BERUNです。
しばらく暑い日が続いています。
先週、都内は日中25度を記録した日もありました。本当に11月なのか?と疑いたくなるほどです。
毎年コートが売れないとファッション業界は嘆いていますが、気候の変化には逆らえません。
必要だから買うという人は、気候の変化によりニーズを失くしてしまいます。
数年前沖縄に行ったとき、地元の小さなセレクトショップで、とても厚手なコートが売られていて驚きました。
店員曰く、沖縄でもお洒落な人は、少しでも涼しくなると(着なくてもいいのに)コートを着る。と話していました。
これが洋服の面白いところです。
必要に迫られて買うのでは面白みがありません。
気候がどのように変化しようと、自分が着たいと思ったものを着るというのは、とても大切な選択だと思います。
暖冬になったからフランネルを着る機会が減ったという方もいますが、もし着たいのなら着たほうがいいと私は思います。
想いの込められた生地
最近、生地を持ち込まれる方が立て続けにいらっしゃいました。本来であれば生地の持ち込みはあまり受けていないのですが、馴染みの方であり、持ち込まれた生地に意味を感じたので快諾しました。
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お一人の方は義理のお父様から譲り受けたという舶来物の生地4着。
昭和53年〜の生地という、自然にヴィンテージになっていった理想的な経年変化です。
当時は生地を羅紗屋(生地屋)で買い、仕立て屋に持っていくという人もいました。
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H lesser & Sons.、SCABAL、Loro piana、MOXON。(この中ではロロピアーナは新しいでしょう。)
どれも歴史のある素晴らしい生地ばかりです。
その当時で、国産の生地ではなく、舶来物を持たれていたというのは本当に洒落者だったのだと思います。
このように物が受け継がれていくことは何よりも大切にしていきたいですね。
時代を感じる色柄ではありますが、生地は本当に良いものです。
わたしなりに、現代でも格好良く着こなせるような仕立てにしていきます。
これは料理屋に素材を持ち込むことと同じですね。
シェフは自分が普段吟味している物と異なるベクトルの物が来るので、やりがいがあります。
英国から直接買い付ける強者
今年の初め頃から、自ら英国から直接生地を買い付けてくるようになったH様。筋金入りの服好きです。
しかも日本ではなかなか見かけない面白い生地を持って来られるので、毎度行われる生地品評会がとても楽しいのです。
生地を見て、わたしがイメージが膨らむものをお仕立てさせていただいております。
今回完成したものはこちらです。
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FOX BROTHERSのグレンチェックのフランネル。とてもベーシックなものですが、だからこそ良い生地を選びたいです。
ダブルブレステッドスーツで、襟はセミピークドラペル。
空に向かって飛んでいきそうな鋭いピークドラペルもいいですが、わたし個人的には、クラシックな雰囲気を出したいときはセミピークにしています。
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もう一つはHolland & Sherryの生地でお仕立てしたスリーピーススーツ。
ウーステッド生地で、ツイード感のある柄というなんとも服好きが唸る生地です。
正直H様が持ち込まれる生地は、わたしも作りたくなるものばかりで、趣味がかなり近いんです。これはH様が作らなければわたしが作りたかった、、笑
そのくらい好きな雰囲気です。
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BERUNの洋服はほとんどがサイドベンツですが、こちらはセンターベントにしました。
サイドベンツは都会的、センターベントはカントリーな雰囲気を感じます。
スラントポケットのチェンジポケット付き、まさに英国のカントリースタイルです。
格好いい。。!(心の声笑)
このようなスーツを着る人がもっと増えてくれたら、日本も希望が持てます。
最後に、こちらはHolland & Sherryのコーデュロイでお作りしたカントリージャケット。
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さすがホーランドシェリー。毛先が長い上質なコーデュロイでした。スラックスは容易にイメージできましたが、この生地でスラックスは勿体ない。ということで、ジャケットにいたしました。
くるみボタンで袖はターンナップカフ。
背面は背ベルトを付けています。上質なコーデュロイだからこそ、土臭くなりすぎず、大人らしいジャケットに仕上がります。
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部屋が狭くなったので、引きで写真を撮るのが難しくなりました。。イメージが伝わりづらかったらすみません。
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他にもスペシャルな生地で現在進行しております。
年末納めラッシュが楽しみです。
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やはりファッションはこれからの季節ですね。
カシミアのコートを着られるくらいまで、涼しくなってほしいです。
-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー
東京都神楽坂6-73-15
メゾンドガーデニア301