BERUNです。
先日、Borsalinoのパナマハットのリボンを交換しました。
7年前に購入したワイドブリムのパナマハット。ツマミとツバの一部分が割れていますが、あえてそこは修理しませんでした。むしろ、割れてきてからがパナマの本番だと思っています。
元々純正の黒のリボンが付いていたのですが、パナマの柔らかな印象が黒によって堅くなり、格好が良くなりすぎてしまいます。言うなればキザな印象を与えてしまいかねません。
自然色に、強すぎる色は合いません。綺麗に焼けたベージュ色の帽子を、南北断絶するかのように、黒のリボンが横切っていました。
リボンを交換するとき、Borsalinoのマークが付いた部分だけは残して、後の部分を張り替えるという方法もあります。ようはBorsalinoのロゴを残したいのか、無くしてもいいのか、という選択です。
これはわたしなりにイメージをして悩んでみましたが、そこに黒が入ることで、アクセントを付けてしまい、余計な視線がいってしまうことになります(ブランド感が出過ぎてしまう)。そういったことを踏まえ、ロゴも消して、全てベージュで統一することにしました。
メンズフォーマルを軽やかに着ること、それは、境界線を作らず、全身が繋がっているかのようにコーディネートすることだと思います。
そうなれば、シャツと“ズボン”をつなぐベルトも、境界線を作るアイテムに挙げられます。
ビジネスに使うベルトは、黒と茶の2本あれば十分です。カジュアルシーンでは、ベージュやネイビーなど、洋服を邪魔しない控えめな色で合わせていった方がいいでしょう。
スリーピースの着こなしのポイントの一つとしては、ウェストコート(ベスト)とトラウザーズが一体で繋がっているかのように着ることです。そこにベルトの厚みが入ってしまうと、綺麗なラインがかき消されてしまいます。
靴下も、靴とトラウザーズをつなぐ架け橋になるため、手を抜いてはいけない部分です。靴下の色は、トラウザーズの色味か革靴の色味、どちらかに合わせるのが正しい合わせ方です。ですが例外に、フランスやイタリアの伊達男たちは、ボルドーやパープルなどの綺麗なホーズを巧みに履きこなしているので、色を合わせるコーディネートが全てではありませんが。。
私たちが日常的に合わせる組み合わせとしたら、ネイビー、グレー、ブラウン系の3色のホーズを、各数本ずつ持ち合わせていたら、繋がりを分断することは避けられます。
スーツスタイルにくるぶしとすね毛が見えているのは、見えない靴下を履いていようといまいと、その時点で失格と言われても仕方ありません。繋がりを大切にするメンズフォーマルの着こなしで、足元の肌が露出しているというのは、今までやっていた方も、今日から終わりにしましょう。
ここまで言うともうお分かりかと思いますが、Vゾーンでいきなり派手な真っ赤なネクタイを合わせるという着こなしは、我々日本人が得意とする文化ではないのです。それは”彼ら”には好きにやらせていいですが、引き算を美学とする私たちがやる芸風ではありません。
スーツとシャツと顔、肌の中心にくるタイを、どのような色柄をチョイスするのか。そこにその人のセンスが表れます。
Linen Wedding Suit
昨年末に、お世話になっているウェディングプランナーのゆきさんからご依頼があり、1組のご夫婦がBERUNにお越しいただきました。
現在中国に住まわれている方で、帰国の度に生地選びや仮縫いを行い、約半年かけ、先週無事完成いたしました。
W Bill(ダブリュービル、またはダブルビル)のIrish Linen(アイリッシュリネン)を使用したダブルのスリーピーススーツ。襟はセミピークドラペル。生地は真っ白ではなく、若干イエローがかった色です。ボウタイも同じ色柄で合わせているため、4 piece(フォーピース)になります。
こちらも肌の色と境界線を作らない色にしてあります。我々日本人は黄色人種のため、真っ白の服は眩しすぎてしまいます。
わたしも映画の世界に憧れ、白のスーツを作ったことはありますが、やはり肌馴染みやすいのは、少し色が付いている方です。映画の世界に浸りたいのでしたら真っ白でもいいのですが、リアルクローズではないでしょう。
また、真っ白の麻は黄ばみがとても目立ちます。少し黄みがかっているものでしたら、少しの汚れも気にならなくなります。
ボタンは乳白色の貝釦を使い、生地の色と調和させました。
アイリッシュリネンのハリが、背中のラインをここまで美しく見せてくれます。
共地で作ったボウタイももちろん手結びです。フィッティングのあとは、いつものようにボウタイのレクチャータイムが始まります。
厚手のアイリッシュリネンのため滑りがわるく、とても結びづらいですが、コツを掴むとすぐに結べるようになります。
T氏はディナージャケット(タキシード)も合わせてオーダーしてくださいました。挙式ではディナージャケット、食事のときのお色直しでこちらのリネンのダブルブレステッドスーツに着替えます。
最後に、洋服に境界線をもってこないというのはぜひ意識してほしいのですが、目指すところは、洋服だけではなく、人を含めた全体が繋がっているように表現するのがポイントです。
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