動物的感覚

BERUNです。

ここ最近の変化と致しまして、ほんの少しでも違和感を感じたら、その先の行動は起こさないようにしました。
購入する、行く、決める、というような行動です。
何をするにも、行動の前には調べる、というのが当たり前になり、もう何年も経ちました。

「Googleの評価が4.3だから、悪くないんじゃないか」

このように、いつからか赤の他人が決めた数字で自分の行く道を決めるようになりました。
しかし、、結果はイマイチだった。。ということが多発します。

そこそこでいい、という方にとっては、そのような数字はわかりやすい指標になってくれますが、そうでない方には足かせになることが多いです。

数字や周りの評価で決める今という時代だからこそ、私は自分の感覚を大切にすることをより意識した方がいいと思いました。
もちろん私は今でも1日に何回もググりますし、それによって目的地を決めることをやっています。
しかし、そこに着いた時に、「ちょっと思ってたのと違うな。。」と思ったら、行くのをやめるようにしています。
そうすることで、特に食事の時なんかは難民になることもあります笑
ですが、自分の趣味嗜好と異なるものに触れることの方が、自分自身にとっては影響が大きいと思ったのです。

もちろん、そうすることを続ける事による弊害も出てくると思います。
例えば、自分の好みの空間にしか行かなくなり、偏っていくのではないか。など。

しかし、直感を信じ続けていれば、その感覚は日に日に研ぎ澄まされていき、精度がより高まっていくと思います。

また、毎日そんなことをしていては疲れてしまうというときは、たまに肩の力を抜いて、流されるままに流れてみるという日を作ってもいいのかもしれません。
それは自分自身で、あえて流されることを選択しているわけなので、至極全うな選択だと思います。

全ては選択の連続であり、その選択をどうするかにより、自分というニンゲンの人生は構築されていきます。

数字の世界から抜け出てみて、ニンゲンの本来持っているはずの動物的感覚を大切にする。
例えば突発的に感じる、「これはやばいな。。」とかです。
その感覚を持って生きてみることで、これから先の生き方のベクトルが少しずつでも良い方向に向かっていくのではと私は思っております。

型押しレザー万歳!

日本人は綺麗好き。
これは世界共通認識です。
この感覚を育んできたのも、我々日本人が元来持って生まれたものではなく、後天的で、外的要因であることには違いありません。
これは聞いた話なので実体験ではありませんが、日本に初めてプリンがやってきたのが1930年。最初は固くてしっかりとした食べ応えのものでした。
その後、現代のような柔らかな食べ物を好きになってもらえるよう、あらゆる方向から教育を施していったのだそう。
結果、今の私たちはプルプル、しっとり、柔らか、マシュマロ○○、というような柔らかなものを好む軟体動物(笑)になりました。

それはそれで何もいうことはないのですが(私も多分に漏れず軟体動物です笑)、食文化が変わっていくことで、その他の好みも応じて変わってきました。

それがまさに、靴で言いますと型押しやスウェードのような、荒々しい革質より、プレーンなものを好むという気質です。

常に物は生まれた時には無垢の状態で生まれるわけで、言ってしまえば荒々しい、削りカスがついているような状態です。
そこに手を施され、徐々に滑らかに、しっとりと仕上げられていきます。そうして物は中心のツルッとした形まで削ぎ落とされて完成するわけです。
しかし、本物は何かと考えるならば、なるべく原型に近い方がリアルであると思うのです。

今のメンズ脱毛もその流れを感じますね。ヒゲがオワコンと発信している方もいるくらいなので、ますますこれから中性的な方向に向かっていくことでしょう。元々当たり前に生えてくるヒゲですら否定している昨今、私はなんだか怖さすら覚えます。

近い将来、美の基準が人造人間のように、加工されきった、作られた物を美しいとしか評価されなくなる日が来てしまうのでしょうか。

表面を綺麗に作られた生地よりも、ツイードの方がはるかに人間に近い風味を感じますし、まさにレザーの質感もそうです。
洗練されたものの前段階に魅力を感じることができるようになれば、物事のより本質に近づくことができるのではと私は思っています。

こういった理由から、日本人はあまり型押し革(グレインレザー)がお好きではありません。
私は好きだ!という方は、洋服が好きな方で、色々なものを見てきた方でしょう。

日本人好みではないとなると、それを仕入れる側からしましても、売れないならわざわざ欧州から入れるのはよそう。となるわけです。これが参りました。

私のような型押しLOVERの人からすると、いい型押しの革がない!と嘆きます。
しかし、ようやく納得のいく革が見つかりました。

フランス製のグレインレザー。色味もちょうど良く、型押しのシボ(凹凸)がはっきりと出ています。それでいて、とても柔らかな革のため、すぐ履き下ろして1日中歩き回れる履き心地の良さがあります。

上の写真は外羽根のパンチドキャップトゥ。とても便利で、1足あると何かと重宝します。

こちらはウイングチップのローファー。グレインレザーは雨にも強いので、気軽に履けて出かけられるローファーがあるととても便利です。

こちらは私の大好きなUチップ。Uチップとグレインレザーの相性は抜群ですね。
ジョンとポールのように、出会えてよかった!!!とお互いに感動する組み合わせです。

このいい意味で、絶妙なダサさと格好良さの間のような雰囲気がたまらなくいいです。

グレインレザーは傷も目立たないため、ガンガン履き倒していただいて、アジを出していっていただきたいです。

3足目のビスポークは、、

実は先日、靴職人レコットの津久井さんに会いにいってきました。
すでに今まで2足お願いしているのですが、今回は3足目が欲しいと思い、連絡したところ、
「ちょうど竹内さんに連絡しようと思ってたんです!竹内さん好みのいい革が見つかりました」
と言われたので、ウキウキで行ってきました。

はい、ご承知の通り、型押しです。笑

ワインハイマー社の型押しで、色味もまさに欲しかったダークブラウン。
スーツに合わせられるローファーが欲しいというのと、今回はスキンステッチというディテールを施していただきたいということをお伝えしました。

「革が薄いから、できるかなぁ」と言いながらスキンステッチの実演中。
できそうだったら連絡するね。といつものように、近所のお母様と会話するような和やかな空気感で終わりました。

既製靴の値上がりが激しい昨今。
だからこそ今、マーケティングの渦中にいない職人にスポットが当たってほしいですね。
良いものを適正な価格で購入する、というのがいつの時代も大切だと思います。

夏のジャケパンスタイル

これからの季節に活躍するジャケット&トラウザーズが完成してまいりました。
K様にお仕立てさせていただいたのは、Fox Brothersのジャケットと、グレーのフレスコのトラウザーズです。

ジャケット生地はメッシュ織になっているため、通気性があり、夏でも比較的我慢をすれば着ることができます。

ネクタイはBERUNでお作りしておりますシルクのネイビーフレスコタイ。
手前味噌ですが、、格好いいです。笑

背中も綺麗です。
一時期、やたらとどこでもウインドウペーン(窓の孔子柄のようなチェック柄)を見かけましたね。
今は少し落ち着きましたが、ウインドウペーンはお洒落っぽく着てしまう柄です。イマドキな着方をしてしまうと、そこら中にいるファッショニスタと同じになってしまいます。そのため、わたしはあえてシックに着ることをお勧めしています。
柄がすでに洒落ているので、あとの部分ではお洒落さは出そうとしない方が上品さが出ます。

着丈もしっかりと長めにする、フィッティングもタイトにしすぎない。そうすることで、イマドキファッションから一抜けすることができるので、より本質的な洋服の楽しさを感じることができるようになります。

ウール&リネン スリーピースの良さ

春夏秋のスーツとして、私がおすすめしている生地がウール&リネンです。
リネン100%はもちろん、リネンの魅力を存分に感じることができますが、リネン特有の気になるところも出てきます。
リネン特有の固さもあります。また、動物性素材ほど身体に馴染んでこないという歯痒さもあります。
あとはやはり、耐久性に欠ける点でしょうか。リネン100%ですと、アイリッシュリネンのような肉厚な生地は安心感がありますが、それ以外のリネンは柔らかいため、引き裂きが起こることがあります。

そのようなリネンならではの気になる点をカバーすることができるのが、ウールリネンです。
ウールは言わずもがな、洋服界のボスです。ウールに勝る生地はありません。

その万能選手のウールの力を借りたウールリネンは、春夏秋に活躍しないはずがありません。

いつもお越しいただいているT様。

ウールリネンの生地の特性上、私はスリーピースでお仕立てした場合、3つのアイテムとも別々で使えるように考えてお作りします。
ジャケットのみ、ベスト(ウエストコート)のみ、トラウザーズのみ、
また、ジャケットとウエストコートを合わせて、下は別のトラウザーズを合わせるという組み合わせもできます。
これからの季節でしたら、上の写真のように、ジャケットを着ずにウエストコートとトラウザーズだけで着てもいいですね。

ウエストコートを単品で着てもいいように、背中も表生地を使用しております。
こうすることで、上着を脱いで着ている、という感覚がなくなります。
生地を余分に使うため、今となっては贅沢な仕様になりました。

肩パッドは無くし、ラペルの毛芯も極力薄いものにしております。
今回こちらのスーツは、腰ポケットをアウトポケットにしました。
こうすることで、ジャケット単体で着る時、よりジャケットらしさが出ますね。

うっすらとヘリンボーン柄が入っており、カントリーな雰囲気がありながら、シックさもある、バランスの絶妙な生地です。

これからの季節、とても活躍することでしょう。

みなさま、いつもありがとうございます。

↓インスタグラム、日々更新しております。
 ぜひフォローお願いいたします!

Instagram

-Atelier BERUN-
東京都港区元赤坂のビスポークテーラー

洋装士:竹内大途

http://berun.jp/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です