生地、熟考

BERUNです。

関東もようやく梅雨が明けました。今年の梅雨は長かったですね。
クローゼットの中を開けたらカビが。。という方もいるかもしれません。かくいうわたしもそうです笑。
カビは一度生えてしまうと完全に死滅はしません。なるべく復活させないように、日々気にかけることが大切です。もし生えても気を落とさず、献身的に付き合っていきましょう。

ようやく夏を感じる気候になってきました。日本の湿気に洋服も身体も負けないように十分に気をつけていきましょう。

さて、今は年始から徐々にため込んでいた秋冬物の生地をおさらいしているところです。
そして、改めて見た生地サンプルのなかから、新たにときめいたものを仕入れる作業もしています。
特別にアーカイブの生地をお借りすることができ、自宅に持ち帰りじっくり愛でることができました。お酒を呑みながら、、なんて言いたいですが、思考が鈍ってしまうため、こういうときはノンアルで生地に酔いしれます。

Fox Brothersの魅力

年始から何度も見ているのは、「Fox Brothers(フォックスブラザーズ)」のアーカイブ。実はわたしが20歳の時、初めて百貨店でオーダーをしたスーツの生地がFOXでした。
Harrisons of Edinburgh(ハリソンズ)」や「Martin Sons & Co.(マーティンソン)」など、英国には素晴らしいフランネルを提供しているところが数は少ないですが、未だにあります。(ハリソンズはマーチャント(商社)のため、自社で作っているわけではありませんが)
FOXの生地の特徴としては、独特の柔らかさがあるところだと思います。バシっとした硬さを表現するだけでなく、厚みの中にも柔和なタッチを残しているところが魅力です。それがシワが入るところに鈍く美しい光沢感が出ます。

<シンプルだが独特な色気のあるチェック>

<560gmsという肉厚なフランネル。これでピーコートとか素敵です>

<この辺りのプリンス・オブ・ウェールズはトラウザーズに使いたい>

<こちらもトラウザーズに使いたかったですが、在庫切れでした。。>

<ライトオンスのフランネル。写真では伝わりづらいですが綺麗な色です>

<この3色は個人的にとても好きな配色です。私は一番下の生地でツイードジャケットを作りたい>

以上すべて、Fox Brothersのフランネル・ツイードコレクションです。現行のものではなく、過去に作られていたアーカイブのシリーズです。日本ではあまり日の目を見なかった珍しい色柄や、関東ではオーバースペックすぎる厚みのフランネルなどが揃っています。楽しすぎて、見ているだけで気がついたら日を跨いでいました。
すでにこれらの中から、いくつかの生地を確保してあります。

ヴィンテージ生地の魅力

今までは、あまり生地で古い新しいにこだわりはありませんでした。ですが昨年末に、「Holland & Sherry(ホーランド&シェリー)」と、「Dormeuil(ドーメル)」のヴィンテージ生地に出会い、現行では絶対に作り出せない魅力にすっかり取りつかれてしまいました。

こちらは昨年末から主人を待っていた生地、ドーメルのトニック。トニックは現行でも作られていますが、過去と現在ではまったくクオリティが違います。
400gms弱ある肉厚でハリのある生地です。モヘアが40%以上入っている英国の夏向けの生地ですが、かなりの肉厚のため、日本の夏で着るためには気合が必要です。気持ちよく着られる時期は、春と秋でしょう。

いつも来られるたびに2時間以上、洋服の話を楽しくさせていただいているH様。わたしも初めて聞くような洋服の知識を持っておられる生粋の洋服好きの方です。

写真でもお分かりいただけるかと思います。しわの入った部分から鈍い光沢が出ています。そして約30年前の生地とは思えないコシとハリ。どんな効果音が合うでしょうか。バキバキでも、バリバリでもない。生地が平面に戻ろうと、ブリンブリンしています。

こちらの生地はあとダークブラウンのピンチェックのみとなりました。本当はわたしが作りたくてたまらないのですが、素晴らしい生地をあまり着る機会のないわたしのクローゼットに入ってしまうのも勿体ないので、たまに会う孫のように、成長、経過を見せていただける方にお譲りしたいと願っています。とてもわがままな店主ですね。苦笑

Holland & Sherryのヴィンテージ

こちらも特別にお借りしている、ヴィンテージのホーランド&シェリーの生地を家で眺めています。

こちらは春夏用の生地なので、実際に仕立てるとしたら来年以降になるかと思います。横に白の糸を織り込んでスラブにしてある独特の生地です。現在のホーランド&シェリーでは作ら(れ)ないと思います。素材はウール・モヘア・リネンというとても珍しい組み合わせの三者混。280gmsという日本でも使いやすい軽さのため、夏用のスーツ地にとてもいいと思います。わたしは早速、一番手前にあるオリーブをオーダーしました。どんな仕上がりになるのか、非常に楽しみです。

横に入る白いラインによって、少しカジュアルな印象になると思います。ネイビーやグレーもクールで格好いいですが、この素材感を最大限活かす色は、ベージュやブラウン、ブルーなど、少し明るめの色ではないでしょうか。
こんな素敵な生地だからこそ、普段あまり挑戦してこなかった色味も愉しんでみたいですね。

素材は食材です。いい食材を手に入れたら、これをどう料理していこうか、と悩み考えるのが愉しくなるようなものを、これからも探していきます。

 


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