ドンっと秋冬生地

BERUNです。

お盆が過ぎ、洋服業界は秋冬モードです。
そんな時期ですが、当初8月上旬を予定していたニットポロが、今月末に完成してまいります。

弊社のニットポロですが、糸を染めるところからやっておりまして、糸の染色に3〜4週間かかります。
それを生地にする工程。そしてそれを形にしていく作業。
今回お作りしたものは少しだけ修正を加えたところがありまして、その修正箇所により、少し完成が遅れてしまいました。
もう気分は秋だよー!というお方が多いかと思いますが、まだ残暑がある!暑過ぎないこれからがいい!
と思われた方は、ぜひご検討の程、よろしくお願いいたします。
ちなみにですが、今回によって染料がなくなってしまった色もあるため、来年以降はまた違う色を展開していく予定です。

さて、夏のお話がおわりましたので、これからはたっぷり汗をかくお写真を載せていきたいと思います。笑
何せツイードが大豊作です。

そして、そのツイードを追うように、またまた珍しいマニアックなヴィンテージ生地もつい先日入って参りました。
もうわたしの資産(と呼べないですよね笑)のポートフォリオの一体何%が生地なんだ?
と甚だおかしくなりますが、生地は全て出会いですので、良いものが見つかるうちは揃えていきたいと思っております。

ツイード生地のブランドは、
ハリスツイード・MAGEE・FOX TWEED・LOVAT・Dugdale & Bros.・John G Hardyといったラインナップです。(覚えなくていいですヨ笑)

ツイードといえばハリスツイード、という日本ですが、ハリスツイードとは、ハリス諸島で織られているツイードということで、何もツイード=ハリスツイードというわけではありません。
日本にも全国様々な織元があるように、何も西陣織=日本の織物だと思わないでくださいネ。というようなお話です。
ハリスツイードは生地の仕上げをあえてラフにすることで、糸の素朴な質感を感じることができます。また、独特の柔らかさがあり、供給量の多さからも広く知れ渡っているブランドです。

もっとガシッと詰まった生地感がお好きという方には、そういうツイードもたくさんあります。

わたしが大好きなラバットLOVATはまさにそんな硬い生地です。

ラバットは2016年にイギリスに行った際に実際に工場を見せていただきました。
その時のブログはこちらです。↓
〜5日目 Hawick〜

一般的に、数年おきに変わる生地本ですが、このラバットは私がこの仕事を始めた2010年からずっと変わっておりません。つまり彼らのメッセージとしては、

「これが私たちのすべてだ。That’s all.」

ということだと汲み取ることができます。
たびたびリニューアルする生地本は、ある程度トレンドを意識して刷新されますが、ラバットのような質実剛健なブランドはその必要がありません。

また、定期的に生地本が変わることにより、その生地本を新しく作るコスト、それを営業して周る営業マンによるコストというものがかかってきますので、それが必然的に生地の価格に乗っかってきます。
私が生地本で提案をするスタイルをあまり好まないのは、そういうところにあります。

ここまで言いましたが、これも役割ですので、どちらも必要なのです。

新しいツイードばかりでなく、前から置いてある生地たちも大変魅力的な生地ばかりです。

つい先日、悪魔の囁きのようなヴィンテージ生地のお話をいただきまして、あまりの素晴らしさにがっちりおさえてしまいました。それがこれから紹介する生地たちです。

ヴィンテージのウィリアムハルステッドのカバートクロス。これはもうたまりません。。!

510gmsというコートにしてはちょうどいい厚みで、劇的な渋さを誇る色柄。

これはおじいちゃんになるまで楽しめるコート確定です。

あとはこちらも抜群に素晴らしい生地です。

バウアーローバック社のヴィンテージ。

なんと、コート生地であるにもかかわらず、素材がウール&3plyモヘアなのです。

これが一体なんのこっちゃという方はスルーしていただいて結構なのですが、3plyモヘアというのは、英国の夏のスーツ生地に使われるものなのです。(3plyとは3本の糸を1本に撚り上げていく生地の事)

とても肉厚な生地で、モヘア特有のハリと光沢感を楽しめるということで、クールビズとはなんぞや?という夏の戦士方に好まれる生地です。

それがなぜかコート生地に3plyモヘアが使われているという。。初めて見ました。

しかしモヘア特有のざらざら感はなく、コートらしいガシッとした触り心地。

昔の生地は、なんでこんな事したの?という今となっては不思議な生地が結構あります。それだけ自由さがあったのだと思います。

コートの生地としてのクオリティはピカイチです。私もこれでチェスターフィールドコートを作りたいと思います。

あとは、コート生地で言いますと、最近やたらと人気になってきました、ローデンクロス。

色はローデングリーン。ローデンクロスはグリーンがマストです。

最近ローデンコートが巷に増えてきていますが、私としては若者がローデンコートを着ているのは少々違和感があります。

女子高生がヴィトンのバッグを持っているくらい、相性がわるいのです。

(ローデンコートについての生地は過去の欧州記で書いております。↓)
〜3日目 Milan〜

ローデンコートはおじさまが着るコートなのです。ポロコートやローデンコートのように、R指定されている大人以上のコートはいくつかあります。

そのため、ローデンクロスを使い、別のコートを作るという発想が、わたしは日本で着ることを考えますと良いと思っております。

最後に、こんな珍しいヴィンテージ生地も。

HOWSE MEADという今はなき生地メーカーのもの。
色という色全て入っているかのようなドネガルツイード。質感は抜群です。カントリーなジャケットを仕立ててもいいでしょう。普通のテーラードの仕立ても格好いいです。

これだけ紹介いたしましたが、実際のところ全て紹介しきれません笑

わたしの生地のコレクションがとんでもないことになっておりますので、ぜひご興味のある方は実際にお越しいただけたら幸いです。

いつもご覧いただきありがとうございます!

-Atelier BERUN-
東京表参道のオーダースーツ / 洋装士

Haruto Takeuchi / 竹内大途

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