その都市のコートのあり方

BERUNです。

ただ今、サンプルでカバートコート(Covert Coat)を製作しております。

bladendb-14-1(画像はまだ製作中のため、借りております)

生地はカバートクロスと呼ばれる、キャバリーツイルのような厚手の綾織りの生地を使用しています。上襟がベルベットに切り替えられ、前釦は比翼釦というのが主な特徴です。(由来までご説明すると今回の趣旨から外れてしまうので、割愛させていただきます…)
このカバートコートは、英国ロンドンではいやというほど見かけます。まるでビジネスマンの制服であるかのように。しかし、他国では一切見かけません。

そういったコートは、他にもあります。

classic-coat-loden-greenローデンコート(Loden Coat)

イタリアのミラノでは、オーストリアの伝統コートであるローデンコート(Loden Coat)が、紳士の定番コートとなっています。(これも面白いディテールです。アームホールの下が空いており、後ろの背中辺りから裾にかけて、大きなプリーツが入っています。日本ではあまり見かけません)
しかし同じイタリアでも、ナポリやフィレンツェ、ローマへと行くと、全く見かけません。

フランスでは、男性がカシミアを着ることはレディに華を持たせないこととして、控える男性もいらっしゃると聞きます。
ヨーロッパには、その都市その都市の衣服の在り方があり、洋の服と一緒くたにしてはいけないような気がします。

さて、日本の都市「東京」はと言いますと、最近ではここ数年前からようやく紳士の定番コートである、「チェスターフィールドコート」が日の目を浴びてきました。

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しかしまだ日本で見かけるものは本格的なものとはほど遠く、このままでは本国の正統派チェスターフィールドコートと並ぶのはまだまだ先になるでしょう。現代の日本のコートは何にしても、着丈が短過ぎます。

もう一つの都市、ニューヨークのことは恥ずかしながらわたしはあまりわかりません。
ただ一つ言えることは、世界中どこに行っても通用する、エレガントで間違いのないコートはチェスターフィールドコートです。

これはロンドン、ミラノ、ローマ、フィレンツェ、パリ、ニューヨーク、そしてトーキョー。どこの都市に行っても、その都市毎の色味も感じさせず、紳士的でしっかりとした印象を与える事ができます。

きっとローデンを着てロンドンに行くと、
「彼はミラノから来たんだな」
と思われてしまうでしょう(それがわるいわけでは決してありませんが)。
そのくらい、日本人が思っているよりも、西洋の方たちの街の意識は強いです。

少しカジュアルな印象になりますが、「アルスターコート(Alster Coat)」や、「ポロコート(Polo Coat)」でもいいでしょう。
しかしどのコートに至っても、短すぎる着丈を着てしまったら全てが台無しです。
「やっぱりアジア人は分かっていないな」
と陰で失笑されてしまいます。

昔のコートは着丈が長く、袖が折り返し(ターンナップ)てあり、後ろにはたっぷりとプリーツが入る。裾に向かってAラインに広がり生地がたくさん使われているものが主流でした。もし1着あなたが本格的なポロコートを作ろうとしますと、スリーピース1着分以上の生地を要します。これは、生地をたくさん使った贅沢なコートであるという証でもあるのです。(戦前のヨーロッパでは、ドアボーイやホテルのエントランススタッフなどにも、ずっしりと重たい生地をたっぷり使ったコートを支給していました。これがホテルの豊かさの象徴だったのでしょう)

「トラッド」という言葉自体が、ファッションアイコンとしての立場になってしまっている日本では、なかなか現代のおしゃれの魔法から解放されるのは困難です。
そもそもトラッドとは、「伝統的な」という意味であり、そこはファッション性を求める世界ではありません。ファッションをまだ楽しみたい、という気持ちの表れが、”若さ”だと西洋では失笑されてしまうのです。(変わらぬものを良しとする英国文化。しかしその影響で、近年長い歴史を持つトラッドブランドが次々と姿を消す、または中国資本に代わり思想がかわっていくという変革が相次いでいます。伝統を守るか、時代に柔軟に生きていくか。いつの時代も対極します)

自分と出会ったより多くの人に、カッコいい、しっかりとしている。という印象を与えたいようでしたら、意識の矛先を少しだけでも変えてみてもいいと思います。

たった1つでも洋服選びを変えることから、その後の人生が大きく変わることがあるのです。

 


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