BERUNです。
1月も終わりを迎えます。はやくも街のショップは春色に変わってきています。
こちらは先週完成したHarrisons Flannelのダブル/ Prince of wales。
セミノッチドラペルがクラシカルで美しいです。
ブラウンのダブルという形が、大人さを感じさせてくれます。
ビスポークの良さは、季節に左右されずに作りたいものを作れるところにもありますね。
来年以降を見越して今作ることもできます。
数年前までの細短シルエットから一転、クラシック回帰と言われてしばらく経ちました。
街を歩いていて感じたことですが、お洒落な人がとても増えたと思います。
先週、雪の降る温泉街に行ってきましたが、そんな片田舎に来ても、ファッショナブルな人がたくさんいて驚きました。ひと昔前までは頑張ってしていたお洒落が、より普通なことになったのだと思います。
ファッションが気軽に誰でも楽しめるようになったからでしょう。自分を着飾ることは人間の本能です。とてもよいことだと思います。
しかし、ファッション人口が増えても、トラディショナルに足を踏み入れる人の数は依然変わっていないとわたしは感じます。
別の言い方ですと、クラシックをファッション(流行)として楽しんでいる人は増えていますが、自身のライフスタイルとして取り入れている人は少ないということです。
ファッション人口は増えながらも、本格的なものを着ている人が増えないということは、業界の打ち出し方がヨーロッパ的な本流を伝えようとしているのではなく、目先の利益を追い求めた軽率なわかりやすい物が世に放たれていることが影響しています。
正しいモノ選びをするポイントは、色んな情報を見すぎてノイズにまみれ、感覚が鈍ってしまっている脳を喜ばせるための洋服ではなく、人が本来持ち合わせている感覚を大切にする。着ている身体が喜ぶ洋服を選ぶようにすることです。
たまには、ノイズにまみれた脳を休ませることも大切です。
旅に出るのもいいでしょう。本物に触れる。長い時代評価され続けているものに触れる。自分の軸の中心を意識して、そこからかけ離れないようにしておくことです。
現在クラシックスタイルでいる人も、5年前にはまったく異なる格好をしている人もいます。
そういった方は、たまたま時流に乗って今はクラシックスタイルですが、このまた5年後にはまた違う格好をしている可能性が高いでしょう。
ファッションはしっかりと楽しんでよいものです。ですがどこかでぐっと踏み止まり、これでいいという場所に身を置くことで、より深みを出していくことができます。多くを求めすぎずに、奥深さを出していくことは、長い人生洋服と愉しく暮らしていくよい方法だとわたしは思います。
(カールラガーフェルドのようなモードブランド関係の人たちは、変わり続けていく美しさがあります。こういった方々は、エネルギッシュに進化し続けていってほしいと思っています)
自分の装いをファッションだけに留めず、シンプルに気取らず、人生の一部のような扱いで過ごすことができれば、自由に優雅に生きていくことができます。
時流に乗るのではなく、自流を作る。
慎ましく人生を豊かに生きるために、洋服を普通に美しく着る装いに理解を深めていく人が増えますように。
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