色で艶やかに愉しむのは何歳から

BERUNです。

これから夏本番ですが、秋物の生地を着々と仕込んでいます。
生地は相変わらずヘビーなものが多いです。
お世話になっていた生地屋さんのご好意で、昨年からかなり珍しいヴィンテージの生地を仕入れることができるようになりました。

今日は生地屋の方がヴィンテージ生地と一緒にイタリア生地を持ってきてくださり、イタリア生地についても色々と話しました。
伊「タリアディデルフィノ」が新たにBespoke向けの生地シリーズを作ったということで、色々とサンプルを見せてもらいました。

英国のテーラー向けに作られた生地は確かに、今までのような腰のないイタリア生地とは違い、しっかりと骨のある触り心地があるクオリティです。イタリア生地では珍しい縦横双糸(2本の糸)のため、ハリ、復元力があります。それでいて、イタリア生地ならではの艶やかさ、表面のつや感のある魅力的な生地でした。
わたし個人的にほしい色柄がいくつかありましたが、まだわたしには早いかな。。と感じ、一旦オーダーはしませんでした。

なぜ自分が作るのが早いと感じたかというと、わたしはまだ、地味で肉厚な英国の生地を着られる身体と年齢だからです。
こういった艶やかで柔らかなものを本質的に魅力的に着こなすためには、まだ年齢が足りません。

 これでスプリングコートを作りたい

英国のサンクロス(ソラーロ)と違い、軽くて日本では着やすい

魅力的なカラーバリエーション

身体にハリのある若いうちは、戦場でタフに戦うためのかたい英国のスーツが必要です。それに合わせるチーフはシンプルでいい。タイはベストから覗く少しの面積だから、少し華を添えるくらいの鮮やかさでいい。
そこから歳を重ねて行き、戦場からは身を引き、身体にもハリがなくなっていく頃、本当の意味で男性の洋服を愉しめる歳になるのだと思います。
実際、歳を重ねて洋服を着尽くした方は、かたくハリのある英国生地は、「若い頃に十分着たからもういいよ」となる方がいるそうです。
若い人が華美におしゃれをすることはわるいことではありませんが、身にあまる装いになってしまい、洋服が浮いて見えてしまう人が多くいらっしゃいます。

<歳を重ねたからこそのお洒落は格好がいい>

歳を重ねた人が胸元に添える、華やかな柄のポケットチーフや、ホーズに綺麗な色を取り入れること。その洒落心は若い人では表現できない格好良さがあります。
女性も歳を重ねられた方が色を取り入れることが多くなるように、熟した人が使う差し色はやはりカッコいいものです。

60,70歳にハリのあるツイードを作ろうと思い、「30年後にようやく自分のものになりますよ」とテーラーに言われても、ツッコまれてしまうでしょう。
お客様は、「今自分のものにしたいんだ!」ときっと言うと思います笑。
イタリア生地のような華やかで軽いものは、すぐに自分のものになる。イタリア生地はそのためにあるとわたしは思います。
英国の靴のように、小さいサイズを履いて血マメができたなんて笑い話ができるのは若いうちだけです。わたしでさえすでに、痛い思いをして新しい靴を履くことはもうできません。

その年代に合ったおしゃれを愉しむことが何よりです

<Kynoch Scotland>

<MOON Tweed>

<DORMEUIL Vintage Tweed>

<DORMEUIL 4PLY Wool /Cashmere>

ヴィンテージのDormeuil(ドーメル)は素晴らしいクオリティがたくさんあります。
現在ではもう作ることができないクオリティばかりで、今の時代に本物を感じることができます。
80年代の生地で、なおかつ時代性を感じさせない素朴な色柄というのは、なかなかありそうでありません。

BERUNに来られるお客様も様々な年齢の方がいらっしゃるため、その方が最も適切に愉しめるところを話し合って提案していきたいと思っております。
西洋医学と東洋医学、どちらも知っていることで、どちら側からの意見も提案できるように、何が本当にその人のためになるかを知るために、両端を知っていることが大切です。

その中で、自己のスタイルを築くこと。それがスタイルだと思います。

 

<8月の営業について>

8月は旅行と出張が重なり、1~5日、10~16日はお休みをいただきます。
お盆明けには秋冬物の生地が入ってきますので、楽しみにしていてくださいませ。


Atelier BERUN

東京都新宿区神楽坂6-8-23

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