ご縁は巡る

BERUNです。

天気、気温の乱高下が続いていますね。体調不良を感じる方も増えてきていると聞きます。

わたしは洋服屋の観点からしか話はできませんが、細かく、5度刻みで着る洋服を選べたら、四季のある日本の季節の変わり目と、うまく付き合っていけると思っております。

それは何も、20〜25度までしか着れないジャケット、25〜30度の時にしか着れないジャケット、というようなクローゼットがいいと言っているのではありません。
シャツやタイなど、すべてのバランスを考えて、気温を刻んでいくということです。

今日はじめっとするから、上はウールのジャケットだけど、中は風通しのいいリネンシャツにしよう。というような塩梅です。
「洋服が好き=お洒落」という単純な構図ではなく、生きるために必要な洋服だからこそ、工夫をして快適に過ごしていきたいものです。

リネンシャツ

今年もこの季節がやってきました。
この季節は我を忘れてリネンリネン!!と言い続けます。笑
だって、本当にいいんですから。巷の量販店に出回っているようなカジュアルなリネンシャツでも価格に相応しいカジュアルさがあって決してわるくはありませんが、”テーラードを基準として作るリネンシャツ”という絶妙な塩梅が、格好いいのです。

いい色合いのシャツが仕上がってきました。
夏の日本とリネンシャツは切り離すことはできません。

サマーバケーションスタイル

これからの季節に着たくなる、サマースーツが完成しました。
これは個人的にとてもいい雰囲気に仕上がったと思っております。
生地の風合い、お客様の雰囲気、着る力、サイズ感、ディテールのバランス、どれもうまく引き合っていった結果の仕上がりです。

いつまででも眺めていたくなります。

こちらはHolland & Sherry(ホーランドシェリー)のリネン100%の生地。アイリッシュリネンのような硬さがなく、薄く柔らかな生地でしたので、その生地感を活かそうとリゾートスタイルに仕上げました。

リネンの生地は、製作に取り掛かる前に約1リットルの水を霧吹きして全体にたっぷり水を含ませます。
その後、専用のドライ室にて丸一日乾燥をさせた後、製作に取り掛かっています。この工程を経ることで、完成後の生地の詰まりを防ぐことができ、よりリネンの風合いが立体的に出てきます。(細かなシワはそのためです)

こちらはベストの後ろも表地です。こうすることで、真夏の暑いときに上着を脱いでいても、上着を脱いだというようには感じません。ベスト姿で完成したコーディネートになります。生地を余分に使うため、贅沢な仕様です。

トラウザーズのゆとりもとてもいいですね。これがもう少しタイトだったら台無しです。
リネン素材はエレガントに着るのが何よりです。余裕のないタイトシルエットは、柔らかなリネンには合いません。

内側はアンコンです。風が抜けて気持ちがいいですね。

着丈はたっぷり長めにとり、前はひとつボタンにしています。この一見アンバランスに見えるようなバランスも、生地の雰囲気と着る方のイメージによって、アリに中和されています。

構築的なイメージのあるサイドベンツではなく、リラックス感のあるセンターベント。裾もダブルではなくシングル(厳密にいうとモーニングです)にしています。この生地の特色を活かすため、ラウンジーかつリラックスしたムード、でも抜きすぎないという絶妙なバランスを作り出したかったのです。うまくハマって本当によかったです。

FOX CITY -Beige Suit-

こちらはFOX BROTHERSのFOX CITY。ウール100%の英国生地で、なかなかベージュカラーが少ないため、いざ理想の色を探そうと思うと、生地本をひっくり返してひたすら探していきます。
ベージュと一言で言っても、その人の肌の色や雰囲気に合う色味はそうそう簡単に見つかるものではありません。

素材と仕立てが上等なので、あとは細かなことはしない方が良さが引き立ちます。この手の生地はシンプルに作った方が格好良く仕上がります。

300gmsの強撚糸というクオリティは日本の春と秋にちょうどいい厚みです。
この色であれば、春も秋もどちらも着られるので、次に来る秋を楽しみに待つことができます。

10年前からのご縁が繋がりました

わたしがこの仕事を始めてからずっとお客様におススメしている鞄屋があります。それは「万双」です。

21歳のとき、初めて万双に出会った時の衝撃は今でも覚えています。今よりもそこまでまだ有名ではなかった万双。この価格でこのクオリティ、凄すぎる!と感動しました。

Y田鞄やT屋鞄も有名で、理念は素晴らしい鞄屋ですが、わたしが客なら万双を選びたいと思える鞄屋です。

このようなお仕事をしていると、おすすめの鞄を聞かれることが多くありますが、 わたしはいつも、
「アンダー10万の鞄で日本で1番クオリティが高いのは万双です」
と答えています。

結果、わたしのお客様でも30人くらいは万双の鞄を持っていると思います。
(1円ももらってませんヨ笑)

今まではいちお客としてクチコミしていただけのわたしですが、ひょんなことから職人仲間からの紹介で、万双の方とお知り合いになりました。
色々と話をしているうちに、今度新作のカバンを出すから、わたしに持ってもらいたい、と声をかけていただきました。
私なんかでよければ、と快諾しまして、先日写真撮影をしていたという運びです。

撮影した日は最高気温30度、万双の北山さんがTシャツで暑い暑いというなか、スリーピースで臨んでいます。しかし暑いは暑いですが、不快ではないですね。

こちらはWilliam Halsteadのキッドモヘア60%/ウール40%の盛夏用の生地で仕立てたスーツです。洋服屋というのは自分用では変わった物ばかり作るので、意外とこういうフツウのスーツが少なくなりがちです。
真夏に着られるベーシックなネイビースーツがほしいと、昨年ようやく仕立てました。
240gmsという薄手の生地のため、決してヘビーユースできる生地ではありませんが、真夏のビジネスシーンでは間違いなく活躍してくれます。

鞄のイメージを考えて、スーツはネイビーでシックなコーディネートが合うと思い、今回はシンプルなスーツを選びました。

万双さんの鞄、忖度せずに言うと、全てが100点満点!というわけではありません。もうちょっとここはこうしてほしいなぁと、思うところはありますが、この価格でこのクオリティは他ではありませんから、何もいうことはありません。

万双は日常的に使うビジネスバッグとしては十二分すぎるくらいのクオリティです。

万双さん、この度は貴重な機会をいただきありがとうございました。
(何度も言いますが、鞄も1円ももらってませんヨ笑)

ご縁のグリーンジャケット

松山英樹さんがマスターズ優勝をしたのは先月。
その流れで、一つの依頼が来ました。
「ゴルフのグリーンジャケットを作ってほしい!」
知り合いの知り合いの知り合いの知り合い、というもはや世界中の誰にでも繋がれそうなところからの依頼でした。

生地はHardy Minnisのギャバジン。ゴルフジャケットには贅沢すぎる上質な生地ですが、せっかくBERUNに頼んでいただいたのですから、フツウな化学繊維が混ざった安価な生地を選びたくはありませんでした。

370gmsのウール100%というハイパフォーマンスなギャバジン生地の中で、「まさにこれだ!」というグリーンの色を見つけたので、こちらを使いました。

金のゴルフ柄が入っているメタルボタン。こういうのを見つけたときの喜びようは計り知れません。

こちらのジャケットを依頼してくださったのは、オリエンタルラジオの藤森さんでした。
実はわたしが18歳のとき、スタイリストのアシスタントとして現場にいたとき、藤森さんに会ったことがありました。
当時、アシスタントの若造のわたしにもとても優しく接してくださったことは今でも覚えています。
そこから15年が経ち、間接的ではありますが、このように依頼が舞い込んできたのがとても嬉しかったです。
もしかしたら彼のyoutubeチャンネルで、このジャケットを着ている姿が出るかもしれません。

なんでもオンライン、非対面、となりつつある世の中ですが、人との繋がり、ぬくもりは何よりも大切にして生きていきたいです。





-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー

東京都神楽坂6-73-15
メゾンドガーデニア301

http://berun.jp/
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