目指す先は人それぞれ

BERUNです。

ここしばらく、Youtubeを挙げていますが、色々な方からの反応があって面白いです。
先日お越しいただいたお客様が話していたことですが、
「人(発信者)によって言っていることが違うから、何を信じればいいかわからないですよね」

確かに、私はスラックスの丈はフルレングスを勧めていますが、9分丈を勧めている方もいます。(もっと短いのを勧めている方もいますが、それは置いておきましょう)
この仕事は良くも悪くも、免許がありません。なので、それなりに小洒落た格好をして、生地本とメジャーがあれば誰でも「テーラーです」と言えてしまうのが、この仕事の曖昧なところです。
明確な答えがないのが面白いという見方もあるのですが、その反面、色々な情報が錯綜してしまい、何を信じればいいのかわからない!と困ってしまう方もいるのも仕方がありません。
だからこそ、私なりにではありますが、こういう考え方がありますよーとお節介ながらも、これからも微風に発信していけたらと思っております。


当たり前ですが、その人それぞれの洋服に対する思いや熱量は異なります。

自分は高尾山を登れればいい、という人もいれば、いやいや、富士山登るでしょ!という人もいます。
もちろん究極を突き詰めて、エベレストを目指す人もいます。
登り方も様々です。過酷な季節に単独無酸素で行く!という人もいれば、仲間達とベストシーズンに行く。という人もいます。
その目指す先は人それぞれで全く問題ありません。

私は洋服屋ではありますが、いわゆるオタク的なマニアックな物作りの話でいえば、私よりも詳しい人はたくさんいます。

例えばですが、レッドホットチリペッパーズのベーシスト、フリーは世界中でとても影響力のあるアーティストです。

彼のプレイスタイルに憧れてベースを始めた方は世界中に何十万人といるでしょう。
しかし、「彼の演奏は下手だ!」と語るプロミュージシャンの方もいます。
事実、そのプロの方はフリーよりも抜群に上手いのです。
しかし、どちらの方が世界の人たちを魅了させているかと言えば、フリーです。

これはまさに目指す山が違うように、どの山で華を咲かせるか、という話です。
なので、他の山のことを高いだ低いだ、難しい山だ簡単だ、なんて言っていることがなんだか滑稽に思えます。
人は比較の世界で生きていく性なので仕方のないことですが、クラシックスタイルの世界は、他のファッション業界と比べても、その比較が少ないように思います。(一方的な主観ですが)
クラシックファッション自体をトレンドとして扱っている人は別ですが、流行もないので、波風も立たない、平和な時間が長い世界だと思います。

私はこの仕事を始めようと思ったときに、洋服のことを内に内に突き詰めていく方向ではなく、世の中にもっと格好いい人が増えてほしい、という思いから始めました。

物作りの世界は、私が知っておいた方がいいことはできる限り頭に入れるようにしています。
しかし、知識や丁寧な物作りと、格好いい洋服は、同じベクトルではないのです。
それを何対何で考えるのかが人それぞれなので、自分の考え方にマッチする人と付き合っていくのがいいのだと思います。

洋服をお渡しすると共に、私がお伝えするべきことはなるべくお伝えするようにしています。
しかしその言葉は、はじめはどうしても受け売りになってしまいます。

同じ社内にいる人から、
「なんでシャツのネーム、そこに付いてるんですか?」
なんて言われるというのをよく聞きます。
それは初めのうちは、
「これを作ってくれた人が、ここが正しい位置なんだって言ってたよ」
と答えるのがテンプレートです。

はじめから納得できてしまう物より、少しずつ、徐々に理解していく、身体で感じていくものの方が、その人の血となり肉となると思います。
年月をかけていくことで、いつの日か受け売りから、自分の言葉となる日が来ます。

その日が来るまで、内ポケットの中に初心者マークを貼っている気持ちで、フレッシュに楽しみましょう。

Leather Safari Jacket

寒くなってきたので、レザーが恋しくなります。

こちらはテーラーの方向けに開発されたレザーのサファリジャケット。
あらゆるアーカイブのヴィンテージウェアを引っ張り出し、(いい意味で)いいとこ取りをして作られた物です。
クラシックな匂いとモダンな匂い、どちらも感じることができる、とても完成度の高い一着。
素材はカウレザー。

上品さと無骨さの両立を持っている、バランスの取れたジャケットです。
一着仕入れてみよう(売れなければ自分で、、笑)、と思い仕入れたレザージャケットでしたが、届いたその日にK氏に見染められ、お嫁に行きました。ありがとうございます。

背中はアクションプリーツが付いており、かなり完成度の高いジャケットなので、また買い付けたいです。(今度は自分の分も笑)

Beige Jacket

冬を感じる時期ですが、春夏秋もののベージュジャケットが完成いたしました。

H Lesser & Sons.とカルロバルベラの別注生地。一度作ったことがあり、とてもいい雰囲気だったので、またぜひ作りたいと思っていました。

首への吸い付きが綺麗です。良い仕立てである一つの条件です。

生地の表面がメッシュのようになっており、表情があります。
まだ昼間は暖かいので頃合いを見て寒くなるまで着ることができます。

MOON BEAM

ハリソンズの秋冬用ジャケット生地で、長く続いているシリーズ、MOON BEAM。

ラムウール&アンゴラという、マフラーのような組成で作られている温かな生地感のあるジャケットです。

ダークグレーにブルーのウインドーペーンが入ったシックな柄。ウインドーペーンながら、上品さが際立つというのはさすがの配色センスです。

ノータイスタイルを突き詰めているT様。ノータイならノータイで映えるコーディネートをご提案しています。

予想以上にシックで格好いい仕上がりにO様も驚いていました。
「着られてるなぁー」と終始仰っていましたが、これを違和感なく着られるようになる未来が楽しみです。
2,3年後にしっくり来るくらいの洋服がいいと思っています。

今の空間が狭く、かつ物が増えすぎてしまい、引きでカメラを撮れないのが涙物です。。笑

作った作品はインスタやFBページにあげていきたいので、次の赤坂からは真面目にやろうと思います。

神楽坂も残すところ1ヶ月になりました。
神楽坂でお世話になったお店にも挨拶をしなくてはいけません。

自分が本当に気に入った空間に行くので、次の移転はとてもワクワクしています。
どのような空間にしようか、毎日妄想しています。

いつもお付き合いいただき、ありがとうございます。

-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー

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