BERUNです。
気がつけば10月。
日本の9月はもう夏ですね。
10月に入り、少しずつ秋の装いを楽しめる気候になりそうな予感がしてきております。
季節の変わり目は、色々な洋服が完成するので楽しいです。
先日お渡ししたこちらのジャケットは、コットン100%のシアサッカーの生地で仕立てたもの。
モスグリーン一色というこちらの珍しい生地は、元々シャツの生地として作られたものです。
当初、シャツアウターのイメージで考えていたのですが、話しているうちに、「これはジャケットにした方が格好いいだろう」
と妄想が膨らみ、ジャケットでお仕立てすることになりました。
一般的な白とサックスブルーの2色使いのシアサッカーは夏の色ですが、単色のグリーンカラーでしたら、秋口でも着用することができますね。
休日にカジュアルなジャケットを着たい。という方にはとてもいいと思います。
こういうジャケットをサラッと着こなしている大人が増えたら、もっと日本も素敵な国になるんでしょうね。妄想妄想。
普段あまり作らないタイプのジャケットですが、こういうのはやはりオーダーならではですので、とても素敵だと思います。
O様、いつもありがとうございます。
大人のためのウインドウペーン
ラムウール&アンゴラという生地で作られたシリーズ、Harrisons(ハリソンズ)のMOON BEAM(ムーンビーム)。
グレージュカラーに青と茶の格子柄が入った何ともお洒落な柄です。
こういう柄は、この人が似合う!というようなシンデレラ待ちになります。
上品な大人のジャケットスタイル。
若いT様にお仕立ていたしました。
トラウザーズは、250gmsという軽めのフランネル生地。
小柄なT様にはこのくらいの重さの生地がとても合います。
軽い生地のトラウザーズで、タイトなシルエットにしてしまうと、美しくないシワは目立つし、引っ張られてすぐヨレてしまいますし、いいことがありません。
トラウザーズは小柄な方、細身の方こそ、ゆとりを持たせた方が綺麗なシルエットが出ます。
一見派手に見えるかも?な柄のジャケットですが、周りをシックな洋服で合わせるとコーディネートがうまくまとまります。
うん、とても格好いいです。
T様、いつもありがとうございます。
コーデュロイはスーツで仕立てる
これからの季節に活躍する生地の一つ、コーデュロイ。
トラウザーズで使うことが多いコーデュロイですが、わたしはセットアップでお仕立てすることもお勧めしております。
ツイードやリネン、そしてコーデュロイのようなカジュアルな生地でセットアップを仕立てると、なんとも言えないフツウじゃない感が漂います。笑
スーツはネイビーかグレーしか着ない!という縛りがないのであれば、コーデュロイでセットアップを作ることで、オンオフ使えるカジュアルなスーツスタイルが完成します。
そしてカジュアルな素材でセットアップを仕立てると、上下それぞれ別で活用することもできます。
普段はトラウザーズにニットを合わせる。
デニムにコーデュロイジャケットを合わせる。
そしてたまに上下合わせて着てみる。
そうすることで、着こなしの幅が広がり、飽きずに一つの洋服を長く楽しむことができます。
A様、いつもありがとうございます。
ブリティッシュスタイルに染まる
大変ありがたいことに、全国からお客様にお越しいただいておりまして、色々な方とお話しできて毎日がとても刺激的で楽しいです。
北海道からお越しのN様。
北海道よりイギリスの方が緯度は低いのですが、北海道の方が寒い。
洋服を着られるシーズンの長い北海道では、ファッション感度の高い方が多いと感じます。
今回はすでに厚地のカシミヤコートから肉厚なスーツまでと、色々揃えてお見立ていたしました。
沖縄の方には年中リネンやウールモヘアですが、着る場所が異なると、ご提案するものも全く変わってまいります。
こちらは男の定番生地、グレーのシャークスキン。
生地はヴィンテージのドーメルです。
シャークスキンというのは直訳で、サメの肌に似ている柄というところから来ています。
硬さ、コシがありながら、40年前の生地とは思えないツヤがあるなんとも良質な生地です。
グレーのシャークスキン、大定番でありながら、日本ではなぜか好きな人しか持っていない印象です。
ぜひ多くの方に着ていただきたいです。
ブレイシーズも共生地でお作りしました。
グレーのスーツは、やはり大人の貫禄といいますか、安心感を与える色だと思います。
ネイビーは誠実さ、グレーは落ち着き、安心感。
両者は異なる印象を持ち合わせています。
もう一着お仕立てしたのは、SCABALのビックベンという生地。
480gmsという、時代錯誤も甚だしい肉厚な生地で、まさにビックベンという名にふさわしい直線的なシルエットを作り出す素晴らしい生地です。
ダークネイビーの平織の生地。
出そうとして出てくる光沢ではなく、糸をガッシリ織り込んだから出てくる鈍い光沢。
だからヤラシさが出ません。
秋口から活躍するスプリングコートは、こちらも英国のヴィンテージ生地でブラウンのキャバルリーツイル。
70年代の生地で、一見するとブラウンですが、よく見ると緑や黄色や赤など、様々な色が入っています。
光が当たると虹色のように見える、美しい生地です。
綾織のツイルは、しっかりと織り込める織り方のため、自然な撥水力が生まれます。
こちらは厳冬期に活躍するカシミヤのチェスターフィールドコート。
90年代のもので、900gms近いウェイトのあるコート生地。カシミヤ100%ですので、相当贅沢にカシミヤが使われています。
今はこんな贅沢な生地、なかなか作らないですね。というより、必要性がなくなってきています。
気候変動により、寒い時期が短くなっているからこそ、より必要とされなくなってきてはいるのですが、やはりよいものはよいです。
必要だから着るのではなく、着たいから着る。
その方が自分に正直で素直な感性なのではとわたしは思います。
来週、半年ぶりに大阪にヴィンテージ生地を掘り出しに行ってきます。
天井まで届く生地はすでに量は十分なはずなのですが、、
仕事3割、コレクション7割の意識でおりますので、良いものが見つかる限りこのスタイルは終わらないでしょう。笑
-Atelier BERUN-
東京表参道のオーダースーツ / 洋装士
Haruto Takeuchi / 竹内大途