BERUNです。
朝晩は冷え込むようになってきました。みなさま、暖かくして体調管理にはお気をつけ下さい。
最近は、コートを早めにオーダーいただいた方のものが続々と完成してきております。
今回はコート特集です。アルスターコート、トレンチコート、バルマカーンコート、チェスターフィールドコート。
様々な形がございます。楽しい季節です。
カシミヤ100%のアルスターコート。
800gms超えの驚異的な厚みの生地です。
一般的なコートの厚みは大体500gms程です。800gmsのカシミヤ100%なんて、、どれだけ贅沢なんでしょう。。
温暖化とか言われている今の時代にはオーバースペックすぎるクオリティではありますが、だからなんですか!笑
気候に左右されるよりも、着たいものを着るのが一番です。
気候ごときで着たい洋服が変動しているようではまだまだです。(←何様?笑)
これは洋服についてですが、あらゆることに言えると思います。
世の中の流れに右往左往されて、自分の意思を持てずに揺らいでしまう。
そういう方は、まず1つでも、私はコレなんだ!というものを持つといいでしょう。
なんだっていいです。
私はたまたま洋服がソレでした。
その一本が軸となり、自分の思想、哲学を深めてくれます。
さて、話を戻します。笑
アルスターコートをネイビーで作ると、フォーマルな雰囲気と程よいカジュアルさが生まれます。
カシミヤのアルスターをカジュアルに着るという贅沢。いいですね。
ポケットはフラップではなく、横から入れられる仕様にしてあります。
そして袖は通常の4ツボタンではなく、タブカラーにすることで、カジュアルな印象に仕上がります。
K様、いつもありがとうございます。
男のコート
男女差について、云々なんて言われている昨今ですが、メンズクラシックの世界では、
「だからなんだ」
という感じです。
男性らしさを追求した先に今の形があるので、それを否定することは、クラシックスタイルそのものを否定することになると私は思っています。
これは持論ですが、70,80年代に一つの到達を見たモードファッションブームは、70年頃まで続いた構築的なファッションへのアンチテーゼでした。
「こんな硬い服着てられるか!」
という多くの人たちの声を代弁して、
「じゃあ、スーツの形、壊してやるよ!」
というようにして、ラペルを取ったり、袖を取ったり、シワシワの生地でスーツを作ったりしたのがモードです。(とてもざっくり説明しています)
それはその当時の時代にはとてもマッチしていたと思います。
そこからモードは文化になり、スタイルへと定着しました。
その前の時代、60,70年代でいえば、ロックの黄金期。
ロックミュージシャンが反戦や社会情勢にアンチテーゼを歌詞に込めて歌っていました。
それによってヒッピーカルチャーが広まったり、世の中の考え方も多様化し始めてきたと思います。
その時代の音楽はわたしも大好きなので、しょっちゅう家で聞いています。
音楽は英国モッズよりもアメリカンフォークの方が好きな私です。
つまり、60〜80年代のカルチャーは大きく社会への批判、アンチテーゼを込めたものが多いのです。
しかし時は変わって今は2023年。
お笑いでも、相手をディスる、ケナす、イジるというようなものが面白くない、という風潮になってきています。
今の時代はまさにアンチテーゼではなく、友好関係、そういう時代ではないでしょうか。
そのスタイルもいいよね。と尊重し合う。そんな関係が求められています。
だからこそ、基本に忠実に、何も変えない、足さない スタイルが求められていると思っています。
男性らしさ、格好いいじゃないですか。
ユニセックスで作る洋服も素敵ですよ。
ジェンダーレスで提供する洋服もいいです。
だけど、男性らしさ、女性らしさを謳う人たちをどうこういうのは、違うんじゃないでしょうか。みんないいんです。
とわたしは思います。
相変わらず脱線が主文のようなブログになってしまっておりますが、男性のためのコートといえば、まさに、
トレンチコート!!
冬には女性も定番で着るコートですが、女性が着るトレンチと、男性が着るトレンチ、雰囲気が全く異なります。
日本の女性はベルトを後ろで縛って細く見せる着方を好みますが、メンズのトレンチはその逆で、たっぷりとしたオーバーサイズのコートをベルトで縛って着ます。
それがなんとも格好いいのです。
トレンチコートの最も理想的な着方としてあげられるのは、今更ですがハンフリー・ボガードのカサブランカ。
彼の着こなしが、トレンチコートの教科書になりました。
今回お作りしたのは、イギリスのヴィンテージ生地を使い仕立てたもの。
以前ご紹介したライニングを取り外しできる本格的な仕様です。
表の生地はキャバルリーツイルという質実剛健な生地に対して、ライニングはなんとカシミヤ!
しかもロロピアーナのカシミヤ100%です。
贅沢極まりないです。
まるで江戸時代の奢侈禁止令のような贅沢。
これはたまたまロロピアーナのカシミヤ生地が1mばかし残っていまして、ベストを作るのもなんだかもったいないし、何か使い道はないだろうか。
と寝かせていたものでした。
そこに今回のコートのお話がありましたので、それでしたらぜひこれを!ということでライニングに使わせていただきました。
こういうのはまさに縁ですね。
一見すると、ただのダークブラウンに見えますが、近くで見てみると、さまざまな色が入っている、虹色に光る生地です。とても珍しい。
こういう生地はやはりヴィンテージならではですね。
チンウォーマーまで装備してある本格的なトレンチコート。
ラフに着てもよし、タイドアップして着てもよしの男のギアのような洋服です。
W様、ありがとうございました!
時を同じくして、もう1着トレンチコートが完成いたしました。
ウールのポプリンという生地を使い仕立てたトレンチコート。
ボタンやバックルまで同色で合わせました。
下手をするとノペッとなってしまう同色合わせですが、うまく合わせると独特の表情に仕上がります。
コットンのトレンチコートは一般的に、ベルトをギュッと縛る着方が格好いいとされていますが、ウールになりますと、ベルト穴を通して綺麗に着る着方の方が合うのではないかと思っています。
ライニングはLOVATラバットのツイードを合わせました。
ライニングが格好良すぎて、おそらく外して着ることはないのではないでしょうか。笑
K様、いつもありがとうございます!
ローデングリーンのバルマカーンコート
今夏、オーストリア製の上質なローデンクロスを買い付けまして、これでコートを作ることを勧めております。
左がローデンクロスで仕立てたラグランコート。ラグランコートは和製英語になりますので、正式にはバルマカーンコートと呼びます。
今回お仕立てしたのはお客様の奥様。ローデングリーンは女性の方にとても合うと思うのです。
襟も小ぶりな作りのため、襟を立てて着ても格好いいです。
そして裏地はブラウン。このグリーンとブラウンの相性がとても美しい。思わず脱ぎたくなる裏地です。笑
緑と茶と言えば、まさに木の色。合わないはずがありません。
ローデンクロスは、「ウール80%/アルパカ20%」という生地のブレンドで、自然な撥水性があります。
そのため、雨や雪でも全く恐れる心配はありません。
むしろ、元々は貴族がアウトドアで着るコートでしたので、どんどん着ていただきたいです。
ベルト仕様にしております。
ベルトがあることによって、後ろにドレープ、陰影が生まれ、とても美しいコートになります。
縛っても良いですが、私は前のポケットにベルトの端をしまい、そのままAラインで着る着方が好きです。
M様、いつもご夫婦でお越しいただきましてありがとうございます。
チェスターフィールドコート
最後は、みんな大好き(笑)チェスターフィールドコート。
遠方のお客様でしたので、完成したものを撮影してお送りいたしました。
ロバートノーブル社のカシミヤ100%の生地で仕立てたチェスターフィールドコート。
色がなんとも格好いい、赤茶色のカシミヤ生地という珍しい色合いです。
何度か言っておりますが、もう「チェスターコート」と略すの、やめませんか?笑
なんだか、ミスターチルドレンをミスチルって略しているみたいで、とてもカジュアルなアイテムに聞こえてしまうのです。
どうしても略したいのでしたら、「チェスターフィールド」、の方が響きがいいと思うんですよね。
まぁ、どうでもいいのですが。笑
前立てを比翼にし、袖口をターンナップにした、まさにチャールズスタイルのコート。
(チャールズスタイルとは勝手に名付けました笑)
チャールズ国王が着ているコートと同じ仕様。シンプルながらこだわりを感じるディテールです。
ツイードやカジュアルな素材より、カシミヤのような上品な生地の方が、このデザインは活きるでしょう。
こちらはハリスツイードでお作りしたチェスターフィールドコート。
まさに膝掛けにしてもよし、毛布のように使ってもよし。普通にコートとして着てもよし。
というとても便利なコートです。
もちろん悪天候ウェルカムなコートです。
1人1着はあると日常使いでとても活躍するでしょう。
N様、ありがとうございました。
-Atelier BERUN-
東京表参道のオーダースーツ / 洋装士
Haruto Takeuchi / 竹内大途