綿の季節

BERUNです。

少しずつ秋の香りを感じるようになってきました。
藤野では9月のはじめには泣く虫ががらっと変わり、自然の柔軟さを感じています。

夏が終わりを迎え、そろそろ”麻終い”をする頃です。
秋に活躍する素材といえば”綿”。コットン、Cotton、Cottone。。
わたしが大好きな生地であります。皆さまが履き慣れているものであれば、デニムがまさしく綿です。

コットンは、湿気が苦手です。主に活躍する季節は春と秋。
年間通して、好んで着用している人が多いのはフランスです。

薄地でつるっとしていて、ウールのような素材と比べて、表現力に欠けると思われている方も多いかもしれませんが、実はかなり表情豊かな素材です。
今回はその綿の可能性について少しお話ししていきたいと思います。

綿起毛のシャツ

これからの季節に活躍するシャツといえば、綿素材の起毛したシャツです。
コットンフランネルとよんでいます。

このように生地の表面が起毛した風合いでありながら、綿100%のものもあります。綿100%のため、家庭での洗濯が可能です。
そして暖かさもある、まさに秋口から活躍するアイテムです。

これらのシャツは主に、”素材感がある”素材に合わせます。たとえば、ツイードやフランネル素材など。
立体的な風合いの素材には、ペタっとしたシャツではなく、シャツも素材感を合わせたものを選ぶことをお勧めします。

つまり、タイもシルクではなく、ウールタイにするということです。

靴もスウェードが合いますね。

コットントラウザーズ

春と秋の大定番。わたしが最もお勧めしているコットンは、Harrisons(ハリソンズ)のMersolair(メルソレア)のバンチブックから使っているネイビーとベージュの2色です。

こちらはネイビー。上に明るいジャケットを着ても、コーディネートが引き締まります。

こちらがベージュです。晴れの日に履くととても気持ちがいいです。

わたし自身もすでにどちらも2代目に世代交代しているくらい履き倒しているスラックス。
今まで何本作ったかわからないほど、皆さまに推しています。

2色あれば、晴れの日はベージュ、曇り、雨の日はネイビーと、気候に応じて履き替えることもできます。

重さは310gms。程よい肉感で、既製品にはない高級感があるのもこのシリーズの好きなところです。

また、コットンはウールのような獣毛素材ではないため、気軽にクリーニングに出せるところもいいところです。
生地の段階で洗いをかけて乾燥をさせることで、自宅での洗濯もできるようになります。
(しかし自宅洗いは下手にやると失敗してしまうこともあるので、やはりクリーニングの方がいいでしょう)

コットンの多面性

コットンはぺらっとした表情でツマラナイと思われている方も多いと思いますが、そうではないものもあります。
これからの季節に活躍するモールスキンは、初めて触る方は「これは何の素材ですか??。」と不思議な顔付きをされます。
モールスキンとは直訳すると、「もぐらの肌」。
わたし自身、もぐらは見たこともなければ、もちろん触ったこともないので、あくまで想像でしかありませんが、とても柔らかく、毛並みのある、しっとりとして上品な素材感です。

モールスキンも、英国のブリスベンモスと、イタリアの物では触り心地が全く変わるため、非常に面白いです。
綿でありながら毛並みがあり、毛が抜け落ちて経年変化していくさまを愉しむことができます。

<Moleskin>

あとはコーデュロイもコットンです。
履き続けて色が抜けていったコーデュロイというのは、何とも良い雰囲気を醸し出してくれます。

<Corduroy>

コットンのジャケットはいかが

春と秋はコットンのジャケットはどうかという方もいらっしゃるかと思います。
わたしの個人的な感想でお答えしますと、あまり好みのアイテムではありません。
もちろん所有はしているのですが、なにか触手が伸びないのです。
理由の一つとしましては、コットンという素材の、固くて伸びないという特徴が上着にしたときのストレスになるからなのかもしれません。

あとは前述しましたように、コットンはフランスの特にパリで着用されています。
たしかに、実際パリにいると、コットンスーツを着ている紳士方はたくさん見かけます。
やはりコットンはすっきりとした気候のヨーロッパに合うのでしょう。そして、パリという街並みにも合うのです。

彼らはコットンスーツ、コットンジャケットを好んで着用していますが、それらを着た印象はまさに、パリらしいスノッブな雰囲気になります。

個人的には、あまり日本人に似合うアイテムではないと思うのです。

コットンの上着は、あらゆる経験をして生き抜いてきたダッズでしか着こなせない独特の色気があります。
コットンスーツを、ステンカラーコートのように、枯れた雰囲気を醸し出すところまでいくことができたら、ファッション上級者でしょう。

さて、今の神楽坂の営業も早いもので、あと2週間となりました。
これからの週末はお酒でも出そうかなと思っていますので、ぜひ、最後に遊びにいらしていただけたら幸いです。

いつもありがとうございます。

Atelier BERUN
東京神楽坂のビスポークテーラー

http://berun.jp/
Facebook
◆Tel : 03-3235-2225

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です