長い春

BERUNです。

今年の春は長いですね。ここまで気持ちのいい気候が続くととても気持ちがいいです。

”美味礼讃”以来の料理本を読みます。本は決して得意ではありませんが、お勧めされた本は読むようにしています。
先日知り合った若いフレンチのシェフから借りた本です。お話しをしていると、わたしの仕事と料理の仕事はとても似ているなぁと感じます。
入ってくる食材から、今日くるお客様を思い浮かべ、満足してもらえるようなものを提供する。そう考えると、料理人にあれこれいう人はあまりいないように、仕立て屋にまずは任せてみるというスタンスは、やはり豊かな発想なんだなと思います。

昔何度か行っていた中目黒のフレンチで、”石丸館”というお店がありました。オーナーが亡くなり、残念ながら数年前に閉店しましたが、昔ながらのオーセンティックなフレンチの味は今も覚えています。
オーナーは若い頃単身でフランスに渡り、日本人ではじめてフランスにフレンチを出したと言われていた方。その方がフランスでフレンチを営んでいたときの話が印象的でした。

お客様は店に入り席に座ると、「さて、今日はどういう料理を作ってくださるんでしょう」と、すべてシェフにお任せするそうです。ランチタイムでも。
シェフが100%の仕事ができるようにお客様が受け皿を作ってくれる。実はお互いに最も満足度が高い関係だと思います。
そんな場所がすべてだとは思いませんが、フランスには職人やアーティストを支える土壌があります。経済を第一に考える日本と、文化を大切にしていたら、それが経済にもつながっていたというフランスの違いを感じます。

Spring Jacket

さて、続々と3月に作った春物の洋服が完成してきております。

ジャケットは英Marling & Evans社のウールリネン。ウールとリネンのみの生地はなかなか納得できる生地が見つかりませんでした。今期こちらのネイビーと、水色、グレーの3色を見つけたので、早速仕立てました。270gmsという程よい肉感が春先にちょうどいいです。

トラウザーズはBERUNでは定番のHarrisonsのベージュコットン。こちらとネイビーを揃えておけば、春秋のジャケパンスタイルのトラウザーズでは悩むことがなくなります。

以前のブログにも書きましたが、最近作っている春夏用のジャケットは軽い仕立てで作っています。こちらも肩パッドを排したアンコンストラクテッドジャケットです。ですがただのアンコンでは既製品のような雰囲気になってしまうため、ビスポークの最大の良さである立体感をアンコンジャケットでも表現しています。

小柄なH氏に合わせて、今回は前釦を1つにしました。前身の長さが長くならないため、1つ釦でも間延びしません。軽快な印象になるのと、より自分らしさが引き立ちます。

H氏はチノパンやデニムなどのカジュアルな装いが今までのワードローブでした。自立しそうなほど固くクオリティの高いチノクロスのパンツを、履き倒して愛用しておられる真面目な方です。
そういったスタイルももちろん尊重しながら、少しドレスアップしたコーディネートを愉しむ日も作るのも素晴らしいと思います。

左右の身体のバランスもうまく合わせました。チェック柄はより身体の流れが見えるので、ビスポークのしがいがあると思います。

こちらはすでに廃盤になった生地、HarrisonsのMIRAGE。三者混の生地はやはり春秋にぴったりです。
わたしのとても気に入っている生地で、もうこちらでも何度も紹介しております。これに代わる生地が未だ見つかっておらず、最後の最後まで絞り切るように在庫を調べては仕立てています。

最近よく言われるのが、カジュアルな格好に一枚着て雰囲気のいいジャケットがほしい。という要望です。
カッチリとしたジャケパンスタイルではなく、程よくカジュアルなイメージを皆さんご希望として持たれています。
ですがそこもカジュアルになりすぎないように気をつけてください。少しでも気を抜くと、すぐさま世の中の大多数に混ざっていってしまいます。

綺麗な仕立ての洋服を普通に着る、というのがいいと思います。

 

Ladies Denim Trousers

ひっそりとレディースもやっています。アイテムは絞り、チェスターフィールドコートとデニムトラウザーズとシャツのみです。美しく綺麗に楽に、オーダーをもっと日常的なものだととらえてほしいと思っています。お客様の奥様が興味本位で作ってくださることがあり、そこから気に入っていただけて色・素材違いでリピートされる方が多いです。
自宅で洗っていただいても大丈夫なので、普通にデニムを履く感覚でガシガシ使っていただきたいです。
レディースのデニム生地は、履きやすさを考慮して伸縮性のあるポリウレタン入りの生地を使っています。メンズのデニムには伸縮性は必要ありません笑

クリースラインが足をすっきりと見せてくれます。
ただいま夏に向けてホワイトデニムを製作中。

新しい洋服が出来上がると、GWが愉しくなりますね。


Atelier BERUN

東京都新宿区神楽坂6-8-23

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