生きた灯

BERUNです。

聞いた話ではありますが、宇宙から地球を見たとき、世界で最も明るく見える国は、この日本だそうです。
真実かどうかは定かではありませんが、思わず頷いてしまうくらい、この国はとにかく眩しいと思います。(街で言えばニューヨークに軍配が上がるかもしれませんが、国全体で考えると日本ではないかと思います)

欧州に行ってまず驚くのは、18時には多くの店が閉まることです。誰も残業代を稼ぎたいなんて思っていません。笑
24時間明かりを赤々を照らし続けるコンビニエンスストアは、欧州には必要とされていません。

北欧で照明のデザインが発展した経緯としては、冬の暗い時間を逆手に取り、暗い時間が長引くからこそお家時間を楽しめる物を作ろうと、国が政策として取り組み始めたのがきっかけです。
その結果、北欧デザインのものは世界的に有名になり、人々の心を豊かにしてくれています。

今や電球色の”灯り”は日本では、懐古主義の道楽の域にまで追いやられてしまいましたが、やはり心を落ち着かせてくれるものがあります。
音声で部屋全体がパッと明るくなる蛍光灯の”明かり”とは異なります。オレンジ色の暖かな色は生きた灯りです。
何も全自動にならなくてもいいのです。多少不便でも、その行動をすることによって生きた心地を感じるなら、買ってでも不便は楽しんだ方がいいと思います。

居心地のいいホテルと、日常の暮らしと大きく異なるのは、灯りの手数の多さです。ここにもか、というほどの灯りの種類の多さに驚くばかりですが、何も全ての空間を明るくしなくてもいいということを気づかせてくれます。
食事をするところ、くつろぐところ、本を読むところ、ふとしたところにあると嬉しい小さな灯り。
どこを切っても気持ちが良くなる空間作り。ステイホーム期間が長引くからこそ、改めて衣食住を見直してみるのはいい機会だと思います。

程々

人生を楽しむには、何事にも程々がいいとわたしは思っています。
やりすぎなもの、Too Muchなものは、必ず返しがやってきます。
かといって普通すぎるものはツマラナイ。その自分自身の塩梅を見つけることが大切です。

東京はニューヨークのように懐の広い街ではありません。
ファッショニスタが堂々と闊歩するのを手を広げて歓迎してくれるような街は、日本、いや、東京にもないでしょう。

そのためわたしは、どこに行っても浮かない自分。その街で最も研ぎ澄まされた空気になれるように日々心がけています。
そのためにわたしは日々の洋服選びで気にかけている事があります。それらを順番で挙げるとすれば、

①天気かどうか、晴れか、曇りか
②誰と会うのか
③どの街に行くのか

です。言ってしまえば、気にしているのはこれだけです。このことを考え、前日の夜にある程度のワードローブを考えてから寝ます。

明日の天気は晴れか、では靴はこれがいいかな。明日は〇〇さんに会うから、このジャケットを着よう。明日は〇〇市に行くから、このくらいの格好がいいだろう。

とまぁ、こんな感じです。ここまで意識をしていけば、誰と会っても臆することもないですし、しまった!ということもありません。

自分本位のお洒落はそれなりに楽しいですが、しばらくすると飽きてしまいます。

歳を取ってもお洒落を楽しみ続けている人とそうでない人との違いは、ベクトルがどちらに向いているか、ということだと思います。

どこのために、誰のためにするお洒落は、日々周りの環境が変わるため飽きません。常に新しい気持ちで迎えることができます。

春用のダブル

さて、前置きが長くなってしまいました。最近完成したものを少しご紹介いたします。

Dormeuil(ドーメル)社の生地を使用してお作りしたダブルのスリーピーススーツです。

一見シックな色のため重たそうに見えますが、触りはかなりドライで薄くしっかりとした素材。春秋のシックなスーツスタイルにちょうどいい生地です。

ここまで英国的な柄なので、とことんやりましょう、ということで、かなり渋い仕立てにしました。ダブルの襟幅も程よい広さで、とても格好良いです。

残り少ない寒さを楽しむ

暖かくなってきてますが、コーデュロイが仕上がってきております。クラシックスタイルの良いところは、来年着るからいい!と開き直って季節関係なく作りたいものを作れるところです。

流行関係なく、歳を重ねていけばいくほど似合っていくクラシックスタイルは、自分のスタイルを突き詰めていくだけでいいのでシンプルに考えることができます。

2本のコーデュロイのうち、左はARISTON社のライトな細畝コーデュロイ。右の物はBrisbane moss社の企画中、最もヘビーなコーデュロイ。重さは700gms近くあります。

立て方を考えたら直立するのではないか、というほどの厚みです。

コーデュロイというカジュアルなアイテムですが、使わないのであればベルトループは不要です。ここまで厚さと硬さがあれば、ベルトをせずともずれ落ちる心配はありません。

とても恵まれた体格をしていらっしゃるNさま。しかもガチガチのブリティッシュクラシックがお好きとのことで、このヘビーなコーデュロイをお勧めしました。

ウェストからのヒップのライン、そしてヒップから裾にかけてのラインがとても美しいです。

Nさまはポケットに物を入れられないとのことでしたので、後ろポケットは何も付けないストロングスタイルでお作りしました。

コーデュロイの上はニットを着ることが多いと思います。ヒップポケット(ピスポケット)がないことで、ニット姿からの後ろ姿が、とても綺麗に見えます。こんな形のものは既製品では売っているはずがありませんので、ビスポークの良さを楽しめます。

もう一つのARISTON社の物は右のみピスポケットをお付けしました。ハンカチーフを入れられる方は、このスタイルがいいですね。

グレージュシャツ

これからクールビズが始まり、シャツが見える面積が大きくなる季節です。シャツ一つ一つにも意識していきたいですね。

白でもサックスブルーでもない色で、わたしがお勧めしたい色は、このグレージュカラーです。

白よりもマイルドな印象になります。ネクタイの合わせも頭を悩ませる必要がなく、なんでもすんなり受け入れてくれます。そしてこの色は、日本人の肌によく馴染むのです。

今はまだシャツ生地屋さんのバリエーションが豊富ではありませんが、これから増えてきてほしいですね。

-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー

東京都神楽坂6-73-15
メゾンドガーデニア301

http://berun.jp/
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