さすらおう

BERUNです。

7月4日、無事(?)表参道に店を移転いたしました。
引っ越し日が3日、翌日にはもうお客様が来られるという、夜中の内に新たな橋をかける工事くらい怒涛の1日でした。
そこから少しずつ片付けをしていきまして、ようやく形が見えてきました。

比較的落ち着いている期間ですが、少しずつお客様にお越しいただいております。

まだ生地棚とハンガーラックが完成していないため、間に合わせのものを使っております。それが完成次第、ひと段落は着くと思います。

今までの空間を考えますと、かなり広くなりましたので、やりたいことがたくさんあります。

これで店舗は6度目の引っ越しで、ふわふわとしている私ですが、人生は一言で旅だと思うのです。
旅行に行っている期間だけが旅行なのではなく、人生という旅に出かけているという感覚。

さすらいこそ人生。
私の父親世代がたまたま安定していた時代でしたが、それは本当にたまたまで、地球の歴史で考えると、安定していた時代の方がはるかに少ないはずです。
そう考えますと、私たちがこれから生きる時代は、不安定で、波のように揺れる時代になると思います。
その時代をどう生きていくのか、それこそさすらいのように、時代は揺れるものだと悟り、その時代を生きる準備をする。

何もかもがお膳立てされた昨今。ほんの少しのアクシデントで何も出来なくなってしまう過保護な人に現代人はなってしまいました。(私も含めて)
そんな時代だからこそ、あえて不便を楽しむ。人間とは失敗する生き物で、不完全なことが美しい。と思えることで、心に大きなゆとりが生まれると思います。

なぜこんなことを書こうと思ったのかと言いますと、The First Takeの奥田民生さんのさすらいがあまりにも格好良すぎて、さすらおう。。!と思ったからです。笑

オッドベストコーディネート

昨年お仕立てしたジャケットに、夏のコーディネートといたしまして、ベストとトラウザーズをご注文いただきました。

ジャケットスタイルにオッドベストを合わせるコーディネートは、とっても難しく、電気工事くらい「免許がないといけません」と言いたくなる難しさです。
何せ、ジャケット&ベスト&トラウザーズ、この3つをすべて違う素材で合わせるのですから、スリーピースの着こなしバッチリだぜ。というお方でも、使う筋力が違うのでお気をつけください。

言葉でお伝えできる範囲のポイントですが、一つ一つのアイテムの個性を少なくすること、これは大事です。
4人全員個性ギラギラのバンド、長生きしなそうですよね。
クレイジーケンバンドのように、横山剣さんがいて、その彼のカリスマ性に惹かれて参加するメンバーがいる。

コーディネートは、主役と引き立て役が明確になっていることが大切です。

オッドベストスタイルであれば、主役はジャケットにすることが多いです。
ベストやトラウザーズを主役にしても、他の着こなしに使いづらくなってしまうからです。

こちらのコーディネートも、ジャケットはFOX BROTHERSのウインドウペーンのメッシュ地のサマージャケット。
そしてベストには、ライトグレーの三者混の無地。
トラウザーズはリネン混のグレージュのもの。
ネクタイはBERUNのウールリネンのネイビーソリッドを合わせています。
トーンを離しすぎないこと、主役がいても、全体の調和が取れていることが大切です。

「オッドベスト!カッコよさそうー🎵やってみよう!」
と思い、自己流でやるのは時期尚早。
自己流が事故流になってしまうミスコーディネートの典型となってしまいますので、やってみたいときはその道の人にアドバイスを求めることをおすすめいたします。

リネンシャツ&リネントラウザーズ

夏のコーディネートの鉄板といえばこれ。
リネンシャツ&リネントラウザーズ。
もうこれ以外ありません。異論は受け付けますが、わたしの中では10年以上変わらぬ夏の間違いないスタイルです。

最近あらゆる方面でクラシック!クラシック!と聞きますが、クラシックというのは流行でもトレンドでもなく、ただのいちスタイルです

それを「今はクラシックだ!」というのは、
「今年ベートーヴェンめっちゃくるらしいよ!」
と言っているようなもので、至極おかしなことなのです。

クラシックというのはお洒落とは別の軸です

そのため、モテたい!異性にカッコいいと思われたい!チヤホヤされたい!
というのが願望でしたら、それは開ける扉が違います。笑

それがお望みでしたら、「最新のモテファッション!」と謳っている門をくぐってくださいませ。

クラシックとモテの世界とは別です。
どちらかというと、同性にモテます。
そして年上の異性の方にも大変モテます。笑
つまり、ファッション云々ではなく、「あなたそのスタイルに行き着いたのネ」と人としての評価につながります。

まぁ、お若い方でも、趣味のいいお方はクラシックスタイルを十分に理解して、褒めてくださる方がいます。
そういう方と出会えるきっかけにもなりますので、自分をどういうところに身を置きたいかをぜひお考えください。

細身のK様。
小柄な方が自分に合った洋服を既製服で探そうとすると、コンパクトで小さな洋服しかありません。
程よいゆとりがあるものは、オーダーでなければなかなか出会うことがないのです。

細身だからこそ

もうかれこれ自分は夏といえばこのスタイルです。
夏といえば冷やし中華にかき氷です。というように、その季節といえばコレ。というようなものが自分にあると考えるのが楽でいいです。
もう冷やし中華はオワコンだよね。ということにはならないように、冷やし中華は夏の食でいえばクラシックなので、永遠なのです。

リネンシャツにリネントラウザーズ。これがBERUN流の冷やし中華です。笑
(そういえば、マリトッツォってどこに行ったんでしょう?笑 流行りってそういうものですよね。何も残らない)

私はファッションを作りたいのではなく、スタイルを作ることを心がけています。
そのため、こういう洋服がほしい!ということではなく、自分がどういう人になりたいのか。
というところをお聞きして、ではそこに近づくためにはこういう洋服が必要ですね。
と洋服を組み立てていきます。

洋服と人との関係はとても密接で、ファッション先行で考えてしまうと、人と洋服との距離は離れるばかりです。
自分という人を見つめることから始めましょう。そうしたら、自ずと揃えるべき洋服が見えてきます。

まだまだ暑い日が続いておりますが、秋冬向けのツイードやコート生地がご紹介しきれないくらい入ってきておりますので、来週には生地のお話を少ししていきたいと思います。

いつもありがとうございます。

-Atelier BERUN-
東京南青山のテーラー / 洋装士

Haruto Takeuchi / 竹内大途

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