ここ数日でぐっと冷え込みましたね。
ようやく装いが楽しくなってきました。
秋冬の生地は枯れることなく今もばっちりスタンバイしております。
こんなご時世だからこそ、美しい物に触れる、ということが大切だと思うのです。
これからの季節に活躍するキャスケットもお作りしております。
総国民みんなが帽子をかぶるのが当たり前の時代にはもう戻らないとは思いますが、自分自身の意識を変えていくことは可能です。
帽子ってあった方がいいんだ。と思っていただけるととても嬉しくなります。
首の下から爪先まで装いを整えたら、帽子が必要になるのは必然です。
ハットは格好良すぎる、という方にうってつけのキャスケット。これからの季節はツイードやフランネルのジャケットとの相性がバッチリです。
新作ニット
今年新たに作ったニットが完成しましたので、そちらをご紹介いたします。
ブリティッシュツイードのウール100%で作られたニットを糸から編み込んで作ったファスナーニット。
ダブルジップなので色々な着方ができます。
たまたま遊びに来てくれた星野君にも着てもらいました。
我ながらつくづく思いますが、ニットをオーダーできるってとても贅沢なことですよね。
本来既製品でなんとなく合うものを探せるアイテムを、ビタっと合わせるためにオーダーをする。
男の美学です。
糸から編み込んでいますので、厚みや硬さは好みに調整できます。
こちらは7G(ゲージ)。一般的な厚みより少し強いイメージです。
ずっと作りたかった形なので、いい仕上がりでよかったです。
ニットの色は10色から選べます。
コートの下に着るアイテムとしても、あるととても便利です。
サンプルという名の私物です。笑
本当につくづく、経営をしているという感覚にはいつまで経ってもなれません。笑
経営者目線で考えたら、こんなに生地のストックはいりませんから。笑
わたしのモチベーションは、自分が作った洋服にいつまでも感動し続けることができれば、それに共感してくださる方にはきっと届くだろう、というシンプルな考えです。
ツイードチェスターフィールドコート
ツイード素材のチェスターフィールドコートというのも今では珍しくなくなりましたが、私が初めて作った2012年頃は巷では見かけることはほとんどありませんでした。
カジュアルよりのツイードコートはありましたが、テーラーメイドの形はとても珍しかったので、出歩くたびに業界の方からお褒めの言葉をいただいたのが嬉しかったです。
そのツイードコートもたくさん着倒しましたが、なにせわたしが20代前半に作ったものなので、今の気分とはシルエットもだいぶ変わってきました。
いい生地があったらアップデートしたいなと思っていたところで、いい出会いがあったのでお作りすることにしました。
新たな工場で仕立てたチェスターフィールドコートです。仕立ても生地も、より質が向上しております。
こちらは手織のハリスツイードの生地を使用しました。
手織の生地は織機の幅に合わせて織られるため、一般的な生地は150cm幅(通称ダブル幅)なのですが、こちらは半分の75cm幅(通称シングル幅)です。
つまり、必要な生地の長さも倍必要なのです。(当たり前ですが)
本来、農家の人たちの作業着であったツイードがここまで昇華されるのは、農家の人も嬉しいと思います。
一見するとブルーですが、よくよく見てみますと、たくさんの色が入っております。
この色が何色も入っているのが素敵ですよね。
こういった配色のバランスは、自然からのインスピレーションで作っているものがほとんどです。
海の色、草と藻の色、苔の色、岩の色。
自然環境が厳しい島で生まれた生地だからこそ、アイデアの先生はいつだって自然なのです。
袖口はターンナップにしました。
スーツの上から着ております。
オーバーコートの名の通り、コートは上着の上から着るものです。
ですがこのツイードのコートは、カジュアルにニットの上から着ていただいても大丈夫なので、かなり使い勝手がいいのが嬉しいところ。
ツイードをフォーマルに仕立てる、というのがなんとも格好いいですね。
これは何十年と着続けて、次の世代に引き渡していきたいアイテムです。
一枚袖ラグランコート
こちらは昨年から作り始めたラグランコートのアップグレードした形。袖が一般的なラグランコートは2,3枚ハギになっているのですが、こちらは1枚で仕立てております。
2,3年ほど前から古着屋の至るところで一枚袖のコートが売られています。
流行りに流行り、かなり価格も高騰してきました。
これは私の考え方ですが、古着は昔の良い洋服を安価な価格で買えるのが醍醐味だと思っています。
その古着にブランド価値が付いてしまっては、なんだか、本来の古着の宝探し感がなくなってしまい、寂しく感じてしまいます。
こちらのコートに使った生地は、だいぶ昔に見つけて、個人的にこれで何か作りたいなぁと寝かせていたゼニアの生地。
まさにこういう形のコートを作りたかった!と思ったので、引っ張り出してきたものです。
コットンにカシミアが少々入っている、高級感とヴィンテージ感の絶妙なバランスの生地です。
色はグレーとブラウンの間のような色。
袖にハギがないというのはいい意味で違和感が生まれますね。
薄手のコットン生地なので、ステッチの陰影がとても綺麗です。
アンコンの一枚仕立て。
今日から早速着ていますが、まさに今の時期に大活躍するコートです。
一度着ただけですでにシワができているところが、ゼニアらしい生地だなぁと思いましたが、軽いコートとして着るなら特に問題ではありません。
このように着る時期が限られている洋服は、一年のうちに少ししか着られないので、薄く軽くてもいいのです。
ベルテッド仕様にしております。男は紐を後ろで結ぶなんてヤワなことはやってはいけません。
ぶらぶらしたベルトは腰ポケットにガサッと入れて仕舞うのが正解です。
アクアスキュータムやバーバリーにはない、独特な雰囲気のラグランコート。
こういったバランスを決めていくのも、ビスポークならではの楽しみです。
この手のコートをオイルドコットンで仕立てる、というのが今巷で流行っているという声を聞きます。しかし、わたしはあまりいいアイデアだと思えないのです。
なぜなら、オイルドコットン、ブリティッシュミラーレインの生地はBarbour(バーブアー)がすでに完成されたスタイルを作り上げているからです。わざわざその形を崩して、新しいスタイルを作ることをする必要はないと思っています。
これは発想のベクトルの違いなので、私の意見が100%正しいとは言い切りませんが、餅は餅屋ですから、そのスタイルをゼロから作り上げたブランドに敬意を表して、我々はまた新たな発想をしていきたいものです。
-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー
東京都神楽坂6-73-15
メゾンドガーデニア301