ビスポークポロシャツ

BERUNです。

自粛期間中に温めていた企画、ビスポーク(オーダー)のポロシャツが完成してまいりました。

まずはファーストサンプルが仕上がったところで一息ついたのですが、時期も時期ですので、待ちに待ったというお客様から早速オーダーをいただいています。
本当にありがたい限りです。

今回徹底的に試行錯誤したのは、楽に使えるエレガントなポロシャツ。
これはわたしが日々作っているものと共通している考え方があります。

起業当時から作っている、ツイードのチェスターフィールド コートや、デニムのトラウザーズなど。
今では既製品でも見かけるようになりましたが、当時は珍しいものでした。
ツイードやデニムのようにラフに使えるが、美しさがあるアイテム。
足し算と引き算の絶妙なバランスを、わたしなりに研究して日々物づくりをしています。

今回のポロシャツは、素材はスポーティな鹿の子を使用し、カジュアルに着やすいものにしています。
そして頭を絞って考えたのは、こちらの前立ての部分です。
スポーティな前立てのままでしたら、テーラードを基本とする仕立て屋が作る意味がありません。
あくまでベースはドレッシーであることが大前提です。
そのため、前立ては後ろに隠し、余計なデザインを見えないようにしました。

そして、襟は立ち襟です。
この立ち襟の具合もすごく絶妙で綺麗です。

シャツの型をした立ち襟タイプのポロシャツもありますが、こちらはリブのみを立たせた仕様です。 (説明が難しいです..)

置いてある状態ではあまりわかりませんが、着たらこの襟がとても美しく立ちます。
これから完成してくるものもまたご紹介していきたいと思っておりますので、楽しみにしていてください。

自らビスポークを体験する

先週、数年ぶりに自分の靴を作りたいと思い、レコットへ行ってきました。
きっかけは、レコットの津久井さんが作ったブラウンのシボ革のサイドエラスティックの写真を見たこと。

美しいシボ革に見惚れたのですが、突き動かされたのは、その革は特別に手に入れたフランスのもので、個人的に連絡をしたら、あと一足だけ作る量が残っているというのです。

サイドエラスティックはわたしがずっと作りたいと思っていた靴です。
次ビスポークをするなら、絶対にサイドエラスティックだと決めていました。
このようなご時世ですが、自分を鼓舞する気持ちで靴をオーダーしようと決めたのです。 (という都合のいい言い訳を考えるのはプロ級です笑)

津久井さんと話をしていて、やはり話題はC禍の話。
これからの時代、ますます文化を残していくことが大変になっていくという話をしていました。

在宅勤務が増えることで、綺麗な革靴を履く機会も減っていきます。もちろんスーツもです。

利便性、効率性、すべてがその流れに吸い寄せられていくように、コンビニエントなものが広がっていきます。

我々のようなビスポークの店の行く道は、「価値観が広がる、豊かになる、生きている喜びを感じられる」ものを作っていくに尽きます。
それは利便性、効率性とは相反するものかもしれません。
だからこそ、歩き続けた人生を振り返ったときに、記憶に残る体験、ものになるのだと思います。

世間から求められる需要は減っていくでしょうが、喜んでいただける方がいる限り、納得のできるものを生み出していきたいと思い、レコットを後にしました。

クラシックの生地がなくなる

先日、ある生地屋の方と話をしていたとき。
今回の件で生地が売れなくなってしまい、動きのわるいクラシックの生地を手放すことにしたという悲しいお知らせを受けました。

その生地屋は今後、黙っていても売れる、使い勝手のいいイタリア生地をメインにしていくとのこと。
そのお方は60代で、21歳で羅紗屋(生地屋)の世界に入った方。
新卒当時は80年代、技術とお金が洋服業界に集まっていた生地の黄金期です。その当時の素晴らしい生地に想いを馳せながら、現代の簡単で”おしゃべりな”軽い生地を売るのは、やはり隠せない寂しさを感じるに違いありません。

もう日本ではなかなか手に入らない重厚な英国生地を眺め、5〜10年かけて使っていく気持ちで、良質で無口な英国生地をどしっと買い付けました。

ビスポークスーツは今後どうなるのか、真剣に考えていましたが、自粛が明けた6月、たくさんの方に来ていただき、本当に恵まれた環境にいることを実感しています。
元々BERUNに来ていただいている方は、ありがたいことにすでにマイノリティであったようです。笑

今の時代、実用性、利便性という世界に急速にシフトしています。
その中で、オールドタイプ合点承知と、時代に流されずに自流で生きていく方に囲まれていて、幸せな限りです。
(装いや根本の考え方はオールドタイプ、生き方は時代を捉えたニュータイプという二足のわらじが、理想ではないかと思っています)

究極、人は本能では美しいものが好きです。
ただ、自分をしっかりと見つめる時間を作らなければ、世の中の都合のいいように好みを作られてしまいます。
その本能を研ぎ澄ますためには、世の中の大多数に埋もれることなく、自己を磨き続けることが大切です。

今、この時代だからこそ、マイノリティであることに誇りを持っていいとわたしは思います。(日々、マイノリティであったことがマジョリティに変わっていく世の中です。そのためにも時代の流れを見続ける必要があります)

美しいものを持つ。美しいものを身に纏う。
それができるだけで、豊かだと思える世界でありたいです。

Atelier BERUN

東京都新宿区神楽坂6-8-23

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