猛暑を愉しむ

BERUNです。

先週末から35度を超えてきて、おしゃれ放棄月間に突入している人も増えてきているのではないでしょうか。
個人的な感覚では、35度を超えると別の世界に行くと思っています。

夏生地は凹凸に限る

昨年も書きましたが、この暑さになり、ウール素材のちりめん生地の素晴らしさを実感しています。(国産の生地で珍しく感動しているものです)
またいい生地があったら買い付けたいです。

わたしの持っている夏服で、”風合いを保っている”生地で最も涼しいジャケットです。
”風合いを保っている”というのは、薄ければいいというわけではないということです。

夏生地の薄さを売りにしている生地の中には、ペラペラの紙のようなものもありますので、それに勝る涼しいジャケットはありませんが、やはり魅力には欠けます。

ちりめんやリネンは表面に凹凸があり、程よい立体感があります。その凹凸が直接肌に触れる機会を半減し、風を通してくれます。

夏のお洒落の鉄則は、「直射日光を遮る」、「風を味方にする」、「熱を保たない」この3つに限ります。

格好良くジャケットを持つ

この蒸し暑い外でジャケットを着続けるのは、修行に近い行為です。
私も35度を超えたら、外を歩いているときは、さすがにジャケットを脱ぎます。
そのとき、いつも悩みがありました。ジャケットを腕にかけたとき、その腕の行き場に困っていました。
よくある光景は、手を斜め前にL字に出し、空中にぶらりとさせたまま腕をハンガーのようにしている姿です。しかしこれではどうも格好が悪い。

熟考して早10年近く、昨日街中を歩いていて、ちょうどいいポジションをようやく見つけました。
まず腕の先を、自分のへその上の部分に置きます。手のひらは軽く握ります。
すると、女性をエスコートするときの腕の形になります。
この姿勢でジャケットをかけることで、とてもスマートな見た目になります。
女性をエスコートするかのように、ジャケットを掛ける。

このように、一つ一つの所作を意識していくのも愉しいと思います。

判断力を失わない

暑い夏は、つい暑さのあまり、判断力が鈍ってしまう季節かもしれません。
脳科学によると、人が一日の内に判断できる数というのは、決まっているそうです。
そのため、ミニマリストとよばれる人たちは選択する数を意図的に減らしています。
わたしはご承知のとおり、ミニマリストの反対であるマキシマリストですが、実は自分の中では、数ある物から選択するものは自然とかなり絞られています。

たとえば、靴は未だに100足近くありますが(汗)、春夏秋冬で4分割し、オンとオフで2分割し、紐靴かローファーで2分割、そして晴れか雨、曇りかで2,3分割にしていきます。

そうすると、その時期に履く靴というのは、実際は片手で数えられるくらいになります。
これはわたしの話なので参考にならないかもしれませんが、これを皆さまのクローゼットにたとえてみますと、とてもシンプルです。
今の季節で考えてみましょう。

シャツ
まず夏場は、肌に近いアイテムはリネンのみです。
つまりコットンの生地は選択肢にすら入らなくなります。(コットン素材の洋服を休ませることができる)
ジャケットを上に着るときは、シャツは白かブルー。

ジャケット
ジャケットはちりめんやシアサッカー、リネンのように凹凸があるもの。
オンのときはサマーウール、モヘア混がいいでしょう。

トラウザーズ
晴れの日はホワイトかベージュのリネントラウザーズ。
曇り、雨の日は、ネイビーのようなダークトーンのリネントラウザーズ。
オンのときはフレスコのウール。


靴はコンビシューズかローファーの2択です。
スーツであれば、明るめのブラウンです。

極論シンプルに考えるとこうなります。(文章にすると複雑に感じるかもしれませんが、物を並べてみるととてもあっさりです)

お洒落はシンプル

こうしてシンプルに考えるのには理由があります。
それは、洋服は着て外に出かけていくことに意味があるからです。

これは日本人の癖ですが、ついついマニアックになってしまい、買って満足、選んで満足してしまう人が少なくありません。それを来てどこにいくのか、誰と会うのか、ということが一番大切なことです。
また、自分や身の回りの人たちだけがわかればいいという、狭い世界にも陥りがちです。

その業界の人、近い人だけが分かればいいというのは、一種のコスプレの世界であり、リアルクローズではありません。
(それでもいいという方ももちろんいらっしゃいますので、その意見は尊重します)

私が理想としているスタイルは、洋服に頓着がある人ない人に関わらず、老若男女問わず、多くの人が見て「カッコいい」と頷いてもらえるものです。

だから、くるぶしが見えているスラックスを私はお勧めしないのです。
(服装に詳しくない方が見たら、裾上げ失敗したのか?と思われてしまいます)

お洒落というのはとてもシンプルです。
奇をてらう必要はなく、「料理のさしすせそ」を突き詰めるだけです。

ですが、我々も人間です。たまにはジャンクフードも食べたくなります。ときには目移りして、モードブランドやドメスティックブランドを楽しんでもいいんです。

わたしもたまに、突拍子もないものを自分で作ったり、購入したりすることもあります。それは、自分の枠の中だけでおさまることに満足してしまわないように、意図的に味を変えていくためです。

つまりここまで言っておいて、お洒落は自由なのですが、軸は「さしすせそ」にあり、と自分なりのベースキャンプを決めましょう。
その軸を中心に、自分なりに愉しむところは愉しむ。そして自己満足ではなく、周りも愉しめる服装。それがお洒落の愉しみ方の主軸だと私は思います。

新しい動画

コツコツアップしている動画ですが、再スタートして今まで16本作成しました。
(もうこのブログをご覧になっていただいている方はチャンネル登録していただいているかと思いますが、念のため!笑)

今回は夏に向けて、シャツの袖のまくり方です。

最近アップしたものは、大人のためのショーツの選び方です。

ぜひ、お目通しいただけたら幸いです。
いつもありがとうございます。

Atelier BERUN
東京神楽坂のビスポークテーラー

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