ソフトになっていく

BERUNです。

師走は慌ただしいですね。
10,11月にオーダーをいただいていたお客様の納品が続いております

こちらのジャケットのオーナーとなるI氏とは7,8年程の付き合いになります。
はじめの頃に仕立てた夏物の生地は少しずつ磨耗してきて、休ませる日が多くなってきたとのこと。240gmsより軽い目付の生地は、夏は大活躍しますが、やはり耐久性は劣ります。
そのくらいの目付の生地は、5〜7年をイメージして楽しむのが理想的だと思います。

2013年に仕立てたツイードのチェスターフィールドコートはバリバリ現役でした。むしろ、ようやく柔らかくなってきた位です。
ブルーのシンプルなツイードで仕立てたコート。スーツの上でも、ニットの上でも活躍します。

今回お仕立てしたのはヴィンテージのスキャバル社の生地を使用したツイードジャケット。生地は厚手ではなく、320gms位の軽めなツイードです。氏には今まで何着も、質実剛健な洋服を仕立ててきました。
少し歳も重ねて、硬い生地も毎日でなくてもいいかなと思うようになり、薄い生地に合わせて、ソフトな仕立てでお作りしました。
BERUNで作るツイードでは珍しく、肩パッドを排し、芯地も薄いものを使い、柔らかなジャケットに仕上げています。
中もシャツではなく、ニットを合わせても良いような雰囲気です。堅く真面目に着る雰囲気ではなく、イメージに合わせて、くだけた中でも知性を感じる着こなしを考えました。

ヴィンテージ ファブリックを使うことの良いところは、おろしたてなのに、すでに着古したような雰囲気が出ることです。ずっと昔からクローゼットに入っていたかのような懐かしさを感じる風合いは、新品の生地では出せません。

トラウザーズは英brisbane moss(ブリスベンモス)社のmoleskinモールスキン。カーキ、枯れた木の枝のような色。渋く、和を思わせる大人の色味です。
以前、氏には600gmsを超える超ヘビー級のモールスキンを渡したことがありますが、今回のものは440gmsという割と(笑)柔らかさを感じる生地です。
履いた途端、「柔らかい!履き心地がいい!笑」
と大絶賛でした。笑

ソフトな洋服は上級者向け

ソフトなもの、軽いものを着こなすためには、まず基本のものを知る必要があります。
わたしはほとんどのお客様には、まずはじめに揃えるものは、質実剛健で、シンプルで、飽きがこないものを勧めています。
それがワードローブの基本になり、それを着るのが当たり前になると、他のスタイルのものも試してみたくなるものです。肩の力を抜くのは、そこからでいいと思います。

基本を知ることで、初めて引き算が出来るようになります。
ソフトな洋服は、多くを知ってきた人がはじめて似合う洋服です。

初めてのツイード

こちらは、今回ツイードデビューする方にお仕立てしたジャケットです。
ハリスツイードのヘリンボーン柄。ベースはブラウンで、様々な色が入っている魅力的な色柄。
肩パッドが入り、厚みもしっかりとあるツイードジャケットは、着こなすことは容易くはありません。雨にも負けず、風にも負けず、着倒して、汚して、一緒に旅に出て、経年変化を共に愉しんでください。

このツイードジャケットが着やすくなる頃には、様々なことを経験して、男性としてより魅力を増した人間になっているでしょう。その頃、新たに洋服を作るときには、少し違った趣向のものを選びたくなっているかもしれません。
身体が動く若いうちは質実剛健に。歳を重ね、好みも落ち着いてきたら、ソフトになっていく。
しばらくソフトな洋服を着ていたら、また老体に鞭を打つように、質実剛健なものを着たくなるかもしれません。人の感覚はバイオリズムです。そのときの自分の感覚を大切に、心に耳を当てて聴いてみましょう。

 


Atelier BERUN

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