Hachijo Blue

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BERUNです。

先週お休みをいただきまして、家族で八丈島に行ってきました。
当初は石垣島に行く予定だったのですが、台風が被っていたので、前日にキャンセルをし、急遽行く場所を八丈島に変更しました。(こちらはこちらで、別の台風が帰り便の翌日に直撃でしたので、危機一髪でした)

水平線がわからないほど薄い海のブルーから、はっきりと明確に海だとわかる藍色のような色など、一つの色でも、それぞれ多種多様な様を見せてくれました。

日々東京で暮らしていると、人工物に囲まれて生きているため、本当の自然の色をついつい忘れがちになってしまいます。この旅行で、自然が作り出す色と世界を感じて、ただただ感動していました。

八丈島の高台から見下ろすと、東西の海を見渡すことができます。地形によって海の色が異なる複雑な自然環境の中で暮らしていたことで、青の魅力を改めて感じました。

このまま飛び出していきたくなるような空の世界。

こんな素晴らしい環境で育つ牛のミルクは、美味しいに決まっています。
山の上にある牧場で、すぐ背面には海と空が見える絶景です。
空と海の区別がつかないほど鮮やかなグラデーション。

流人の島であった八丈島。決して明るい過去ではありません。島の人たちは南国のようなあか抜けた陽気さはありませんでしたが、地に足をつけて、島を愛して力強く生きている印象を受けました。

夕日になると、太陽の赤みが混ざってきます。夏の夕日が沈んだ直後は、ほんのり紫がかったようにも見えます。

染色も自然から自生したものを染め上げたことが始まりだと考えると、今わたしたちが着ているものは、すべてこれらの景色、風土から織りなされたものです。
わたしはどの季節の、何時何分の、どの方角の青が好きなのか。それはきっと、雑誌や流行では教えてくれない、本当に自分が好きな色です。そんなことを考えながら空を見上げるのは、都会ではできない最大の贅沢です。

 

ロイヤルブルー

今回のブルーのテーマにちなんで、最近完成したセットアップをご紹介します。

W Billのアイリッシュリネンを使ったスーツです。
390gmsという、麻なのに夏物ではないこの肉厚なクオリティは、日本ではまさにこれからの時期に活躍します。
明るすぎず深すぎないこのブルーは、春~秋にかけての男の休日着にぜひ持っておきたい1着です。

ブルーという色は、それぞれの国が誇りを持ったカラーがあります。

イギリスにはロイヤルブルーという名前があり、皇族の方々が好んで着用する色があります。
名前の通り、気品を感じるブルーです。
日本での青といえば、藍ではないでしょうか。日本人もネイビーがお好きな方は多いですが、明るいブルーというよりは、ダークネイビーのような暗い青を好きな方が多いと思います。これも藍の影響ではないでしょうか。
暗く深い藍はなんとも日本らしい色だと思います。

1つの色を突き進む勇気

ブルー、グレー、レッド、グリーン、etc。
色はたくさんありますが、ブルーはブルーと、つい一つの色にまとめてしまいたくなります。

日々生地を見ていると、これはネイビーの中でも光が当たるとどんな青になるのか、と考え出すと止まりません。
色の深さを感じます。

上の写真の生地3着は、全てネイビーと位置付けられるものですが、全て雰囲気が異なります。

一般的な考えとしては、今回ネイビーのスーツを手に入れたから、次はグレーのスーツが欲しいと考えると思います。
ですが、私は一つ一つの色の深さを強く感じているため、それを一色だと捉えず、ネイビーの中でどんな色味のものを選んでいくか、という風に考えていきます。
赤みがかったネイビー、紫がかったネイビー、色々なネイビーがあります。

BERUN創業当時からの長いお付き合いのK様というお客様がおります。初めてお作りしたビスポークスーツは、ネイビーのスリーピースでした。その方には、その次も、その次のスーツもネイビーをお仕立てしました。ですがネイビーの色味は毎回、その方の顔立ちや年月に合わせて変えていきます。結果的に、初めてグレーのスーツを作ったのは、7,8着目だったと記憶しています。

わたしの中で、その方は当時、一本の強い柱、自分の軸となるものを持った方がよいと感じて、「ネイビーと言ったら〇〇さん」というように、確固たるものを持ち、自信を手に入れてほしいことから、ネイビーを提案し続けました。
結果的にその方は今も、ネイビーを着ているときが一番自分らしくて気持ちがいい、と言っていただけています。

 

ネイビーが好きと自覚していても、自分はどんなネイビーが似合うのか。そこまで感じてみると、より自分のスタイルを確立することができるようになると思います。色々なネイビーを着てみることで、自分が本当に好きなネイビーを見つけることができます。それを見つけたら、その色を深めていけばいいのです。

ですが、カラーコーディネートとかで正解が出るわけではありません。学や確率論から学ぶのではなく、自然から感じることの方が、より正しいことを教えてくれるとわたしは思います。

正解は店内にあるのではなく、太陽の下にあります。

 


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