BERUNです。
梅雨入り前に子供から風邪をもらい、一家全員寝込んでしまいました。
少し長引いてしまったのは、晴れ晴れとした長い春から一転して、雨が連日続き、気持ちが上がらないことが影響しているかもしれません。
ここしばらくは新しく作った作品を紹介していなかったので、今回はいくつかご紹介いたします。
これから暑くなるというのに、質実剛健な生地でスーツを誂えている方が多く、作り手のわたしもとても力づけられています。
これからの季節に縛られず、着たいものを作りたいタイミングで作るというのはとても贅沢な選択です。
Black Formal Suit
冠婚葬祭用にと、BERUNではあまり作る機会の少ないブラックスーツをお仕立てしました。
ダークグレーかミッドナイトブルーで多くの場面は代用できることから、あまり黒のスーツというのは作ることは少ないのですが、黒には黒の魅力があると再認識しました。
黒は生地の良しあしが最も現れる色です。そのため、安価なブラックスーツに手を出すのはお勧めしません。着用頻度の高くないブラックスーツは、サイズをピタピタに作らなければ、末永く着続けていくことができます。たまに着る非日常服だからこそ、良いものを誂えておきたいものです。
ボウタイをすれば冠婚、黒の結び下げ式のタイをすれば葬祭に着用できます。
お葬式ではポケットチーフは入れません。
ブレイシーズ(サスペンダー)は白か黒。フォーマルの世界には黒と白しか入る余地はありません。
他の着こなしでは、中にオッドベスト(柄違いのベスト)を中に着ることで、パーティシーンで活用することもできます。
Dark grey Double Breasted Suit
今期最速で秋冬物をお納めしました。笑 生地を見て一目ぼれされ、ダークグレーのストライプ生地でダブルブレステッドスーツをお仕立ていたしました。
英「BATEMAN OGDEN」社の生地。日本ではあまりまだメジャーではない生地ですが、真面目に良い生地を作り続けている老舗マーチャント(生地商社)です。
ラペルはセミピークドラペル。この角度にすることで、ラペルがある程度広めに作ってもきつさが目立ちません。柔和な印象になり、まさに英国とフレンチの架け橋と言えるような顔つきです。
タイは新婚旅行でイタリアに行った際に購入したという、マリネッラのブラウンのレジメンタルタイを合わせてくれました。洋服がとても好きなご夫婦で、いつも楽しく服飾談議に花を咲かせています。
BERUNのスリーピーススーツの特徴であるトラウザーズとウェストコート(ベスト)のバランスが、この写真で見るとわかりやすいかと思います。トラウザーズの股上をできる限り深く(高く)とり、ウェストコートの丈をぎりぎりまで短く作る。
このサイズ感はビスポークではないと作れません。
一見するとつまらなくなりがちなダークグレーのチョークストライプですが、仕立てとサイズ感で自分らしさを表現することで、十分に華やかさと大人さを感じさせるエレガントなスーツに仕上がります。
ダブルはビスポークでもサイズ感がとても難しいです。わたしはシングル同様、着丈をしっかりととります。着丈をとる代わりに、ウエストなど、しめるところをしめる。そうすることで、既製品では絶対に表現できない雰囲気が出ます。ちなみにこちらのスーツを仕立てた千葉氏はまだ30代になりたての若者です。まだまだ日本も捨てたもんじゃない。と希望を感じさせてくれます。
Charcoal grey Shark Skin Suit
ブラック⇒ダークグレー⇒チャコールグレーと続きます。
こちらは英「DORMEUIL(ドーメル)」社のチャコールグレーのシャークスキンの生地。290gmsという中肉の生地は、真夏以外通年着用することができます。
本当にベーシックで、どんなシーンでも活用できるスーツといえばグレーのシャークスキンを選ぶでしょう。かく言うわたしも、21歳のとき、初めて師匠に仕立ててもらったスリーピーススーツはグレーのシャークスキンでした。
若者はグレーではなく、ネイビーを着る、というイメージを払拭したいと思っています。男なら年齢問わず、グレーを着こなせるようになってほしい。はじめは着られるくらいでちょうどいい。2,3年後に、ようやく見慣れてきたな、という方が永く愛用できます。
小手先の着こなし術、、などに惑わされず、シンプルに身体に合ったものを着ていることが、一番自分自身を引き立たせてくれるのだと思います。
最近の若者は、、というのは古代エジプトの時代から言われてきている言葉というのは有名な話ですが、BERUNにお越しいただいている若者は、みな柔軟でありながら芯を持った強い人たちで、この世界を好んで着こなしてくれている人ばかりです。日々感心と感動をもらっています。
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