BERUNです。
今年はいつも以上に梅雨らしい梅雨ですね。
山間の藤野では山から霧が吹き上がっていて、それはそれで幻想的ですが、たまに前が見えなくなるくらい霧が立ち込めるときがあり、危険も伴うときもあります。
少しばかしの家庭菜園を始めてから、洋服以外からの観点でも、季節を意識するようになりました。
季節に沿わないものは極力とらない方がいい。身体が喜ぶものをと考えると、必然的に”旬”のものをとるのが、心身ともに健康的です。
7月に入り、ほとんどのみなさまが夏支度は終わったかと思います。
リネン系はまだ間に合うかと思いますが、こちらも秋物をかなり仕込んでおりますので、楽しみにしていてください。
先日完成したリネンのシャツ。開襟シャツとオープンカラー(イタリアンカラー)でお作りしました。
この美しい曲線を残していたいので、襟はしっかりとハリのある芯地を使用しております。
シャツのみでもとてもいい雰囲気ですし、リネンスーツの中に合わせてもリゾート感があって格好いいです。
Summer Jacket
じめっとする今の季節は、ちりめんやシアサッカーのような、表面に凹凸がある生地が嬉しいです。
こちらは昨年に国産の生地で仕立てたちりめんジャケット。肩パッドはなし、芯地も極力薄いもの、風が前から後ろへと抜けていくのがわかる軽快なジャケットです。
この時期になると、様々な雑誌で夏をいかに快適に過ごすかというような記事、特集をたくさん見かけます。
楽に楽に、軽く軽く、新素材、、
常に新しいものを生み出していかなくてはいけない会社と、後ろを向きながらゆっくり歩いていける会社、それぞれ理念が異なります。
わたしがここで言いたいのは、今まで先人の方たちが生み出してきた数々のものは、十分すぎるくらい快適で格好良く、気持ちがいいですヨ。ということです。
それを踏まえた上で、たまに新しいものを取り入れてみる、というくらいでいいのではないかと思います。
(ユニクロのエアリズムステテコなど、昔にはなかったが、今はなくてはならないものなどがあります。日常に新しいものを取り入れるのは、そのくらいじっくりでいいのではないでしょうか)
夏こそ絹麻
こちらは絹麻素材のジャケット。国産の大変珍しい生地です。シルクリネンよりも、絹麻という表現の方が合う渋いジャケットです。
後ろの歩行者が見えるほど透けています。
太陽の光を存分に受け止め、光沢として返してくれる、夏ならではの素材です。
Dark Navy 4PLY Three piece Suit
神楽坂に移転してすぐでした。22歳のときに飛び込みで遊びに来たH君も気がつけば27歳です。
年に1,2着ずつ仕立てていた彼ですが、洋服好きということもあり、意外と大真面目なスーツは作っていませんでした。
(靴好きは意外と黒のストレートチップを持っていないように、定番ものはついつい見逃してしまいがちです)
今回はダークネイビー の4PLY、380gmsという肉厚なフレスコ生地でスリーピースを仕立てました。
カッチカチの硬さで、H君も着た瞬間、
「久しぶりに着られている洋服を着ました」と一言。
それもそのはずです。定番ものの無口な洋服であればあるほど、その人の人となりがあらわになります。
おしゃれさとは縁遠いネイビー無地こそ、男のマスターピースです。
緊張する洋服があるということは、それはとても幸せなことです。
生地に重みがあるため、トラウザーズの落ち方がとても綺麗です。
これは軽くて薄い生地では表現できません。
H君がポケットに手を入れたので、最近久しぶりに見たゴッドファーザーのシーンを参考に、レクチャータイムが始まりました。笑
少し話はそれていきます。
見られているという意識
男らしい威厳のあるポーズは、映画の世界をそのままという風にしてしまうと、現実では少々too muchですが、少しばかし参考にして、日常的に立ち振る舞いも意識していきたいものです。
映画から学ぶことはたくさんあります。まずは感化されましょう。そして、自分のものになっていくよう、自然に着こなしていけるよう、日々”見られているという意識”を忘れずに。
この”見られている意識”というのは、わたしは人間であればとても大切なことだと思います。人は周りからの目を気にしなくなった途端、抜けに抜けてどこまでも堕落していっていしまいます。
オンオフというスイッチが極端であればあるほど、オンのときに気が張りすぎてしまい、疲れてしまいます。
理想は常に意識を向け続けること。100%ではなく、70%くらいでいいでしょう(100%は演じる世界です)。
今はいつ襲われるかわからないという武士の時代ではありません。そこまで気は張らずとも、いつ見られてもいいようにというくらいの気の張りようは、美しく生きる人間として、持っておいていいとわたしは思います。
※ゴッドファーザー2より引用
やはりインのツータックです。
今我々が愉しんでいるこの装いも、決してファッションで終わらせることなく、スタイルへと昇華させていきたいものです。むしろそうでなくては、これからの時代、わざわざ上着を着る必要はありませんから。
なぜ洒落心を失ってはいけないのか、それは自己満足ではなく、次の時代へとスタイルを遺していくからです。
荷が重いと感じる方もいるかもしれませんが、そう思って日々お洒落を楽しんでいると、自分だけではなく、世界とつながっているような気がします。
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