猛暑とのダンス

BERUNです。
関東も梅雨が明けましたね。短くもハードな1ヶ月でした。

昨年完成した我が家の洋服部屋と私の部屋に、カライエという壁付けの除湿機を付けたのですが、その効果が素晴らしく、山間の藤野にいながら、何一つカビに晒されることなく梅雨を越せました。今までの服飾人生の中で初めてかもしれません。(一度カビてしまったものはカビやすくなってしまうのですが、それもなかったのが驚きでした。)

さて、先日、頼んでいたハットのビスポークが完成しました!

頭のサイズが62cmという恵まれた(笑)頭囲を持って生まれた私にとって、既製品でサイズの合うハットを探すというのは相当困難な話です。
フェルトハットはボルサリーノでOKだったのですが、パナマハットは納得のいくものがなかなかありませんでした。今まで妥協を重ねていたところ、ハットのオーダーができるお店を見つけ、試しに作ってみたのです。

完成したのがこちら。

私くらいの頭のサイズでしたら、硬いハットはまず入りません。ロック&コーや、クリスティーズのような英国的な硬いハットは、憧れから先へは進めない帽子でした。そのため、柔らかく、私の難ある頭を包み込んでくれるボルサリーノ一択だったのです。
しかしこちらのハットは、ツバの形を見ていただいてもお分かりかと思いますが、しっかりと硬さのあるハットです。この硬さで私の頭に合うハットは今まで出会ったことがありませんでした。

リボンは日本のヴィンテージのリボンで、色はブラウンを選びました。
こちらの仕上げは、既製品では決して使うことがない、アカシアの樹脂を使って固めているそうです。
既製品ではコストや製品の仕上がりにムラができるため、そのような天然成分で糊付けするということはないそうです。
指紋ですぐに黒くなる真鍮に対して、それを防ぐために金具の表面にコーティングをするというようなイメージですね。
どちらの方がよりそのものの素材の風合いが活かされて出てくるか、明確です。

改めて自分が客としてビスポークをして気づくことですが、究極ビスポークに限る、というところに落ち着きますね。
誰のために作られたのか分からないものに無理やり自分を合わせていくのではなく、自分のために作られたものを身にまとう。この上ない贅沢だと思います。

日本ではビスポークとオーダーメイドが一緒くたにされてしまっていますが、オーダーは物に満足するという行いに対して、ビスポークはその人の人生にフォーカスをして、人生を豊かにしていくという観点が強いです。

もっともっとたくさんの人に喜んで欲しいですね!
仕事もっと頑張ります。

リネンシャツ御一行

リネンシャツが完成してきております。夏の制服にしてもいいのではないか?と思うほど、私は推したいアイテムです。今年は白、青系が多いシーズンでした。

オッドベストコーディネート

夏にシャツ一枚だけじゃ物足りない。しかし、ジャケットは厳しい。。。
という板挟みに合っている方もいらっしゃるかと思います。
私はそのような方に、ぜひオッドベストをお勧めしたいです。
オッドベストとは、単品のベストのことを指します。
単品で使う目的のため、背中も表地を使用することが多いです。

今回は、ハリソンズのIcarus(イカルス)の生地を使用してお仕立てしました。
グレージュカラーにうっすらヘリンボーンが入っている、品のある生地感です。

トラウザーズはアイボリーのアイリッシュリネン100%。全体を白ベースで仕上げましたが、真っ白では王子様のようになってしまいます。少し色を入れるだけで、夏でも涼しげな印象を与える自然な夏のスタイルになります。

タイはニットタイがいいですね。

ここでビフォーアフター。
夏は何よりも軽さが必要な季節です。
それは洋服だけではなく、鞄や靴、頭から爪先まで、軽さを求められます。

この装いに、元々持ってこられた鞄を合わせると、仕事です。!という感がじわりと出てきてしまいます。これはこれで何も悪くはないのですが、少しもったいない気もします。

では、鞄を変えてみましょう。

同じビジネスバッグですが、グッと全体のコーディネートが引き締まりました。美は細部に宿る、というように、特に夏に関しては、手を抜いていいところはないのかもしれません。それはアイテム数が減るからこそ、一つ一つのアイテムがより頑張らねば、粗が出てきてしまうからです。

レッドカードをもらい、1人退場してしまったチームは、そうでないチームよりも一人一人が奮起しなくては確実に負けてしまいます。
夏はジャケットというFWがいないので、他の選手たちでその分をカバーすることでチームの統制が取ることができます。

こちらはサンプルのジャケットですが、オッドベストのこのスタイルは、上にジャケットを合わせることでまた雰囲気が変わります。白と青という、夏の対定番の色合わせですが、軽くなりすぎていないのは、サイズ感に程よいゆとりがあるからです。

夏だろうと、くるぶし丈にするのはやめておきましょう。いつだってフルレングス。そして、素材と色で軽さを出すのが正攻法です

あまり服装でのビフォーアフターというやり方は好きではありませんが、鞄が変わるだけでこんなにも雰囲気が変わるのか!というのを感じていただけたら嬉しいです。

K様、いつもありがとうございます。

秋冬物の生地が少しずつ

これから暑くなるというのに、洋服屋はすでに気持ちは秋冬物です。
ここ数年の変化で、大変ありがたいことに、季節を先取りされる方がとても増えてきまして、嬉しい限りです。
8月に夏物、12月に冬物、というのも悪くはありませんが、作り手の私としても、早くお渡ししなくては!と、焦る気持ちになってしまいます。
双方の理想としましては、やはり、じっくりゆっくり考えて、待つ。という余裕が欲しいですね。そうすることで私も、1着1着のことを深く考えることができます。

8月上旬には頼んでおいた秋冬ものが一斉に到着します。まず今回は、早めに来た第一弾をお見せいたします。

すでにコート生地です。見るだけで汗が出てきます笑
ジョンクーパーのヴィンテージものと、ハリソンズのメルトン地のコート生地。
こういった生地はやはりシンプルにチェスターフィールドコートをお作りするのがいいと思います。

こちらもヴィンテージ!スコフィールドスミスのウールカシミアのツイードです。
白地にグレーのハウンドトゥース、意外とありそうでありません。これはかなり渋い1着になりますね。とても格好いい仕上がりになると思います。

こちらは少しわかりづらいですが、FOXのヴィンテージ、日本におそらく1着しか入ってきていないのではないか、という話です。(個人的にとても作りたい笑)
ネイビーブルーのバスケット織、ベーシックで使いやすいジャケットになりますね。下をダークグレーのトラウザーズで合わせたら、スーツのようにシックに着ることができますし、デニムを合わせてカジュアルにしてもいいでしょう。

こちらはPorter & Hardingのツイードです。色柄がおじさん臭くなりすぎず、かといってモダンすぎない。理想的なイメージです。
今年も暑い夏が終わればツイードの季節が来ますね!
夏も楽しいですが、秋が待ち遠しいです。

こちらは特別に譲っていただいた、エスコリアルウール。

カシミアと間違えるほどの触り心地と光沢感のあるウールです。
吸い込まれそうになる色ですね。

こちらはグレーとカーキの間のような色合い。ツイーディーな柄感でありながら、触りは上質、といういい意味での裏切りをしてくれます。

選択肢が狭まる夏から、どんどん選択が自由なり、選びきれなくなってしまう秋に変わっていきます。
とても楽しみですね!

-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー

東京都神楽坂6-73-15
メゾンドガーデニア301

http://berun.jp/
Facebook

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です