自分軸を持つ

BERUNです。

海の家の8月が、洋服屋の今です。
ありがたいことに、日々たくさんの方にお越しいただき、とても楽しい時間を過ごさせていただいております。


この世界はすべて誰に習うかで型が決まります。
そのため、先生選びを怠らず、自分の人生観、目指していきたい方向性に沿っているかどうかをじっくり考える必要があります。

私はこの業界に興味を持った20歳の頃、初めはイタリアファッションに傾倒していました。
そのときお世話になっていた方からは、
「竹内君、君は顔が派手だからイタリアファッションがイイヨ🍷🇮🇹」

なんて言われたもので、その当時のオフホワイトくらいの画用紙の私のハートは緑と白と赤の3色に染められ、しばらくの間ボンジョルノーと、イタリアファッションを研究していました。

その後しばらくして、私の師であるエドワードエクリュの木場さんにお会いしました。木場さんからは開口一番に、

「竹内君はブリティッシュだよ🥃🇬🇧」

と胸元をぐいっと引っ張られるように、フランスを跨ぎ、ドーバー海峡を越え、青と白と赤のユニオンジャックの英国へと(気持ちを)連れて行かれました。

結果、私の人間性にはブリティッシュが肌に合い、こうして14年経った今もずっとワクワクして楽しむことができています。

もしこの時に、師に出会っていなかったら、今の私は確実に存在していませんでした。

このように、誰に出会うかで人の人生は180度変わります。

私はクラシック道(笑)というものがあるなら、その道に入門しておりまして、
入門と聞くとなんだか堅苦しく聞こえてしまいますが、全ての物事において、何かを学ぶときは、まずその型を覚えることが大切です。

自分自身を奮い立たせ、セルフイメージを上げ、社会性を高め、人に貢献していくという意識を持つことができるこの世界は、私はどんどん中に入って吸収するべきだと思っています。

片足を突っ込むように、ほんの少しだけかじる。
そういう考え方もありますが、コレだ!と思ったら、まずは信じて飛び込んでみる。
プールサイドで足をちゃぷちゃぷして遊ぶのと、飛び込んで全身で遊ぶこと、どちらが楽しんでいるでしょうか。

私は一度きりの人生なので、興味を持ち、それが自分の人生をよりよくしていくものだと確信したら、まずは飛び込んでみるということをやった方が、より楽しい人生になると思っております。

茶道を習い始めて4年、今年から習い始めた習字。
下手で字を書くのが嫌だった35年から、徐々に字を書くのが楽しくなりつつあります。

こうだったらいいなぁ、と思ったら、そうなっている自分を想像して、そこに足りないものを積み上げていく。
それを繰り返していくうちに、理想の自分にほんの少しだけ近づいていけるのだと思います。

話は洋服に戻りますが、洋服は男の趣味嗜好と呼ばれるジャンルの中では、自分だけが楽しむものではなく、社会性も身につけることができますし、仕事にもプラスになります。

そしてセルフイメージも上がります。

本当にいいことづくめで、こんな良いもの、なぜもっと多くの人が取り入れないのだろう。と思ってしまいます。

まぁ、それは我々業界側で、そういう本質的な伝え方ではなく、なぜかモテや流行など、表面をなぞるようなツマラナイ売り方ばかりで、洋服に対する理解が浅はかなところで止まってしまっているのが原因かと思います。
流行を作ることで一過性の売り上げにはつながるが、お客様が育っていかないので、結果的に長く続いていく関係にならないのです。
それでは、洋服の本当の素晴らしさを感じてもらうことは難しいです。

なので私は、動画を通じてこの業界の本当の楽しさを発信しているつもりです。

私の動画で話している内容は確実にマイノリティで、絶滅危惧種です。(自覚アリマス笑)

そのため、現代的発想の反体制派(笑)は、そんなのは時代遅れだ!今は世界でもこれが常識だ!
と矢を放ってきます。

しかし私の中で大切にしていることは、世界がどうこうや周りの人がどうこうではなく、自分がそれに納得するかどうかです。

そして私はこう思います。

今の世界の歩んでいる方向に納得いっていますか

私はどうもコノサキの未来に魅力を感じられないのです。
ですが、時代は進みます。これを止める方法はありません。
なので、一個人として、自分の身の回りは自分が納得するものに囲まれていたい。
と思うのです。
ほんの少しのワルアガキです。

そうすることで、世の中の早すぎる有象無象の流れから一線を引くことができます。
世の中の軸で踊らされるのではなく、自分軸を持つということです

これが今の時代生きている上でとても大切なことです。

わたしはその軸を作る術が、このクラシックスタイルにあると思っています。
まぁ、とっても都合のいい考え方ですね笑
でも、本当にそうだと思うのです。

ツイード&モールスキン

さて、ようやく洋服のお話です。笑


初めてお越しいただいたU様には、ジャケット&トラウザーズ&ウエストコート(オッドベスト)という、ベストスタイルのジャケパンコーデをお作りいたしました。

このオッドベストというのが難しいのです。
なぜかと言いますと、スーツのようにすべて同じ生地のスリーピースではなく、すべて異なる生地で合わせるからです。
これは正直、プロに任せないと事故を起こす確率がかなり高いコーディネートです。

ですので、よりこちらの腕がなりますね。

ジャケットはDugdale & Bros.のツイード生地。

ウエストコートはヴィンテージのBower Roebuckのダークブラウンのキャバルリーツイル。

トラウザーズはBERUN冬の大定番、ブリスベンモスのモールスキン。

モールスキンの厚みは3段階ありますが、最も厚い680gmsのものを使います。
これが本当に暖かくて、ジャケットコーデでもカジュアルコーデでも使えますし、部屋着に最適です。
そして余裕で10年以上使えるという。

これはファッション業界はあまり教えたくないはずです。笑

ネイビー、グレー、ベージュ辺りを抑えておけば、まず冬のスラックス選びは向こう10年は悩む心配はなくなります。

U様、この度はありがとうございました。

ツイードのチェスターフィールドコート

山梨からお越しいただいた若き青年Y様。
「甲府は盆地なので寒いんです」

の一言で、ではコレです!と決まった生地。

Lovat社のツイード。
重さは推定700gmsオーバーで、立つのではないかというくらい重厚な生地です。
これだけ厚く硬い生地は、お若い方だからこそご提案できます。
10年着てやっと馴染んでくる。そのくらいのものです。

硬い生地を柔らかく仕立てる、というのが私の理想の洋服の考え方です。
そうすることで、生地のハリを存分に感じることができます。

毎日のように着て、自分のものにしていってください!

グリーンカラーのツイードジャケット

私が日々ツイードの啓蒙活動をしているため、ツイード道(笑)に入門される方が多く、とてもうれしいです。

初めてツイードを作るとなった場合、多くの方が、まずは1着目だからベーシックなものを、と考えられます。
ですが、それでは自分が思い描いていたものしか作ることができません

私なりに、その人の想像を超えるもので、その人の魅力を最大限に引き出すものお作りしたいと思っているので、まず、私から見てこういうものが似合うと思います。というものをご提案いたします。
(その方にとって、それがベーシックなものであれば、もちろんベーシックなものをお勧めいたします)

なぜこれがいいと思うのか、そこもじっくりとお話ししまして、理解と不安で理解が過半数を超えたらGOします。

この時、不安がゼロになるというものは、私としては全く面白みがありません。
なぜなら、予定調和であるから。
常に新しいものを作る場合は、少しの不安、ドキドキが必要です。
そうでなくては面白みがありません。

想定内というのは、毎日家と会社の往復だけで、何年も過ごしているようなもの。

今の自分をよりよくしていくためには、日々ドキドキすることをした方がいいのです。

例えば、行ったことがないけど、気になっている近所のバーに行ってみる。

会社の人みんなに元気よく挨拶してみる笑

いつもと違うスーパーで買い物をしてみる笑、など。

ささいなことで構いません。
これをやったらどうなるんだろう。と想像して、少しドキドキする位のものをぜひ意識してやってみることをお勧めします。

相変わらず話が脱線してしまいますが、予定調和の色ではない色を着てみて、意外とこれいけるじゃん!となったら儲けもんです。

新しい世界が広がったということです。

それを自分で見つけ出すものは、意外と難しいものです。
もちろん自分でいろいろ挑戦して、時間やお金をかけて失敗して納得して積み上げていくというものも素晴らしく良い体験にはなりますが、その分前述した通り、時間とお金がかかります。
それを信頼のできるプロにお願いすることで、適切な費用を支払えば、人生で一番大切な時間を買うことができます。
私はそこが一番プロにお願いする価値だと思うのです。

薄いグリーンカラーのヘリンボーン柄のツイードジャケット。

こちらのお客様は、もう少し明るめのグリーンカラーのツイードジャケット。

昨年私は動画で、はじめに選ぶツイードはグレーのヘリンボーンを選んでおけば間違いない。とお話ししたことがあります。
それは全く間違えていないのですが、やはり動画はマスに伝えるものです。
その人一人一人を見たときに、この方はグレーのヘリンボーンよりもこの色柄の方がいいな。と思うことの方が多いです。

そしてそれを説明した上で、ご納得いただけたら私が思う理想のものをお見せしております。

少しだけ幅の広い川を飛び越える必要はありますが、超えてみたら、こんな景色があったのか、と思っていただけでしょう。

ツイードジャケット&コーデュロイトラウザーズ

こちらもお客様の想像の斜め上をいくご提案。
シンプルでシックなイメージをお持ちでしたが、ツイードは色柄を楽しんでもいやらしさが出ない生地です。
派手にしすぎず、かつ想像の範囲を超えてもいいという方には、私の脳内をフル回転させてご提案いたします。

ヴィンテージのW Billのツイード生地に、ブリスベンモスのコーデュロイトラウザーズ。

間違いのない組み合わせですが、このセットアップの組み合わせを自分で考えられるまでには、相当な失敗が必要でしょう。
かくいう私はいったいどれだけ失敗したことでしょう。笑

いまだに私物を作るときは常に実験台です。
自分の洋服で色々試して失敗をして、それを踏まえて次に活かす。
そうすることでより良いものを作っていきます。

ツイードとコーデュロイの相性は完璧です。
コーデュロイがモールスキンになっても同じく完璧。

この線まで行き着くと、世の中の流れるプールの完全に外側に出ることができますので、あとは自由に自分の好きなペースで泳ぐことができます。

グリーンのウール素材のヘリンボーンのネクタイを合わせてご購入いただきました。

これを機に、日常にクラシックスタイルを持ち込み、ぜひ楽しんでいただきたいと思っております。

Sさま、ありがとうございます。

-Atelier BERUN-
東京表参道のオーダースーツ / 洋装士

Haruto Takeuchi / 竹内大途

Atelier BERUN -You Tube-

Twitter

Instagram

https://berun.jp/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です