マスターピース

BERUNです。

少し前になりますが、転職が決まり、東京から九州に引っ越しをされるというお客様が来られました。転職を機に、ベーシックでよいスーツが欲しいということで、Fox Brothersのシンプルなネイビーの3ピースをお仕立てしました。320~340gmsの強撚糸の無地。最強の春夏スーツです。パープルのレジメンタルタイをコーディネート。

新たな門出にお祝いを!ということで、1月にイギリスで購入してきたMINTONのアンティークティーセットを初めて使用しました。(緊張しました笑)
銀駿眉(ぎんしゅんび)という特別な紅茶を淹れ、とても楽しい時間を過ぎさせていただきました。

マスターピースを手に入れる

近い将来、都心ではリモートワークが一部の企業では一般化し、オンラインで会話をすることが当たり前になっていくと思います。

そんな変化の時代のさなか、これからの時代に求められるもの、それは、
自分自身のマスターピースを揃えるこ
だと私は思います。

マスターピースとは、「傑作」という意味です。自身の中で傑作を決めることを、ぜひ考えてみていただきたいのです。
ベタなたとえですが、スティーブ・ジョブズのイッセイミヤケの黒のタートルネックのように、この人といえばこれ、というアイテムを探求してみましょう。
デザイナーのトム・ブラウンは、グレーのスーツに白のボタンダウンシャツ、グレー(または黒)のニットタイ。
ココ・シャネル本人は後年、ツイードのセットアップがあればあとはいらない、といっていたそうです。

これらに共通しているのは、その人がその人であるためのアイデンティティが備わっているものを身にまとっているということ。それが今までは、特別な仕事をしているような人たちにはありましたが、それがより個人でも持つことが必要とされてくるとわたしは思っています。

数年前に、「フランス人は10着しか服を持たない」という本が流行りましたが、これは別にミニマリストになれということではなく、その人らしくあれる服が身近にあれば、それで十分だということです。(洋服好きな人にはどだい無理な話ですが笑)

こちらのジャケットのご着用者様は、年中ネイビーしか着ないというお方です。

わたしはこれです。That’s all.
というように、「わたし=これ」をぜひ探していただきたいのです。

もしかしたら、近い将来、名刺というものもなくなるかもしれません。そうなったとき、あの服を着ている○○さん、というイメージを周りの方が持っていれば、自分を確立していくことができます。

洋服はこれからも多様化していきますが、その人自身の着るものはどんどん限られていくと思います。
いかに無駄をなくし、シンプルに生きるか。それが洋服に求められてきます。
洋服を選ぶ時間は必要ない。極力洋服のことを考えず、人生に集中したい、という人は今後増えていくでしょう。

(とはいいましても、私のように、洋服のことを考えている時間がなにより楽しい、癒しの時間だという方は必ずいらっしゃいます。そういう方は、その時間を何よりも楽しんでください! )

<出典元:武相荘>

すごく昔のブログで、一度お借りしたことのある写真。有名な一枚です。白洲次郎。
この写真に憧れて、白のTシャツとジーンズだけでカッコいい親父になりたいと願っている人たちは少なくないと思います。
この姿からも、白洲次郎のマスターピースがうかがえます。何も考えていないようだけれども、すべて綿密に計算されつくしている、究極のカジュアルスタイルです。

ここまでいいましたが、まだ何もわからない、何も試していない状態で、
「わたしはこれだ!」
と決めつけるようなスタイルの構築の仕方は決してお勧めしません。
やはり色々と知ること、試してみること、それがはじめのうちには間違いなく必要です。
前述した、究極の10着を決めるためには、もしかしたらその何倍も手にしてみなくてはわからないかもしれません。
その先に、ご自身にとって本当に気持ちのいいスタイルが見つかります。

「家は3軒目でやっと理想の家ができあがる」
という言葉がありますが、洋服も、すぐに完璧なものは見つかりません。じっくり、年を重ねて、ご自身の好みの移り変わりも観察しながら、洋服を揃えていきましょう。

Atelier BERUN

東京都新宿区神楽坂6-8-23

http://berun.jp/
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◆Tel : 03-3235-2225

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