BERUNです。
数年前から、風の時代と呼ばれ、新たな時代が来ると誰かが言い出し、それに相まって、物を持つことがあたかもわるいという風潮まで漂ってきました。
そして2020年からのコロナ。
人は人と繋がることで発展し、生きてきたわけですが、それが閉ざされてしまった。
多くの方が、心穏やかに過ごせることが何より大事だったのだと感じたと思います。
わたしの周りの方々は、決して世の中の大多数の人ではないかもしれませんが、その方々の心の整え方がやはり面白いのです。
このような時代だからこそ、どうやって心を穏やかに保てるのかを考えることはとても大事なことかと思います。
なんでもいいのです。自分が好きなものに触れるのが何より大事です。
私のお客様で、大の時計好きの方がいらっしゃいます。
何か仕事で大変なことや予期せぬことがあると、時計を眺めて、
「いいや、◯◯持ってるし。」
と心を穏やかにしているという話を以前してくださいました。
その方は時計ですが、今の時代では、筋トレなんかもその対象になっている人も多いと思います。
車やバイク、ショッピングなど。
その人それぞれの心の整え方があっていいと思います。
わたしのお客様の中でも、このスーツを着て仕事をしているからやる気が出るんですよ。
と言ってくださる方が多いです。
なんだかこの話を聞いて、「なんだ、ものに頼らないと心を落ち着かせられないなんて」
と思われる方もいるかもしれません。
しかし、私たち人間、さらに細分化し、オトコという生き物は、決して強い生き物ではないと思うのです。
自家発電できるほど屈強な精神の持ち主という人はそこまで多くはないと思います。
むしろ、おれはなにものにも頼らない!自分だけで生きていける!という人より、
自分は意気地が無い。コンジョウがないんだヨ。そんなオトコだから、任せるところは任せる。
という柔軟なハートの人の方が、人は惹きつけられるのではと思います。
人間味を感じる。という言葉は、字の如く人間の味です。
人間らしいとは、人に頼る、人と関わっていく、ということだとわたしは思います。
そうやって人に頼り、洋服の力を借りて、身の回りを信頼のおけるものに囲まれて生きていくことで、人と繋がり、心穏やかに生きていけるのではないでしょうか。
あらゆるものを手放した先に見える世界もあるでしょうが、本当に好きなものに囲まれた世界というのも、素晴らしく美しいとわたしは思います。
夏の終わりのジャケパン
夏の終わりに、春秋物の洋服が完成してまいりました。
長い付き合いになってきたH氏には、FOX BROTHERSのメッシュ生地を使ったウインドウペーンのジャケットを仕立てました。
トラウザーズはフレスコライトのオフホワイト。
このオフホワイトの色合いがとても格好いい。
ウールのオフホワイトとなると、少しキザな印象になりかねないですが、質実剛健なフレスコ素材のため、とてもバランスがよいです。
中に合わせたのはサックスブルーのリネンシャツとネイビーのニットタイ。
わたしの中でひとつの答えがみつかりまして、ジャケットの中に合わせるシャツは、サックスブルーがあればよいということです。
夏はサックスブルーのリネンシャツ。
秋から春にかけては、ロイヤルオックスのサックスブルー。
今でもたくさんシャツがありますし、どれも気に入ってはいるのですが、今となっては手に取るのはほぼサックスブルー。
このように、一つのアイテムでも決めることで、自分の着こなしの色が出てきます。
オールリネンコーディネート
全身リネンのジャケパンスタイルです。
ベージュのヘリンボーンの生地を使ってお仕立てしたリネン100%のジャケットに、スペンスブライソンのブラウントラウザーズ。
中はブルーのリネンシャツに、シルクリネンのレジメンタルタイ。
これでもか!というくらいリネンの嵐ですが、やはり素材感は合わせるに越したことはありません。
統一感が生まれるので、素材と色のトーンを合わせるというのは、コーディネートをする上でとても大切なことです。
バックシルエットもとても綺麗です。
ピンクのリネンシャツも合わせてお渡しいたしました。
中に合わせるネクタイはどんなものがいいだろう。ということで、今年の夏に作ったリネンのホワイトタイ。
残り1本ありましたので見繕うことができました。
このネクタイも元々、私がどうしても欲しいネクタイということで作ったもので、白のリネンタイなんて、欲しい人いないだろう。。と自己満足だと思っていたのですが、思いの外人気で、とても嬉しかったです。
リネンは夏を感じる素材ですが、色味がベージュ系で落ち着いているので、これからの季節も活躍しそうです。
薄手のリネンでジャケットを仕立てる
いつもお越しいただいているA様。
今回はシャツ生地ほどの薄さの生地で、ジャケットをお仕立てしました。
薄ければ、どうしても立体感が出ず、安っぽくなってしまいます。
薄い、柔らかい生地だからこそ、フィッティングはとても大切です。
ベージュとカーキの間のような色、トープ。
肩パッド、芯を抜いて軽量化したジャケット。
裏地も袖のみで、本当に生地1枚で着るようなジャケットです。
履いているスラックスは、ベージュのコットンのもの。リネンとコットンの相性はバッチリです。
中に合わせている綺麗なブルーはリネン生地。
ベージュとブルーは砂浜と海の色ですね。合わないはずがありません。
まだまだ暑いので、これから10月いっぱい頃までは着られると思います。
ブルーカシミアシルクジャケット
俳優業をされているお客様がお越しくださいました。
私が選んだのは、伊アリストン社の生地。素材はなんとカシミア&シルク。
とても美しい光沢と想像を超える柔らかさを持つ生地です。
舞台に上がる時に着用されたいとのことでしたので、映像映えする生地を選びました。
このようなユニークな生地は、シンデレラ待ちと私は呼んでいて、誰かピッタリの人が現れたらぜひご提案したい。それまではじっくりと慌てず待ちます。
何年か経った後でもいいのです。
話をしていてふと、
「あっ!あの生地がおすすめだ」
と思ったとき、お見せします。もし気に入っていただけたらこんなに嬉しいことはありません。
少しずつ、秋冬物のご注文をいただくことが増えてまいりました。
まだ、たくさん良い生地がございますので、ぜひ遊びにいらしてください。
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-Atelier BERUN-
東京都港区元赤坂のビスポークテーラー
洋装士:竹内大途