました。
ヘビーなものからライトウェイトのものまであります。軽い生地でもハリはたっぷりとありますので、素晴らしい仕上がりになります。

昨年休止した「Edwin Woodhouse」社の秋冬物の生地も、残りの生地を抑えておきました。カシミア混の「Hyde Park」、4PLYのライトフランネル「Vintage Twist」など、個人的に他にはないクオリティの生地ばかりでしたので、無くなったのがとても残念ですが、わたし好みの生地はしっかり確保してあります。

こちらはツイードのラインナップ。「Harris Tweed(ハリスツイード)」、「Fox Brothers(フォックスブラザーズ)」がメインです。
そして数年前に廃業した伊「Policarpo(ポリカルポ)」社のソフトツイードの生地も1着だけ見つけたので、買い付けました。個人的に風合い、素材感がとても好きな生地メーカーです。

こちらはフランネル。今回はかなりフォックスの仕入れに力を入れています。現行のものではなく、数年前のもので、英国にストックしてあったものです。ジャケット、トラウザーズに使いたい。

ブルーヘリンボーン柄は、ジャケットにするのがいいでしょう。とても使いやすいです。ファーストジャケットにしては贅沢すぎるほどクオリティの高い生地ですが、いいものを知っておくことで損することはないと思います。隣はアイスグレーのフランネル。秋冬のトラウザーズに素晴らしく映える色です。

こちらは90年代の生地ですが、なんと「LINVIN(ランバン)」ネーム。特にランバンだから仕入れたというわけではありません。笑
いいと思った生地がたまたまランバンでした。織元は明確で、英国の質実剛健な生地を織る工場です。軽めのフランネルですが、芯がしっかりしているので、スーツにしてもトラウザーズにしてもいいです。個人的に今年はブラウンがとても気になっています。

最後に、こちらはイタリーでわたしが好きな生地メーカー、「Carlo Barbera(カルロ・バルベラ)」。軽く着るジャケットに最適です。

すべて紹介しきれませんでした。とまぁ、よくここまで買い付けました。我ながらあっぱれな量です。笑
まだまだ暑い日が続きますが、これからのことを考えて、わたしは今一番鼻息が荒いと思います。笑

これだけの素晴らしい生地をみなさんに生でご紹介できるとなると、とても楽しみでなりません。

先日大阪で買い付けたヴィンテージの「Holland & Sherry(ホーランド&シェリー)」のツイードも、嫁入り先が早速決まりました。今では見られない「(※)LONDON SHRUNK」の押印が付いています。

ファッションはこれから愉しい季節です!

 

(※)LONDON SHRUNK➡︎ロンドンシュランクと呼ばれる、1900年代からロンドンで使われるようになった生地の縮絨方法のこと。昔は今と違い、生地の輸送に時間がかかったため、生地の歪みを抑えるため、舶来品は日本に来たときに一度店で「地のし」と呼ばれる作業をする必要があった(現在でもやった方がいいのだが、今では地のし屋がほとんど閉業してしまっており、職人が手作業で縫製をする工房でなければできる場所がなくなりつつある)。その地のしの手間を省くため、生地が仕上がった段階で生地に水をたっぷり含ませ、予め縮絨をさせてから輸送することをシュランクと呼んだ。ウールが縮み、目が詰まり、独特の風合いを出す。長く着るために適した方法である。

 


Atelier BERUN

東京都新宿区神楽坂6-8-23

http://berun.jp/
Facebook
◆Tel : 03-3235-2225

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です