BERUNです。
2020年も今日を入れてあと4日で終わります。
世界が混沌とした1年でした。変化の必要に迫られて、止まっていた針が無理矢理動いたような気もします。わたし個人的には、とても面白い1年でした。
1月には自宅の地鎮祭を終え、そのままイギリス⇨フランス⇨ベルギー⇨オランダの旅に行きました。
帰ってきてすぐに藤野に移住。そして2月にはBERUN10周年のパーティーを開催。
3,4,5月は本当に苦しい月でしたが、その間にオーダーポロシャツ、カーディガンの製作を進めることができました。
6月からは徐々にお客様も戻り始めてきましたが、服飾業界の未来を不安視する気持ちは拭えませんでした。
この間、ずっと自宅の打ち合わせを週3,4日現場で行っていました。
自宅の調度品と新店舗の調度品を同時に探すという修羅の道で、脳内がパンクしかかっていました。笑
8月に現在の店の契約をし、内装工事を開始。
9月いっぱいで5年10ヶ月営んできた神楽坂の路面店を引き払いました。
10月には次男が生まれ、新店舗での営業をスタート。
11月は過去最高の忙しさに包まれて、気がつけば年末です。
来年は新たに始めたいことがいくつかあります。
レディースにももっと力を入れていきたいですし、もう少しカジュアルウェアのラインナップを増やそうと思っています。その辺りは進展があればご報告していきます。
いちテーラーがカジュアルウェアに手を出して、、と思われる方も(もしかしたら)いらっしゃるかもしれませんが、わたしが提案したいことは、ライフスタイル全体を豊かにしていくということです。
わたしの理想は、オンオフどちらも、身に纏っているだけで気持ちが豊かになる洋服を作ることです。そういうところから、わたしは2010年の創業以来、ずっと自分の肩書きは洋装士と名乗っています。この肩書きには、洋装のことはわたしに任せてください、という思いがあります。
今年もたくさんの新たな出会いがありました。
完成するまでどんな物が出来上がってくるかわからないビスポークの世界は、初めの一歩がとても重い業界だと思います。それをくぐり抜けてお越しいただいた皆様に、心から感謝いたします。
2020年最後の納品
せっかくなので、先日までにお渡しした洋服をご紹介します。
こちらはFOX BROTHERSのフランネルを使用してお仕立てしたスリーピーススーツ。写真では色がうまく出ないのですが、ブルーグレーです。
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H様に似合うフィッティングを熟考しまして、トラウザーズのシルエットをゆったりと作っています。
身体がしっかりとされている方だからこそ、出すところを出すことで、絞るところを絞ることができます。何事もメリハリです。
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こちらはJoshua Elis(ジョシュアエリス)のカシミア生地を使用してお仕立てしたスポーツジャケット。この見た目でカシミア100%です。
上品に作るのではなく、あえてスポーティに着るカシミアジャケット。玄人だからこそ着こなすことができる暴れ馬です。
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背中がピンチバックになっているため、とても動きやすいです。
W Bill Jacket -Vintage-
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また別のH氏に提案したのは、わたしが2016年にイギリスに行った際にW Billの本社ストックルームに入り浸って発掘したヴィンテージのW Billのツイード生地。
グリーンとイエローの間のような、生地を見ただけでは決して選ばないギリギリのセンスの色合いです。でも、わたしは間違いなく格好いいジャケットになると思っていました。
H氏はベーシックな生地はだいぶ揃ってきたので、一歩踏み出してみようと背中を押しました。
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ツイードが日本の都市部で市民権を得た今、ベーシックな柄ももちろんいいですが、このくらいイロがあるのもとても素敵だと思います。
(※中のシャツは着てこられた物のままなので、コーディネートは完成していません)
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ツイードらしさが光る魅力的なジャケットに仕上がったと思います。
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こんな素敵な20代がいるんです。日本もまだまだ終わっていません。
Fox Coodinate
Y様には昨日の仕事納めの日に納品しました。
今回初めてのオーダーのY様。ドキドキの中、初納品でした。
ジャケットとウエストコート(ベスト)がFOX Brothersのブルーヘリンボーンのライトフランネルです。
トラウザーズはダークグレーのフランネル。
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わたしはオッドベストを勧めることが多いですが、まさにこのコーディネートはそのお手本のような着こなしです。
ジャケット、トラウザーズ、シャツ、タイ、全てが無地なので、ポケットチーフに柄を持たせました。これがあるかないかで全体のバランスが大きく変わります。
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ベスト単品でも使いやすいように、腰はフラップポケットにし、カジュアルな印象にしました。
身体を鍛えられているY様、ベスト姿がとても似合います。
シャツは今年一番のお気に入りである、ライトグレーのコットンフランネル生地。
これが白になるだけで、お行儀のいい優等生コーディネートになります。
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背中も表地を使いました。こうすることで、ベストだけで成立するようになります。
Y様、次は眼鏡ですね!笑
年明け、一緒に見に行きましょう。
物撮りあれこれ
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こちらはAcorn社の生地を使用してお作りしたタッターソールシャツです。
タッターソール、カバートコート、モールスキン、etc、、英国にはあまり日本では知られていない名品がたくさんあります。
このようないい物を見るたびに、イギリスという国は本当にマーケティングが得意ではないんだなと実感します。
クリスマスは終わりましたが、12月に入ってからどこもかしこもシュトーレンを販売しているのを見かけます。ドイツのクリスマスに食べるお菓子ですね。
イギリスではクリスマスプディングというお菓子を食べるのが習慣ですが、日本ではシュトーレンの圧勝でしょう。クリスマスプディングッてナニ?と思われる方もいらっしゃるかと思います。
ファッションも、川上にいながら川下のイタリアやフランス、アメリカにビジネスで先を超されてしまいました。いいものを作り続けているだけでも、世界にうまく発信できないと伝わらない。
ですが、だからこそいいのかもしれません。そのむず痒さをずっと感じながら、英国の歴史は世に迎合することなく熟成されていきます。
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こちらはブリスベンモスのコーデュロイ。ダークネイビーですが、光が当たると少し紫がかって見えます。最近ではウールのコーデュロイというのも出ていますが、やはりコットン特有の硬さ、そして使い続けていくと白く退色していく様が格好いいです。
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こちらはキャメルカラーのフランネル。とても上品で、軽やかなトラウザーズです。冬はダークトーンの洋服が増えるからこそ、明るい色に惹かれます。
終わりに
ということで、結局かなりのボリュームになってしまいました。
今年は自宅でゆっくりと過ごす年末になりそうです。
来年2021年をより良い1年にするために何ができるかを考えながら、2020年を締めくくりたいと思います。
今年出会ってくださった皆様、本当にありがとうございました。
わたしは経験したことでしか物を語りたくない主義なので、常にアップデートし続けて、今思う最高の物をご提供しようと心がけています。
経験にはもちろんコストもかかりますが、それを経ているからこそ、豊かさとは何かを身にしみて感じることができています。
このような人生を送れていることにとても喜びを感じますし、また、同じ波長をもった方とお話しできることが何よりの生きがいです。
こんな風変わりな店ですが、また来年もよろしくお願いいたします。
ありがとうございました!
-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー
東京都神楽坂6-73-15
メゾンドガーデニア301