ジェームズボンドの作り方

BERUNです。

「紳士だなんて、、自分には縁がない、、」
と思っていた昔に別れを告げ、20代前半には、

「いざ、後発紳士になるゾ!!」
と色々と勉強しておりました。

当時買った通称”背伸び本”をここ最近、久しぶりに読み返しているところです。
当たり前ですが、歳をとると捉え方も変わるもので、昔の人の粋、ダンディズム、真の格好いい男とは、なんていう時代錯誤な世界観に浸っていました。

生まれたときはみな裸で、みな0歳児なわけです。
0歳児の紳士なんていませんから、そこからヨーイドンで人それぞれの人生が始まります。
自分がどういう人間になりたいのか、という指針を持っているか否かは本当に大きな違いになります。
言ってしまえば、コンパスと目的地を持たずに航海に出ているようなものなので、それは将来、後悔につながってしまっても仕方のないことかもしれません。

生まれた場所のことを言って卑下する方もいるでしょう。
何を隠そう、わたしも生まれは青森のなんにもない田舎生まれ、高校までバンドとファッションにしか捧げていなかった、どこにでもいる普通のガキンチョでした。

わたしがこの世界に興味を持ったのは20歳の頃なので、もちろん、生まれたときからそういう教育、精神を叩き込まれた人とは20年の差があるわけですから、同じレールに並ぶことは相当な努力が必要です。(同じレールに立つ必要はないのですが)

マルコムXは、牢屋の中に10年もいました。
ですが彼と、同じ牢屋の中にいた人との大きな違いは、彼には夢があったということ。それを素直に生き続けることができたため、彼は牢屋の中でも本を読み漁りました。
それにより視力を落とした結果、彼のアイコンになるブロウタイプの眼鏡を携え、マルコムXが完成しました。

自分がどうなりたいのかは、いつからでも決められるのです。

007新作

10月1日に公開された007の新作、ダニエルクレイグの優秀の美を拝みに初日に行ってきました。
2度の延期があり、呪われた作品、と言われている今作ですが、今回も見事に公開初日と台風の日が重なりました。改めて本当に呪われてるのかも、、なんて思いながら、びしょ濡れになりながら映画館で観てきました。

TOHOシネマズ日比谷には、アストンマーチンDB5と、劇中でダニエルクレイグが実際に着用していたトムフォードのタキシードが飾られてありました。

ダニエルクレイグのスーツはトムフォードの提供です。靴はクロケットジョーンズ。
前回のボンド、ピアーズプロズナンもブリオーニでイタリアスーツでしたが、ダニエルクレイグになると、ビスポークの世界から離れ、既製服を着るボンドになりました。

ボンドがダニエルクレイグになった2006年頃からは、世界的にタイトシルエットが流行していきました。
その影響か、作品が進むに連れて、「このタイトさでアクションはできないでしょ。。」
というくらい極端なまでのタイトシルエットになっていきました。
タイトシルエットはビスポークの美学ではないので、既製服らしさを全開に感じる衣装が多かったと思います。

ボンドスーツというのは、一般的なビスポークとは少し違い、各所に個性が光っているのが特徴です。

ショーンコネリーの時代からも、ノッチドラペルで、チェンジポケットが付いたタキシードを着ていたりしています。
こちらの写真のタキシードも、袖口がターンナップになっていて、センターベントです。

ドクターノオから、装うことの楽しさを教えてくれる007には、感謝しかありません。

007ジェームズボンドといえば、わたしは古参主義に思われてしまうかもしれませんが、ショーンコネリーを超えるボンドは生涯現れないと思っています。
その理由といたしましては、プロデューサーのブロッコリー氏が、初代ボンドを誰にしようかを探し回っているとき、スコットランド訛りの強い野蛮な大男ショーンコネリーを見つけました。そして彼を最初に連れて行ったのが、サヴィルロウの仕立て屋だったそうです。
そして、1年かけてクラブやレストラン、カジノ、社交場へと引き連れていき、そうして粗野な雰囲気の残る独特な男性、ジェームズボンドを作り上げたのです。

以降のボンド役を務めた人で、そこまでやってもらった人はおそらくいないのではないでしょうか。
プロデューサーの意図、熱量を最も注いでもらったショーンコネリーだからこそできた演技が、初期のボンドにはあったのです。

次回007は噂によると、女性という話が出ていますね。。
その噂が噂で終わってもらえるといいのですが。。

男のためのカシミアコート

先日、贔屓にしている生地屋から朗報が届きました。
「ヴィンテージのカシミア生地が出てきました。BERUNさん、好きそうだと思ったので、押さえておきました」
後日、実際に触ってみて、とても胸が躍りました。

上の2つ、ネイビーとグレーはイタリア製のカシミア100%の生地です。

今ドキの柔らかな生地ではなく、かなり肉があります。

こちらの2つは英国の生地ロバートノーブルのカシミア100%です。


これだけ厚みのあるカシミアは、近頃めっきり見かけなくなりました。
しかもシンプルなネイビー、グレー、ブラウン系のみです。

こういう出会いはなかなかないものなので、思い切って仕入れました。
こういう生地屋との関係性(言ってしまえば鴨?笑)が嬉しいです。

生地本からでなく、生地を直接買い付けているからこそ、こういったありがたい機会をいただきます。

一生ものと言われるカシミアコート。生地の宝石と言われる理由が頷ける光沢感です。
決して安いものではありませんが、自分の代で終わらないものと考えたら、持っておいてもいいと思います。

-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー

東京都神楽坂6-73-15
メゾンドガーデニア301

http://berun.jp/
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