BERUNです。
街の装いは足早に冬のコーディネートに変わりました。
たまに、冬でもコートを着ない方がいらっしゃいます。暑がりだから、コートは着なくてもいい。コート無しでも我慢できる。理由はそのようなものでしょう。
わたしがそういう声を聞くたびに、お節介ながら「もったいないなぁ」と思ってしまいます。
なぜなら、こんなにも格好良く、機能も優れており、男を上げてくれるアイテムは他にはないと思うからです。
現代の既製品では、必要最低限まで削ぎ落とされた短い丈のコートが数多く並んでいます。
ですが、コートこそ良い物を仕立てたら、自分よりも長生きする可能性のある洋服です。ぜひどこかの折で、時代が流れても価値が変わらない、質の良いものを持たれることをおすすめします。
小柄な方にこそロング丈のコートを
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一年の多くの日数を船の上で過ごされるT様。下船のタイミングで、BERUNにお越しいただきました。
船から降りる短い間、その瞬間でもお洒落を楽しみたい。その心意気に乾杯です。今年の秋にお仕立てしたアルスターコートを着て来られ、少しだけ馴染んだ様を見せていただきました。
T様は小柄なお方で、ロング丈のコートは似合わないと思われていたそうです。実際、過去にショップ店員に長めの丈のコートを勧められなかったそうです。
(ショップ店員のこのような発言は本当に残念ですね。お客様からすればプロですから。プロの立場である方の一言の責任の重さを感じてほしい限りです)
しっかりと全体のバランスを整えることで、背の低い方でもロング丈のコートは自然に着ることができます。
だって考えてみてください。戦前の方々は上背関係なく、皆さんゆったりとしたサイズの洋服を着ていましたから。その姿の格好いいこと格好いいこと。
身体が小さい方が小さい洋服を着ると、本当に小さくなってしまいます。出すところは出す。メリハリを付けることで、人の身体は如何程にも美しく見えます。
「自分は〇〇だから〇〇は似合わない」
自分自身の中にそんな会話があるようでしたら、ぜひ思い切って手放してみましょう。
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寒くなってきた今、マフラーは必需品です。
なにせメンズのコートは胸元が空いているものばかりです。このスペースは「マフラーをしてくださいネ」という合図です。
ボルドーとラベンダーのカシミアマフラーを合わせてみました。
コートのような面積の大きなアイテムは、無彩色で使いやすくシックなものがいいです。色で愉しむのは小さなアイテムにしましょう。
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冬に冷たい色のアイテムを合わせるのもとても素敵です。
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コートが並ぶと圧巻です。
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T様は当日、グレーのオッドベストを合わせて来てくださいました。オッドベスト、とても便利で格好いいアイテムです。
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冬の洋服にはウールのポケットチーフを合わせます。
ツイードジャケットにはウールのチーフです。ここにシルクのチーフは野暮です。ウールのチーフは素朴さが出るので、程よく垢抜けた印象がします。
細身の方に合わせたコート
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ハンサムな20代の若者K様。今年4月に東京に来たばかりで、早々にBERUNに足を踏み入れられました。大人の階段の一段一段がとても高いですね。
K様の身体はとても細身です。細みの身体を隠そうと、今まではわざと大きめの洋服を着ていたそうです。
ビスポークは良くも悪くも、等身大の物しか作りません。(ビスポークといいましたが、少なくともわたしはそうです)
何か翼を与えるような、飛び道具のような、そんな魔法はかけません。その方が自分自身で、自己を磨いて格好良くなっていく過程を、隣で見届けていくのがわたしの役目です。
これが、ビスポークをして作る洋服と、芸能人や雑誌が着ているものに憧れて探す洋服との大きな違いです。
K様には、大きめな洋服を着ることを卒業してもらい、本当に自分に合った洋服をお作りしました。
細身の自分を隠さない。その細さを活かした洋服を作っていきます。
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英Porter & Harding社のツイード生地を使用してチェスターフィールドコートをお作りしました。
これを綺麗な素材で作ると、とても上品な印象になります。ですが、まだ20代の若者にはツイードのような素材でガシガシ着倒してもらいたいという思いから、ツイードにしました。
ツイードをタフに着倒せる人は、タキシードも格好良く着こなすことができる人です。
ちらりと見える中のジャケットは、グレーにブルーのウインドーペーンが入ったARISTON社のウールカシミアを使ってお仕立てしたもの。
ジャケットが少し華やかなため、コートは大人しく。
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Vゾーンにはマフラーを仕込みます。
コートは無地なので、マフラーはヘリンボーン柄でメリハリを付けました。
ワントーンでグレーのトーンを変えるシックなコーディネート。渋さを感じる色合わせですが、生地の厚み、全体のバランスを考えて合わせているので、ちぐはぐにはなりません。
チェスターフィールドコートは風が強いとき、襟をぐっと立てて着るのが粋です。
しかしここで2つの男に分かれます。
立てたコートの襟を着こなしの一部として思われる方と、襟がひっくり返っていると思われて直される(指摘をされる)方。
これこそまさにわたしがいつも話す「着る力」の差です。着る力がある方は、それが自然な着こなしとして周りに受け入れられます。
等身大から少し背伸びくらいの洋服を常に着続けて、自分の着る力を上げていきましょう。
気がつけば何を着ても自然に着こなせてしまう男になりますから。そう考えると、人生一生、まだまだずっとお洒落を楽しめます。
-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー
東京都神楽坂6-73-15
メゾンドガーデニア301