ツイード1年生

BERUNです。

少しずつ冬支度の洋服が上がってきております。
ツイードジャケット、チェスターフィールドコート、アルスターコート。

こちらは最近完成したツイードジャケット。
襟の裏に名前と洋服ができた完成日(誕生日)を入れているのは、わたしがこの仕事を始めた頃からのことです。

今までずっと、ローマ字でフルネームを入れていましたが、1,2年ほど前からイニシャルに変更しました。

それは、わたしの作った洋服が次の代、その次の代まで受け継がれていってほしい。そのとき、ネームはイニシャルの方が、その後の人の人生にさりげなく付き合っていけると思ったからです。

そう思わせてくれた生地はやはりツイードでした。
洋服というジャンルで、唯一耐用年数がない、つまり正真正銘一生物といえる生地はツイードだけだとわたしは思っています。

他にも丈夫な生地はありますが、毛が抜けること、生地が薄くなっていき、みすぼらしくなっていくことを考慮すると、やはり一生物とは言い切れません。

ただ、一つのイレギュラーな例として、お洒落なご家族をお持ちの方は、おばあさまが持っていたバーバリーのトレンチコートのサイズを直して着ている、という話を聞くこともあります。しかしそれはおばあさまの洋服がたくさんあり、着る機会が人より少なかったために今でも着られる状態で保たれているのです。(それはすごくすごく素晴らしいことです)

前に一度だけ、お父様が40年前にイギリスで買ってきたというグローブトロッターを持って来られた方がいましたが、別格の格好よさでした。

ツイードは、タフに着れば着るほど味が出てくる素材です。毛が抜け、毛玉が出て、肘が破け、裏地が破ける。
そうなってはじめてツイードらしさが出てきます。

コードバンのランドセルもまさにそうではないでしょうか。
手荒に扱う小学生が6年間毎日使ってもハリが残っている。そして1年生のときよりも、6年生のときのランドセルの方がはるかに味わいが出てきて格好いい。

今の安価な合皮のランドセルでは、6年後の経年変化は決して味わえません。
質実剛健な素材には、使い続けた先の魅力が秘められています。

こちらがご着用されているツイードジャケット。
N様はオーダーも納品もご兄弟でお越しいただきました。

ツイードはアースカラーが多いですが、今回はN様のイメージを考えて、シックなモノトーンのツイードを選びました。
このモノトーンなツイードジャケットを着て、シンプルなデニムを履いて、黒のスウェード靴を履き、中には真っ赤なタートルネックのニットを着る。
そして冬のテラスで悠然とコーヒーを飲んでいてほしい。
そんな妄想をその人一人一人に繰り広げながら、生地選びは進んでいきます。笑

何事も初めてというのは印象に残るもので、N様にとってもこれがはじめてのツイードでした。
これがぼろぼろに擦り切れて、肘が破ける頃になって、はじめて、似合ってきたなと深く実感すると思います。

Magee Tweed

こちらは旧店舗での最後の週末の日にT様にお渡ししたツイードジャケット。

英Magee社の軽めのツイードです。色は若草色、なんとも綺麗でツイード特有の重たさを全く感じさせない魅力があります。

下ろしたてのラザフォードのクラッチバッグと合わせてお撮りしました。

よく体型によって、自分はあれが着れない、これが似合わない、という方がいますが、わたしは体型によって似合わないというものはないと思っています。

それは既製品で売っているものがないだけであって、自分の体型にぴったりと合わせることで、どんな洋服も似合うものに仕立てることができます。

身体の小柄な方でもチェスターフィールドコートは着られます。ツイードジャケットも着られます。

ただ、しっかりとサイズ感や選ぶ生地の厚みは熟考すること。色や柄で悩むのではない、もっと微細なところで悩むことによって、本当に自分のための洋服が出来上がります。

ツイード上級者

あらゆるツイードを着倒し、着る力が増してくると、一筋縄ではいかない洋服も着られるようになります。

こちらは一つの例として、百戦錬磨のH様に先月お渡ししたツイード。

こちらはノーフォークジャケットとニッカーボッカーズのセットアップ。久しぶりに作りましたが、ハリスツイードの生地のスーツ2着分を使ってお仕立てした渾身の1着です。

背中はアクションプリーツのため、見た目とは裏腹に非常に腕が動かしやすいです。

マチ付きのポケットもカントリー感が漂って格好いいですねぇ。。

腰のベルトも固定ではなく、取り外しできる本格的な仕様です。

今こちらと合わせて同素材のキャスケットも作成しています。

お店でお客様と話しているたびに感じることですが、洋服が好きで本当によかった。
洋服の魅力を堪能しているとき、生きている喜びを感じます。それが洋服であってよかったということです。
それは人によっては洋服でなくても構いません。それが電車であろうと、音楽であろうと、漫画であろうと。。

洋服のすばらしいところは、それを着ている間中、終始その喜びを感じることができるところです。

人の歴史とともにある衣服は、時代がどんなに変化しようとも、生き続けます。

Atelier BERUN
東京神楽坂のビスポークテーラー

東京都神楽坂6-73-15
メゾンドガーデニア301

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