BERUNです。
今年の梅雨は本当に雨が長いですね。
わたしは雨の日はどうも体調が万全にはならず。。早く梅雨が明けて太陽が見たいです。
革靴や鞄のカビにはお気をつけください。わたしの自宅では除湿機がフル稼働しています。
さて、本日、新しいBERUNのネームタグが完成いたしました!
今回は2パターンお作りしました。
大きい方はスーツに使います。小さい方はシャツ・タイ・スラックスに使う予定です。
印刷が多くなっている現代ですが、あくまでアナログに刺繍にこだわりました。
(完成したシャツに乗せてみました)
昔英国に行ったときに集めておいた、あちらの仕立て屋のビジネスカードのカリグラフィーがとても格好良かったため、「Atelier Berun」の字体をカリグラフィー専門のデザイナーに書いてもらいました。何パターンも作ってもらった中から選んだものです。
正直、タグは縦糸、横糸の関係から、最後までどのような仕上がりになるのか想像ができません。ですが満足いく仕上がりでした。実際に見て触っていただきたいです。
今日からのオーダー分はこちらのタグに切り替えていきます!
BERUNタグ第一弾と2ショット。今ほとんどの人が持たれているのがこの次の第二弾のものかと思います。この第三弾のネームタグも使いきれるように、精進していきます。
イタリアファッションからイギリスへ
ここ最近立て続けに、今までイタリアファッションを好んでいた方が、英国式の洋服を求めてお店に来ることがありました。
百貨店やセレクトショップなど、巷には昔からずっと、イタリアンスタイルの洋服が数多く並んでいます。
英国服と比べると、割合は2:8、言ってしまえば1:9と、圧倒的にイタリア勢の勝利でしょう。
<Loro Piana Italy Wool/Silk/Linen>
本国に行くと、イタリアファッションには自国の思想があり、どこを切り取っても素晴らしいものばかりです。しかしそれが遠い東の果ての国まで来ると、本質が伝わっていません。何かわかりやすいキャッチーな言葉を付けて、表面的なコーディネートを提唱しています。ですがそれは本質ではありません。
彼らは格好をつけるためではなく、ラクだから、そして気候風土に合う着方を突き詰めた結果、シャツのボタンを開けています。その気候と風土と国民性に合った着方だから、自然とサマになって見えます。我々日本人はその一部分を切り取り、ファッションとして「イタリア流着こなし術~~」、として売り出してしまうため、何だか怪しい方向へといってしまうのです。
やはり日本で過ごしていて目に留まるのは、当たり前ですがイタリアスタイルです。
なぜ世の中にはイタリアファッションが溢れていて、英国は影を潜めているのか。
わかりやすく2分化してみると、文化と歴史を重んじて、何にも媚びずに変化を求めない英国と、常に新しく美しいものを求めるイタリア。(もちろんイタリアの中でもクラシックで時代に流されないものを作り続けているブランドはあります。ですがそういうブランドは日本にあまり入ってきていないのが現状です)
艶やかで、柔らかく、一見しておしゃれさがあり、高級感があるイタリアの洋服。対して英国の服は、地味で、代わり映えがしない。生地も硬く、”一見すると”高級感からは程遠い印象があります。
その2つを隣に並べたとき、何の前情報も知識も持たないお客様が選ぶとしたら、今の日本人の感覚では多くの人がイタリアの洋服を選ぶと思います。(決してそれがわるいわけではありません)
そこに「待ってください」と言える販売員がいればいいのですが、今のアパレル業界に、そういうコシのある販売員は少なくなってきています。今は店員の力で売るものではなく、物の綺麗さ、ぱっと見の良さで売れるものが世の中に溢れています。
似たようなものばかりが乱立し、どこの店に行っても同じブランドばかりが立ち並ぶ現代では、ファッション業界が下火になるのも仕方ありません。
伝わりづらいものだからこそ、伝えることにやりがいと意義を感じてほしい。
そういう人がいないと、どんどんこの業界は廃れていってしまいます。
<Harrisons of Edinburgh Sea Shell>
イタリアには素晴らしいクオリティの生地やブランドがたくさんあります。しかしそれがしっかりと伝わっていないのがとても残念です。日本で出回っているような”今ブームに乗って売れているブランド”も、本国で誇りをもって販売している店員と話すと、日本人が思っていた感覚と相反していることが往々にしてあります。彼らと真剣に話すと、本当に理念を持っている素晴らしいブランドだと感じることがあります。日本人はモノの品質で見るのではなく、ネームバリューにすべての価値基準をおきます。我々が必要なのは、ブランドや価格に踊らされず、感じることがなによりも大切なのだと思います。
勉強ではなく、体験を通して人が育っていくことを、もっとやっていく必要があるでしょう。
伝えたいことは、イタリア、イギリス、どちらがいいということではなく、真実を受け止めたうえで、自分自身の生き方を考えて選択してほしいということです。
スタイルからファッションへ
わたしは、小さなことを言うように感じてしまうかもしれませんが、日本のファッションを変えたいとか、大きなことを謳うつもりはありません。
この業界はマイノリティです。このスタイルの本質は、多くの人に根強く届くものではありません。
より多くの人に届けていこうと取り組もうとすると、どうしても薄めていかなくてはいけないところが出てきます。
マイノリティからマジョリティになり、その結果、スタイルからファッションへと変わります。
そもそもブームになる前から自然に装っている人は、それをファッションやおしゃれだと思っていないことがほとんどです。彼らは、人生のスタイルを装っているだけです。
それをデザイナーや業界関係者が見て、その一部分を”切り取り”、ファッションとして浮き上がらせて商品化します。
イタリアにいても、日本の雑誌に載っているような”オカシナ”ファッションをしている人たちはほとんどいません。彼らはピッティなどのイベントのときに着るだけで、日常的に着ているファッションはもっとシックでエレガントです。
日本人が一部分を切り取り、ファッションとして日本人なりに解釈して提案しているだけのものに、踊らされずに、シンプルでシックで、本質的に”良いもの”を選ぶようにしていきたいです。
そして、ファッションで物事を見る目が養われたら、それはほかの業種にも使うことができます。審美眼を鍛える意味も込めて、何が美しいのか、なぜ美しいと思わせるのか、その本質を見ていくことを、無意識レベルでできるようにしていきましょう。
この「スタイル」ではない、ファッションが蔓延している日本で、しっかりと根付いたスタイルを持ち、激流の中で静かに佇むことを想像してみてほしいです。荒川の下で悠然とたたずむ小石のように。
誰にも流されずに、ただ自分のスタイルを深掘りしていくことは、とても豊かで、楽しい人生だとわたしは思います。
Atelier BERUN
東京都新宿区神楽坂6-8-23
◆http://berun.jp/
◆Facebook
◆Tel : 03-3235-2225